Vol.20 Steve Lukather / February 2013

Steve Lukather


Photo : Rob Shanahan

G3のメンバーとしてJoe Satriani、Steve VaiとのツアーやRINGO STARR&HIS ALL STARR BANDへの参加など精力的な音楽活動を続けているスティーヴ・ルカサー。 トップ・ミュージシャン、ギター・ヒーローとしての40年近いキャリアを誇るルークが約2年ぶりにアルバム「TRANSITION」をリリースした。 素晴らしい曲・歌声・ギタープレイの三拍子が揃った今回の最高傑作アルバムについてルークに語って貰った。


Photo : Rob Shanahan

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : G3のメンバーとしてJoe Satriani、Steve Vaiとツアーで共演しましたが、如何でしたか?
Steve Lukather (以下SL) : ツアーに参加できたことをとても光栄に思っているし、ともかく楽しかった! あの2人のあまりの上手さにこっちも控えめになってしまうほどだったよ。最初はとても緊張したよ。なんせ、彼らのお客さんの前だったからね。でも、自分のバンドと演奏をして、オーディエンスは喜んでくれた。嬉しかったね。そこからは本当に楽しい時間を過ごせたよ。

MM : G3のような素晴らしいギタリストが集うギター・プロジェクトへの参加についてはどのように感じますか?
SL : 自分のキャリアの中で成し遂げたいことをひとつ達成できた気がする。今までにG3に参加した数多くの偉大なギタリストたちと名を連ねることができるなんて・・・凄いよね。こんなことが成し遂げられるなんて思ってもいなかったよ。Joeに声をかけられて嬉しかったし、本当に光栄だった。SteveもJohn Petrucciも天才レベルのプレイヤーたちだ。彼らからは多くを学んだ。それに、みんなで楽しく笑った時間も多かったよ。みんながみんなを支え合っていたのも素晴らしかったね。愛に溢れたツアーだったし、参加していたメンバーはみんな驚くほど上手だった。

MM : 2月にはRINGO STARR&HIS ALL STARR BANDのメンバーとして日本公演が予定されています。昨年6月にもRINGO STARR&HIS ALL STARR BANDのUSツアーに参加していますが、参加の経緯をお聞かせ下さい。
SL : 誘われたんだ。Dave HartというRingoのスカウトマンから連絡があってね。元々、Ringoのバンドには知り合いが多くて、彼らがリクエストしてくれたのがきっかけだよ。俺はそのチャンスを逃さなかったのさ。人生最高の夏休みだったよ!!

MM : RINGO STARR&HIS ALL STARR BANDのメンバーとしてプレイした気持ちは如何でしたか? 2月の日本公演はどのようなショーになりそうですか?
SL : ともかくヒット曲の連続さ!それに参加メンバー全員が活躍できる場を与えられている。Ringoは本当に品格のある人間だ。絶対に見逃せないショウだよ。演奏する曲は、どの曲も有名なヒット曲。参加メンバーそれぞれの持ち曲も新鮮な形で演奏されている。本当に楽しさいっぱいのコンサートだよ!またツアーに出るのが凄く楽しみだ。そして、何が素晴らしいかと言うと、Ringoが自分の友達だということ。バンドメンバーはみんな小さな家族のような関係だった。自分のキャリアの中でも大きなハイライトだったよ!

MM : 新作「TRANSITION」はそれぞれの曲が持つ美しいメロディ、曲に見事にマッチしたギタープレイ/サウンド、そしてあなたの歌声がとても印象的で素晴らしいアルバムに仕上がっていますが、アルバムのコンセプトについてお聞かせ下さい。
SL : 自分の全てを出す!それがコンセプトだよ!(笑) ヴォーカルに関してはかなり頑張ったよ。最近はGary Catonaという先生にヴォーカルを指導してもらっているのだが、かなり大きな効果があった。それにクリーンな生活を心がけているのも大きかった。もう3年以上も禁酒、禁煙を続けているよ。健康のために生活態度を改めたのさ。それに、今まで以上にギターの練習も頑張っているよ。自分のプレイを色々と改善している。

MM : 前作「ALL’S WELL THAT ENDS WELL」に続き今作でもほとんどの曲をCJ Vanstonと共作していますが、彼との共同作業は如何でしたか?
SL : お金では買えない価値がある。それが全てさ。彼との作業はとてもスムーズだ。考え方がとても似ている。彼が僕の良さを引き出していると言っても過言ではない。彼はプレイヤーとして、ソングライターとして、プロデューサーとして、そして作曲パートナーとして素晴らしい才能を持っている。彼は幅広い作業をこなしてくれて、ミックスも担当してくれたんだ。彼が重労働をしているのを僕が座って眺めていたような感じだったね。とても楽しかったよ。


