Vol.34 Gus G. / May 2014

Gus G.


Photo by Patric Ullaeus

FIREWINDをはじめとした数々のバンドでその音楽キャリアを培ってきたGus G。極めつけは何といってもランディ・ローズ、ジェイク・E・リー、ザック・ワイルドといった正真正銘のギターヒーローを見出してきたオジー・オズボーンのバンドメンバーとしてのツアー、アルバムへの参加だろう。2010年に発表されたオジーのアルバム「SCREAM」ではメロディックかつテクニカルなギターワークでGus G.が持つその実力を遺憾なく発揮している。

そして今回遂にGus G.にとって自身初となるソロアルバム「I AM THE FIRE」がリリースされた。ギタリスト・アーティストとしての魅力が存分に詰まった作品「I AM THE FIRE」についてGus G.に訊いた。


Photo by Patric Ullaeus

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : 今回リリースされたアルバム「I AM THE FIRE」はあなたの自身初となるソロ・アルバムですが、豊富な音楽キャリアを持つあなたにとって今回が初ということが意外でした。アルバムをリリースした現在の心境についてお聞かせ下さい。
Gus G. (以下G) : そうだね、FIREWINDの活動で忙しかったり、ここ4年ぐらいはOzzyの活動で忙しくしていたこともあってなかなか自分のソロを作ることができなかったんだ。今回のアルバム制作は自分にとっても精神を浄化させるような効果があったし、いいタイミングで発表ができて嬉しいと今は思っているよ。

MM : 今作では様々なゲストミュージシャンを迎えレコーディングされていますが、このような形式のアルバムにしようとした経緯をお聞かせ下さい。
G : デビューをしてから常に「バンド」という形態で活動を続けていて、そろそろ休憩をしたいと思っていたところだった。そもそも、ソロのプロジェクトをやる以上は普段のバンドとは異なることをやらないと意味がないからね。そういった理由もあって今回は全て自分で制作を進めながら様々なゲストを呼んで参加してもらった訳さ。少なくともアルバムはこういった形でやりたかった。

MM : アルバムにはギターによるインストゥルメンタル曲が3曲(1曲は日本向けボーナストラック)含まれていますが、ヴォーカル曲がメインの構成となっています。このようなバランスを採ったのはどういった考えからでしょうか?
G : (バランスに関して)特に考えは無かったよ。実はヘヴィなインストゥルメンタル曲をアルバムに収録することに対しては元々少し疑問に思っていた部分もあった。アルバムは全体的にストレートなロック系やモダン・ロック系の要素が主だからね。最終的には、インストゥルメンタル曲で自分がシュレッドするのをファンが聴きたがるのではないかと思ってアルバムに収録した。ただ、全曲インストゥルメンタルのアルバムを作る気はなかった。全曲インストゥルメンタルにしたら自分自身が飽きていただろうね。

MM : アルバムに収録されている各曲の曲作りやレコーディングはどのように進められたのでしょうか?
G : 基本的には自宅スタジオで作曲とデモの録音をした。元々はMats Levinと曲作りを始めて、4、5曲は割と早いペースで出来上がった。その後、他のヴォーカリストに曲を送ってみるのも面白いと思ってね。その時は誰を誘うかまだ検討もついていなかったから、結果的に制作に割と時間がかかってしまった。

MM : イングヴェイとも組んでいたMats Levenが4曲参加していますが、今回彼に参加を依頼した経緯についてお聞かせ下さい。
G : Matsとは2002年に昔やっていたDREAM EVILというバンドとスウェーデンでライヴをやった時に出会った。その時、彼はDOGFACEというバンドで同じフェスティバルに出演していた。その後、Matsとは連絡を取り合いながら徐々に仲良くなっていったんだ。イングヴェイと歌っていた頃からMatsの歌は好きだったよ。2011年にFIREWINDのヨーロッパ・ツアーでヴォーカリストが不在だったためMatsに参加してもらったこともあって、その時に自分との相性がとても良いことが分かったんだ。それがきっかけで今回ソロでも一緒に仕事をすることになった訳さ。


Photo by Patric Ullaeus

MM : オープニング曲であるメロディックでフックが効いた”My Will Be Done”は聴く者を一気にアルバムの世界に惹き込む魅力を持っていますね。
G : ありがとう!この曲は割と早く、そして簡単に出来上がった曲だ。とてもシンプルでキャッチーでアルバムのオープニングに最適な曲だと思ったんだ。

MM : “Blame It On Me”はアルバム中で唯一あなたが作曲者としてクレジットされていませんが、この曲を取り上げようと思ったのはなぜでしょう?
G : アルバムを制作している過程でMatsに追加で曲のアイデアは無いかと尋ねたんだ。その時にMatsが送ってくれたのがこの曲だった。とても素晴らしい曲で気に入ったのでそのままアルバムに収録することにした。

MM : “Eyes Wide Open”や”End Of The Line”を聴くとアルバムでの曲の並びは離れていますが、そのサウンドや雰囲気からは物語が続いているかのような同じ世界観を感じられました。
G : そうだね。この2曲には似たような独特の雰囲気がある。両方とも大好きな曲だけど、特に”Eyes Wide Open”はこのアルバムの中でも特に気に入っている曲のひとつだ。

