Vol.75 Quinn Sullivan / July 2017

Quinn Sullivan

ブルースの大御所バディ・ガイにその才能を認められた18歳のブルース・ギタリスト、ミュージシャンであるQuinn Sullivan (クイン・サリヴァン)。幼少の頃よりギターを始めており6歳の時には米国のTV番組「The Ellen DeGeneres Show」への出演で注目を浴びている。それ以降もこれまでにバディ・ガイ、エリック・クラプトン、ロス・ロボス、ザ・ルーツ、デレク・トラックス&スーザン・テデスキ、ジョー・ボナマッサなどのトップミュージシャンとステージで共演するなど着実に音楽のキャリアを積み上げてきている若手注目株である。
そんなクインによる自身の通算3作目のアルバムとなる作品が「MIDNIGHT HIGHWAY」。バディ・ガイのアルバムを手掛けたグラミー賞受賞プロデューサー、トム・ハムブリッジを迎えて制作された今作は、ギタリストとしてのクインの実力は勿論のこと、シンガー、ソングライターとしてミュージシャンの総合力も発揮された良曲揃いの素晴らしい作品となっている。
作品「MIDNIGHT HIGHWAY」についてクインに訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

Muse On Muse (以下MM) : あなたにとって本格的な勝負作品といってもいいニュー・アルバム「MIDNIGHT HIGWAY」ですが、このアルバムではどういったことを目指しましたか?
Quinn Sullivan (以下QS) : 自分のアーティストとしての全ての側面を見せることができるような作品にしたいと思っていた。レコーディング・アーティストとパフォーマーとして、時に尊敬しているヒーローたちのような音を出したいと思うようなモードになることもあるけれど、実際には自分自身のサウンドを作り上げて自分というアーティストを確立しなければならないことに気づいたのさ。このアルバムを作っている時は、自分が聴いて育った様々なジャンルをこのアルバムの楽曲に全て取り入れることを目指していた。作品毎に成長していくことが理想だけど、今回の作品は今までに出した作品の中で最も良いものだという自負はあるよ。

MM : アルバムではプロデューサーのTom Hambridgeをはじめ、バディ・ガイの作品に関わったミュージシャンが数多くバックを務めています。彼らに作品に参加してもらった経緯についてお聞かせ下さい。
QS : トムが多くの優れたミュージシャンをこの作品のレコーディングに誘ってくれた。リーズ・ワイナンズがキーボードを弾いてくれて、マイケル・ローズがベースを弾いてくれた。トミー・マクドナルドも数曲ベースを弾いてくれていて、ロブ・マクネリーがギターで参加してくれている。彼ら無くしてこの作品は完成することなどできなかったよ。彼らが参加してくれたことによって、楽曲を理想通りに仕上げることができた訳だ。

MM : あなたは幼少の頃よりブルースの巨匠であるバディ・ガイに師事していますが、彼と知り合い、師事することとなった経緯を教えて下さい。
QS : バディ・ガイが自分の地元でライヴをやった時に初めて会ったのさ。本番前に楽屋を訪れて初めて挨拶をさせてもらった。バディには、何と言うか・・・人の心を動かす力があってね。彼は親切でとても腰が低くて、僕のような知らない無名のミュージシャンにも優しく接してくれた。その夜、バディは客席にいる僕を呼んでステージの上に上げてくれた。それ以来、彼は僕を様々な形でサポートしてくれるようになった。彼がどれほどサポートしてくれたかは説明できないよ。ここ何年も沢山サポートしてもらっているのさ。

MM : 今回のアルバムではあなたの他にもRob McNellyやBob Brittといったギタリストが参加していますが、彼らとはギターパートをどのように分担しているのでしょうか?
QS : 誰がその時にスケジュールが空いていたかによってギターパートを決めた部分もあるね。最初のレコーディング・セッションではボブが空いていたから参加してもらい、最後の方のセッションの時はロブが参加した。二人とも仕事しやすいし、個人的には二人とも天才だと思っているよ。

MM : “Eyes for You”、”Lifting Off”、”Going”の3曲ではあなたが作曲者としてクレジットされています。これら曲が生まれるまでの作曲プロセスの詳細や、曲に込められた思い等をお聞かせ下さい。
QS : “Eyes for You”は歌詞を作るずっと前からメロディが存在していた曲なんだ。前に録音した音源を聴き返した時に歌詞を思いついたんだ。トムと一緒に歌詞を書く時に、ある人との過去の思い出が歌詞のアイディアのきっかけとなった。この曲には「自分の目は愛する人を見るためにある」というメッセージが込められている。常に愛する人にその気持ちを伝えたいという内容だ。