Photo : Rob Shanahan

MM : 彼との曲作りはどのように進められたのでしょうか?作曲する上での役割分担等はありましたか?
SL : ルールは無い!ただ、流れに任せて一日一曲作ること。その曲を持ち帰って僕が歌詞を書いた。歌詞を一緒に書いた曲もあったね。息子のTrevが”Right The Wrong”を一緒に書いてくれたし、”Creep Motel”ではFee Waybillが歌詞を手伝ってくれた。それと”Last Man Standing”ではRandy Goodrumが歌詞を一緒に書いてくれた。古い仲間が色々と手伝ってくれたのさ。

MM : アルバムには”Judgement Day”、”Transition”を筆頭にミュージシャン志向が強い音楽ファンを満足させる曲がある一方で、”Once Again”、”Last Man  Standing”、”Do I Stand Alone”などは幅広い音楽ファン達を惹きつける魅力に溢れていますね。あなた自身、そのあたりのバランスについてはどのように考えていますか?
SL : 僕は曲を書くだけだよ。余計なことは考えない。ミュージシャンのために曲を書こうとは思っていない。自分たちが好きだと思ったものを書いた結果がこれだ。メロディや曲構成を作るのが好きなのさ。世の中には素晴らしいギタリストやインスト・アルバムが沢山存在する。僕は自分の音楽をやるだけなんだ。それが、他のミュージシャンとの差別化に繋がっているのかもしれないね。ギター音楽は大好きさ。でも、僕よりもそれが上手な人が沢山いるよ(笑)

MM : Chad Smith(RHCP)、Phil Collen(Def Leppard)、Tal WilkenFeld、Richard Pageをはじめ素晴らしいアーティスト達が多数ゲストとして参加していますが、彼らに参加を依頼した経緯についてお聞かせ下さい。 
SL : みんな友達なんだ。Chadは偶然どこかで会って、レコーディングに誘って、次の晩にスタジオに入って、最高のプレイをしてくれた!それ以外のメンバーはみんな古い友達だよ。誘ってみて、参加してくれたメンバーはみんなアルバムの楽曲に大きく貢献してくれた。本当にありがたい話だよ。

MM : あなたはボーカリストとしても益々表現力に深みが増していますが。
SL : ヴォーカルに関してはかなり努力したよ。声は最も難しい楽器だからね。ライヴのためにも上達する必要があったんだ。今回のアルバムでレコーディングした歌に関しては、魂の奥深くから声を出したつもりさ。ヴォーカルに関してもCJが協力してくれた。彼のようなパートナーの存在が必要不可欠だった。


Photo : Rob Shanahan

MM : 以前にも増してギターから弾き出されるサウンドが温かく、ダイナミクスに富み、かつクリアで素晴らしいものになっていますね。
SL : ともかくオーガニックな音を大切にしている。パッシブ・ピックアップ(DiMarzioの新しいTransitionピックアップ)をマウントした新しいL-III Musicmanギターを直でBogner Ecstasyアンプに繋げている。純粋なクリーン・サウンドを邪魔しないために、リバーブやエコーなどの処理は全てプラグインでやっている。ゲインは少なめにしている。時間をかけて精密なプレイを心がけた。それに、くだらない速弾きは減らした。頭でプレイするのではなく、心でプレイしたつもりさ。派手で速いフレーズよりも面白い音やフレーズを演奏している。そういうプレイが得意な人が沢山いるからね。僕は自分の得意分野で勝負したのさ。円熟したアプローチとでも言おうか。

MM : 今回のアルバムでもあなたのギタープレイ、サウンドは曲の良さを最高に惹き立たせていますが、曲にマッチしたギタープレイやサウンドを創る上でのあなたの考えをお聞かせ下さい。
SL : あまり考えずに、全て自然に出来たものだよ。もう考え過ぎないようにしているのさ!

MM : アルバムに収録されている各曲についてあなた自身による解説をお願い出来るでしょうか?曲が生まれるまでの経緯や曲に込められた思い等をお聞かせ下さい。
SL :
“Judgement Day”
このアルバムのために書いた最初の曲だ。面白いことに、今回のアルバムの曲順は全て曲が出来た順番と一緒なんだ。全く無意識だったんだけどね。不思議だよね(笑)  この曲はお気に入りのひとつでもあるよ。インターネットで事実とは異なることを憎しみいっぱいに書いた男の暗い物語を歌った曲なんだ。実際によくあるシチュエーションだよね。アルバムのオープニングに相応しい曲だ。

“Creep Motel”
これもインターネットを嫌う人たちに捧げた曲だ。ちょっとSTEELY DAN風なクレイジーなブルースだ。STEELY DANよりもっとガッツがある感じだけどね。みんなが一緒に歌えるようなコーラス部分が好きだね。5歳の息子に学校で歌われたら困るけどね(笑)

“Once Again”
失恋・・・結婚生活の終止符。悲しい現実を歌った曲だ。Claptonに影響された曲でもある。”Wonderful Tonight”に似てなくもない。全く同じじゃないけどね!長女に「失恋している人の前で聴かせてはいけない」って言われたけど・・・待ってくれよ、俺だって失恋を経験しているんだ!(笑)

“Right The Wrong”
息子のTrevと一緒に書いた曲だ。ミュートしたギターを弾いているのも彼だ。歌詞とメロディを一緒に書いたんだ。テレビやソーシャル・メディアを通じて世の中を見ていると、間違ったことが多過ぎるのが分かるよね。その間違ったことを若者たちが受け継いでいるのがとても悲しい。派手なプロダクションに、凄まじいChad Smithのプレイが楽しめる一曲だ!

