Vol.64 Trev Lukather / September 2016

Trev Lukather

Trev Lukather (トレヴ・ルカサー) が美しいパワーバラードの最新シングル”Only Girl”をデジタル配信にてリリースした。
世界中に多くのファンを持つ偉大なミュージシャン、ギタリストであるスティーヴ・ルカサーを父親に持つトレヴァーは、自身もシンガー/ソングライター/ギタリストの各分野が高い次元で融合された卓越した才能を持つロック・ミュージシャンとして活躍している。2008年に発表された作品「Trev」は聴き手を惹きつける印象的なメロディ、フックを持つ珠玉のメロディの楽曲が揃っており、アレンジ面でも楽曲の魅力を引き出すセンスあるギターのリフや、シンプルでありながらも心に残る美味しいフレーズが濃縮されたギターソロが散りばめられた素晴らしいロック・アルバムとなっている。
また自身の作品以外にも、彼が作曲家として参加した米国ロック・バンド Halestormのアルバムではゴールドディスクを取得、また音楽ディレクターとしてもLindsay Lohan、Paul Rey (Epic)、Ryan Cabrera (Atlantic/Universal)等を手掛けるなど着実に音楽の世界での実績を積み上げている。
今後の活躍に益々の期待が高まるトレヴァーに色々と興味深い話を訊くことができた。


Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Masa Eto

 

Muse On Muse (以下MM) : MUSE ON MUSEに今回初登場となりますので、まずはあなたの簡単なプロフィールについてお聞かせ下さい。
Trev Lukather (以下TL) : やぁ、みんな!僕の名前はトレヴ・ルカサー。カリフォルニアのロサンジェルスで生まれ育ったミュージシャンだ。主にソングライター、ギタリスト、シンガーとして活動している。リンジー・ローハンやポール・レイ、ライアン・カブレラといったアーティストの音楽監修をしたこともあるけど、今は自分自身のアーティスト業に愛と情熱を注いでいるよ。

MM : あなたが音楽に興味を持った当時の年齢やきっかけについて教えて下さい。
TL : 4歳の頃だね。父とジェフ・ポーカロが誕生日にドラムセットをプレゼントしてくれたんだ。すぐに夢中になってドラムが大好きになった。ドラムを叩いていたおかげで、ギターを始める前から「タイミング」と「感覚」を養うことができたんだ。僕がギターを始めたのは、12歳の時に父のショーをここロサンジェルスで観てからなんだ。彼はコンサートの最初の曲でギター・ソロをバッチリ決めていてね。ステージの一番前で演奏していた父に向けて観衆がみんな手を伸ばしていた。僕の人生が変わった瞬間さ。その時、僕はステージ後方のドラマーではなく、父のようにステージの一番前に出たいって思ったんだ。

MM : 当時はどのような音楽、アーティストに影響を受けていましたか? 彼等に惹かれた理由もお聞かせ下さい。
TL : 明らかに父のバンド TOTO から主な影響を受けているね。彼らは全てを成し遂げることができたベスト中のベストだと思っている。自分たちの作品はもとより、他の人の作品にも参加していて、どちらも最高だった。それから僕はデヴィッド・ギルモアやピーター・ガブリエル、トム・ペティとかヴァン・ヘイレン、ジャーニーなんかにハマっていった。理由は分かるよね。ピーター・ガブリエルの作曲やアレンジ能力はこの世のものじゃない。デヴィッド・ギルモアの速弾きしないギターが醸し出すフィーリングや味わい。それにトム・ペティのシンプルだけど一流の作曲能力。エディが好きな理由は明白さ。僕はエディがすぐそばに居る環境で育ったから、彼からは影響を受けまくったよ。今も昔も彼に夢中さ。

MM : ギターを始めてからコピーしていたアーティスト、曲や当時の想い出についてお聞かせ下さい。
TL : 僕は、天賦の才はスピリチュアリティや遺伝によって与えられるものだと信じているんだ。音楽は、僕にとってはいつもとても簡単なものだった。音楽以外のことが難しかったから、音楽が逃げ道だったんだ。ドラムもすぐにリズムに合わせて叩くことができたし、ギターで曲を書いたり演奏したりすることも簡単にできた。今までレッスンを受けたことがないんだよ。僕はよく観て、よく聴いた。僕は耳で聴いて演奏するタイプで、技巧派プレイヤーではないよ。