“Lifting Off”は1時間ほどで書き上げた曲だ。コロラド州デンバーのホテルでトムと一緒に書いた。ツアー中にも関わらず、どうしても曲を書きたいという衝動にかられて、すぐにこの曲が生まれた訳さ。新たな冒険へと出発する心境を描いた内容になっている。色々なレコーディング方法を実験的に試して録音したということもあって、アルバムの中で最も多彩な曲に仕上がったと言える。エレドラを使ったポップな方向生を持っているんだ。

“Going”はアルバムの中で最も好きは曲のひとつだ。以前にレコーディングでギターを弾いている時に思いついたアイディアが元になっている。メロディだけが存在していて、歌詞が無い状態だったんだ。”Eyes for You”と同じような感じで完成させた曲でもある。歌詞の内容は自分が2年程前に経験したことが元になっている。恋愛関係において、時に全てを手放して前に進むことも大切だ。その頃、自分がまさにそういった状況に置かれていて、その時に経験したネガティヴな関係を断ち切りたいという感情にインスパイアされた歌詞なんだ。

MM : “Big Sky”はとても美しく情感あるギターがとても素晴らしい感動的な曲ですが、この曲について説明して頂けますか?
QS : この曲は自然発生的にできた曲なんだ。2〜3テイクで完成した。とても良い曲で、誇りに思えるような曲だ。

MM : “Crazy Into You”では作曲者としてTyler Bryantがクレジットされていますが、Tyler Bryant and the ShakedownのTylerですか?
QS : そうだよ!

MM : 彼の曲を採用した経緯について教えて下さい。彼もあなた同様にこれからのブルース・ロックを担っていく注目の次世代ミュージシャンの一人ですが、彼についてはどう思いますか?
QS : タイラーは素晴らしいね!ここ何年かの間に何度か会って仲良くなったのさ。実際、この曲は自分とタイラー、そしてトムの3人で書いた曲なんだ。元々、トムが持って来た曲で、聴いたらすぐに曲の雰囲気が好きになったね。レコーディングしてみて出来も良かったのでアルバムに入れようと思った訳だ。

MM : ジョージ・ハリソンの”While My Guitar Gently Weeps”では、ビートルズへのリスペクトを感じさせるサウンドを聴くことができます。
QS : そうだね!レコーディングしていてとても楽しい曲だったよ!

MM : 曲の長さが8分にも及ぶ”Buffalo Nickel”は、あなたのギタリストとしての魅力を存分に伝えるアルバムのラストを飾るに相応しい曲となっています。
QS : これもレコーディングしていて楽しい曲だった!

MM : アルバムで使用しているギター、アンプ、ペダル類について教えて下さい。
QS : ヴィンテージのストラトを何本か使ったよ。アンプもヴィンテージのフェンダーを2台使った。エフェクター類に関しては割とシンプルにIbanezのTube ScreamerとDunlopのCry Babyワウペダル、それとディレイのペダルをいくつか使ったぐらいだ。

MM : 師匠であるバディ・ガイからは音楽、ギターに関することについて具体的にはどのようなことを教わりましたか?
QS : ”Less is more”(控えめにすることでむしろ大きな効果を得られる)ということを学んだね。バディはとても大きな音か、とても小さな音のどちらかでしかプレイしない人だ。強烈な音量で弾いたかと思ったら、囁くかのような小さな音でもプレイする。十分な空間を持ってプレイすること。そしてソロは急がずにゆっくりと段階を経て組み立てていく。自分を含めて多くのプレイヤーはそういったことに注意を払っている。

MM : 音楽やギターに関する以外のこと、例えば音楽におけるビジネス的な部分や人生について彼はあなたにアドバイスしてくれましたか?
QS : それはあまりなかったね。バディは決して言葉で人にアドバイスをするようなことはない。僕とバディの関係はもっとナチュラルなものだった。バディが何も教えていない時こそ何かを学んでいたような気がする。

MM : 今後の予定を教えて下さい。
QS : 今年の夏は北米ツアーを行う予定だ。それにヨーロッパでも1公演だけ決まっている。今度のツアーでニュー・アルバムをどんどん露出できることを楽しみにしているんだ!ツアー中に新しいファンたちに出会うことも楽しみにしているよ!

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
QS : いつも応援してくれてありがとう!みんながいなければ、今の自分はいない。みんながいるからこそ、今自分が最も愛する音楽に打ち込むことができていると思っているよ!

 
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Quinn Sullivan / Midnight Highway

01. Something for Me
02. Tell Me I’m Not Dreaming
03. Midnight Highway
04. Crazy Into You
05. Eyes for You
06. Lifting Off
07. She Gets Me
08. Rocks (Bonus Track)
09. Going
10. Graveyard Stone (Bonus Track)
11. Big Sky (Bonus Track)
12. While My Guitar Gently Weeps
13. Buffalo Nickel