“Transition”
Steve Weingartと一緒に書いた曲だ。この曲に収められているキーボード・ソロはSteveが今までに演奏した中でベストだよ!とても楽しい曲だ。この曲ではTalがベースを弾いている。70年代プログレ・ロックに敬意を表した曲だ。YESを少しハードにした雰囲気だね。それと、Beckoにも敬意を表している曲でもある。

“Last Man Standing”
Joe Walshへのトリビュートだ。Joeは僕の友人でもあるし、ミュージシャンとしても大きな影響を受けている。今でも彼のことが大好きなんだ。この曲はGary Goddrumが一緒に書いてくれた曲でもある。喜びと希望に満ちたメジャー・キーの曲だね(笑)

“Do I Stand Alone”
ストレートなロック・アンセムだね。人生で最悪な時期を過ごしている時のことを歌った曲だ。

“Rest Of The World”
アルバムに入っている唯一のカヴァー曲だ。CJがナッシュヴィルの人と一緒に書いた曲だ。自分のブルース寄りな歌と演奏を聴かせるためにJoe Cockerのようなブルース曲が欲しかったんだ。とてもキャッチーな曲だ。

“Smile”
とても美しいメロディを持った曲で、2年前に亡くなった母親に捧げた曲だ。Steve Weingartとワン・テイクで録音して、その後CJがキーボードを足してこの短い大作を完成させた。

MM : あなたの最新のシグネイチャーモデルであるMUSICMANのLUKE IIIにおける以前のLukeモデルからのサウンド面や仕様面での変更点や、変更しようと思った経緯についてお聞かせ下さい。
SL : まずボディが大きくなっている。それとDiMarzioのノン・アクティヴ型Transitionピックアップと10dbのアクティヴ・ブーストボタンが付いている。ちょっとかっこいい追加機能だろ?  この新しいモデルは大好きだね。勿論、前のモデルも全て気に入っているけどね。


Photo : Rob Shanahan

MM : 今でも朝起きてからのギターの練習を欠かさないそうですが、どのような練習をしているのでしょうか? 
SL : 色んな練習をしているよ。自分の演奏を改善することやインプロヴィゼイションの勉強・・・ともかく沢山演奏して上手くなろうとしているだけだよ(笑)  僕のオフィスには本が沢山あるから、その時の気分によって本を選んでは勉強しているよ。今年はRingoのバンドや自分のソロ、それにTOTOの35周年記念ツアーといった大きなツアーを3本控えていることもあって、その準備をしている。これが3年ほど続く予定だ。

MM : ところで、最近はアルバムをCDだけでなくレコードでもリリースするアーティストが増えており「TRANSITION」もCDとレコードがリリースされています。再びレコードが扱われはじめている昨今の動向についてどう感じていますか?
SL : YES!レコードは最高だよ!ちょうど昨日の夜にマイケル・ランドウと一緒に食事をしていてその話になったんだよ!彼もターンテーブルを使った新しいシステムを手に入れたらしく、音が素晴らしいらしい。ともかく音が太くてリアルなんだ。

MM : 2月にはRINGO STARR&HIS ALL STARR BANDでの日本公演が控えていますが、TOTOや自身のソロ・ツアーも含めたそれ以降の活動予定について教えて下さい。
SL : 2014年、そしてその先までずっと大忙しだよ!2月にはRingoのツアー、3月から4月はソロでヨーロッパ・ツアー、TOTOの35周年記念ツアーが5月末から9月、その後にまたソロでアメリカ・ツアー、そして秋には再びRingoのツアー・・・それを2014年も繰り返す感じだ。こんなに楽しい仕事ばかりで本当に幸せだよ!

MM : 日本のファンへのメッセージをお願いします。
SL : 2月にみんなに会えるのが楽しみだよ!Ringoと素晴らしいコンサートを見せられると思うよ。それと、ニュー・アルバムを是非楽しんで下さい!35年間もずっと応援してくれて本当に感謝しているよ!お礼に俺の大きな愛を送ります!

 
Steve Lukather Official Site : http://www.stevelukather.net/ 


TRANSITION / STEVE LUKATHER

VICP-65104  \ 2,625 (税込)  Victor Entertainment

1.JUDGEMENT DAY
2.CREEP MOTEL
3.ONCE AGAIN
4.RIGHT THE WRONG
5.TRANSITION
6.LAST MAN STANDING
7.DO I STAND ALONE
8.REST OF THE WORLD
9.SMILE