MM : 現在の音楽スタイルを創り上げたプロセスについて詳しく教えて下さい。
TL : しばらく模索していたよ。いつも時代に乗り遅れないように努めていたけど、自分でも何をやっているのかよく分からなかったし、自分が一緒に仕事をしている他の人たちにも上手く伝わっていなかった。他のアーティストとツアーに出てみたら、どうしても自分がやりたいことだけをやりたくなってね。書きたい曲を書いて、自分に忠実であろうと思ったんだ。ある時、今の僕のプロデューサーであるジャスティン・ガリアーノが、一緒に何かやってみないかってテキスト・メッセージをくれた。それで僕の知り合いのミュージシャン仲間に声をかけて、どんなのができるか一緒にやってみようぜって話になった。制限は一切なし。今の音楽スタイルはそうやってできたんだ。自然に生まれたんだよ。

MM : 父親(Steve Lukather)は、世界中に多くのファンを持つ偉大なミュージシャン、ギタリストですが、彼はあなたにどのようなアドヴァイスを与えてくれましたか?
TL : 父は僕が独学で自分の道を見つけたことをすごく喜んでいるんだ。独学だからこそ自分だけのスタイルとノリ(vibe)が得られたんだって言ってくれているよ。父はいつも応援してくれているし、何か心配事や質問がある時は相談している。彼は自分のバンドのマネージメントもしているし、音楽ビジネスのことは熟知しているから。夢を持つことを大切に思ってくれて、夢は叶うものだって毎日思い出させてくれる父親を持てるなんて僕は恵まれてるよ。

MM : プロのミュージシャンになろうと決心したのはいつ頃でしょうか?その後、プロとして活動するに至るまでの経緯について詳しくお聞かせ下さい。
TL : 僕はいつも年上の人たちとつるんでいた。15歳の頃は偽の身分証明書を使って21歳以上しか入れないライブに潜り込んでいたよ。できる限り早く仕事を始めたかったし、父も僕の才能を認めてくれていたから、高校を中退して自分で勉強を始めたんだ。そして17歳の時にリンジー・ローハンから話が来たんだ。気付いたらニューヨークで ”Good Morning America” を演奏していた。クールな瞬間だったね。

MM : 2008年にリリースされたアルバム「Trev」は聴き手を惹きつける印象的なメロディ、フックを持った楽曲が揃った素晴らしいロック・アルバムであり、あなたのシンガー・ソングライターとしての卓越した才能がとても印象的です。ソングライティングの面ではどのようにして才能に磨きをかけてきたのでしょうか?
TL : どうもありがとう!夢中で作ったからね。表現したい喜怒哀楽や感情がたくさんあるんだ。曲を書く能力があることには感謝しているよ。でも曲にも色々な形式があって、何を選ぶかは容易じゃない。歌詞や音楽、メロディやフックラインなど、みんなそれぞれ好みがある。僕にとっては音楽、メロディ、そしてフックラインがすべて。一番好きな部分さ。この最新のEPと今僕が制作中のアルバムはまさに僕そのものだ。そんな理由から共作者もいない。このアルバムでは溢れるぐらい自分自身を出したいんだ。曲はすべて本当にあった僕自身のストーリーや経験、そして自分が感じた喜怒哀楽に基づいている。本当の話だって分かれば、リスナーももっと作品を身近に感じてくれるだろうしね。

MM : アレンジについても楽曲の魅力を引き出すセンスあるギターのリフや、シンプルでありながらも心に残る美味しいフレーズが濃縮されたギターソロが散りばめられていますが、ギタリストとしての曲に対するアプローチ方法についてお聞かせ下さい。
TL : 父とデヴィッド・ギルモアのミックスだね。父は速弾きもできるけど、たとえ弾きまくっていてもとてもメロディアスに演奏する。僕は、むしろデヴィッド・ギルモアみたいに、シンプルだけどツボを突いた方向性に近づいてきたね。曲の中にもう一曲作るんだ。口ずさめるギターソロだよ。父が作った最も有名なギターソロはどれも口ずさめる。誰だって “Comfortably Numb” のソロを口ずさめる。僕もそれを成し遂げたいね。

MM : 「Trev」の制作時における印象的なエピソード等をお聞かせ下さい。
TL : そのEPはトミー・ヘンリクセンがプロデュースした。彼は今ハリウッド・ヴァンパイアズとアリス・クーパーのバンドにいるね。彼はゲフィン・レコード内に自身のレーベルを持っているんだ。良い機会だったし、何より彼は天才だよ。彼のプロダクションは本当にすごいし、あんなアレンジやボーカル・プロダクションなんて初めての経験さ。クールなエピソードは、Steakhouse Studiosで父と一緒に父のソロアルバムの作業をしている時にスティーヴ・ペリーと会ったこと。その時僕はちょうどEP用の曲を3曲録り終えたところだった。スティーヴに自分がファンだってことを伝えて、僕の曲を聴いてみてくれないかと頼んでみたんだ。彼を僕の車まで連れて行って “Voices” と “Still Waiting”、それから “The Game” を聴いてもらった。とても驚いていたよ。そこでお互いの電話番号を交換したんだ。翌日、携帯を見たらスティーヴ・ペリーから電話が掛かってきてるじゃないか。何してるか訊かれたから、スタジオにいるって答えたんだ。そしたら彼がスタジオまで遊びに来てくれてね。ヴォーカルに関していくつかアイディアを出してくれたりと、僕たちをとてもサポートしてくれたよ。彼とは一度、彼のソロ作品のデモ用に一緒に曲も書いたんだ。あれは今までで最高の経験のひとつだったね。

MM : 今年の6月には美しいパワーバラードであるシングル”Only Girl”がデジタル配信にてリリースされましたが、この曲について説明下さい。
TL : “Only Girl” は最新のEPからのファーストシングル曲だよ。僕が大好きな曲のひとつで、壮大なパワーバラード風の曲だけど、コーラスはレトロで懐かしさを感じさせる。この曲は、僕が当時夢中だったある女の子のために書いた曲なんだ。彼女とはとても仲良しなんだけど、ちょっと火遊びしちゃってね。いい感じになったんだけどお互い別々の方向に気が向いてしまって結局最後までつき合うことはなかった。でも、それでも良かったと思っている。まだ気持ちがモヤモヤしてる時に “Only Girl” を 10 分で書き上げることができたんだからね(笑)。

MM : この曲のMusic Videoではあなた以外のバンドのメンバーもフォーカスされていますが、Trev Lukather Bandと考えて良いのでしょうか?各メンバーについて紹介いただけますか?
TL : もちろん!クリスピー・スウィッグス(ベース)とジェイク・ヘイドン (ドラム) はもう10年以上前からよく一緒につるんでいる仲間で、作品でも演奏してくれた。キーボーディストのルイス・ミドルトンは才能のある奴で、何度か一緒にジャムったことはあるけど、彼はビデオに出演してくれただけだよ。レコーディングにも参加していて、ライヴでも僕と一緒に演奏しているステゥーヴ・マジョーラとジェイソン・ダーラクタは、ビデオ撮影の日にちょうど都合がつかなくてね。でもルイスも素晴らしい奴さ。

MM : Music Videoの中ではMUSICMANのギターやボグナーのアンプも見られましたが、あなたが使用しているギター、アンプ、ペダル等の機材について詳細を教えて下さい。
TL : いいよ。アーニーボールとボグナーは素晴らしいサポーターだよ。僕は小さい頃からアーニーボールを知っているから、僕が何かをやる時はいつも彼らに知らせるんだ。彼らは僕の活動をすごく応援してくれるから幸せだよ。ラインホルド・ボグナーも同じで、もう7年間も僕を支え続けてくれている素晴らしい人物さ。EPとライヴではShivaを使った。(エフェクターに関しては)僕はどちらかと言えばプラグイン派なんだけど、ディレイにはT-Rexのペダルを使ったよ。

MM : 今後の予定についてお聞かせ下さい。
TL : ここ最近はずっとアルバム用のデモを作っているところなんだ。スタジオに入った時点である程度形はできているだろうから、そこから凄いものを作り上げていくつもりだよ。今は主に曲を書いているところさ。他の人に提供する曲も含めてね。僕は他のアーティストのために曲を書くのが大好きなんだ。アトランティック所属のHALESTORMというロックバンドに彼らのファーストシングルとなる曲を提供して初めてゴールドディスクをもらったよ。死ぬまでにやりたかったことがひとつ叶ったのさ。ユニバーサルからリリースされたばかりのSEPTEMBER MOURNINGの最新アルバムでもいくつか曲を書いているんだ。せっせと働いているよ。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
TL : 僕をサポートしてくれて、僕の音楽を身近に感じてくれているみんな、心からどうもありがとう。みんなが側にいてくれて本当に感謝しているよ。僕の主な目標は、ツアーに出て、とにかく楽しみたいと思っているファンのみんなの前で演奏することさ!みんな大好きだよ。近いうちに会えるといいな!友達にも僕のことを広めておいてくれよ。そしてインスタグラムやスナップチャット、ツイッター、フェイスブックなどで僕の近況をチェックしてくれ(ハンドルネームは@trevlukather)。それじゃまたね!!
 

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Only Girl / Trev Lukather – Single
Released: Jun 03, 2016

Trev / Trev Lukather – EP
Released: Jun 24, 2008
1.Lives Built Around Lies
2.Look At You Now
3.Still Waiting
4.Breakdown for Eternity
5.Voices
6.Tonight
7.The Game