MM : “Long Way Down”ではEyes Set to KillのAlexia Rodriguezが女性ヴォーカルによる独自の雰囲気を醸し出してアルバムの中で良いアクセントを与えていますね。
G : 女性ヴォーカルをフィーチャーした楽曲をアルバムに入れたいという話からアメリカのレーベルでもあるCentury MediaがAlexiaとのコラボを打診してくれたんだ。実際に彼女の声を聴かせてもらい、とても気に入ったんだ。紹介してもらった後にラスベガスに飛び、プロデューサーのKevin Churkoとレコーディングに入った。この曲はラスベガスのスタジオでわずか2日間で作曲とレコーディングを終わらせた。

MM : “Redemption”ではSTEEL PANTHERのMichael Starrが参加しパワフルな歌声を聴かせてくれますが、この曲を彼に歌ってもらうアイデアはどこから出たのでしょうか?
G : 単純に彼が素晴らしいヴォーカリストだから参加してもらいたいというアイデアが出たのさ!この曲はMatsと一緒に書いたものだが、アルバム制作期間中にマイケルと話をしていて、彼もアルバムに参加してくれるという話になったのさ。彼のヴォーカル・スタイルを考えるとこの”Redemption”が最も適していたと思ったのでこの曲を歌ってもらった。


Photo by Patric Ullaeus

MM : Jeff Scott Sotoが参加している”Summer Days”はメロディック・ロック好きには堪らない曲ですね。ギター・ソロの入りの泣きのロングトーンにはNeal Schonが重なりました。
G : そうだね、確かにこの曲にはJOURNEYの雰囲気が少しあるかもしれないね。それとTHIN LIZZYからの影響も少し入っている気がするよ。この楽曲が持つ80年代の雰囲気をとても気に入っているよ。

MM : “Dreamkeeper”では曲の美しさとあなたのメロディックなギター・ソロが実に印象的で素晴らしいですね。
G : ありがとう!こんなに長いエンディング・ソロを弾いたのはこの曲が始めてなんだ。この曲が持つ夢心地のような雰囲気がとても好きだね。実はこの曲のメロディーは夢の中で思いついたものなんだ!とてもクレイジーな話だよ!

MM : インスメントゥル曲である”Vengeance”ではMEGADETHのDavid Ellefson、”Terrified”ではBilly Sheehanが参加しています。David Ellefson、Billy Sheehanはそれぞれ異なるスタイルのベースプレイヤーだと思いますが、彼等とのプレイは如何でしたか?
G : まさに夢が叶ったような気分だ!DavidやBillyはレジェンドだ。自分も彼らが参加したアルバムを聴いて育っている。アルバムのミックスを担当したJay Rustonが彼らの参加を打診してくれたんだ。このような素晴らしい機会を実現してくれたJayには心から感謝している。

MM : インストゥルメンタル曲とシンガーが加わる曲とでは曲を作る上で違いはありますか?それぞれで心掛けていることを教えて下さい。
G : インストゥルメンタル曲には印象的なギター・リフとテーマが必要不可欠だ。ただ、適当なバッキング合わせてソロを弾きまくるのはあまり好きではない。そういう理由もあってインストゥルメンタル曲は滅多に書かないんだ。基本的にはヴォーカルが入っている曲の方が好みではある。

MM : アルバムにおけるギター・ソロはどの曲もメロディックでありながらもテクニカルかつスリリングな起承転結がある素晴らしいプレイです。あなたがソロを組み立てる際のアプローチ方法についてお聞かせ下さい。
G : まさにその通りで、自分のソロを考える時はメロディーとテクニックという2つの要素を上手くミックスすることを心がけているよ。最も大切なのはその楽曲に適した音符を選ぶことでもある。通常、ソロをレコーディングする時はまずバッキングに合わせてジャムをするような感じで何度か弾き、そして何テイクか録音する。その中で自分が良いと思った部分を残し、残した部分をもう一度覚えた上で再度レコーディングするようにしている。


Photo by Patric Ullaeus

MM : 今回のアルバムの中で使用したギター、アンプ、エフェクター、ペダル類を教えて下さい。 
G : ギターはESPのシグネイチャー・ギターでNT-II FM、NT-III、NT-III 24、それとEC Rock Artを使っている。アコースティック・ギターはLAGの6弦と12弦を使った。アンプはシグネイチャー・モデルでもあるBlackstar BLACKFIRE 200を使っているが、それ以外にもBlackstar HT-100、Marshall JCM 2000、そしてBognerも使った。フットペダルはシグネイチャー・モデルでもあるBBE G ScreamerとMorleyのワウ・ペダルを使った。

MM : 一つの作品の中に多くの個性的なアーティストが参加するとオムニバス的な散漫な印象を聴く者に与えてしまうリスクもあるかと思いますが、今作では見事に一貫した世界感を持つあなたのソロ・アルバムとして成立しています。このことについてあなたが心掛けていたことをお聞かせ下さい。
G : 自分のアルバムでも散漫な感じになってしまうのではないかという心配はあったよ。でも、結果的には曲から曲への上手い流れが作れた。実際、作品を作っている段階では特にそのようなことを気にしていなかったけどね。自分が作った楽曲を心の底から好きだと思えるかどうか、そして楽曲の出来に満足していたかどうか・・・そういった点を重視していた。このアルバムにはシュレッド系の曲からクラシック・ロック、メロウなアコースティック・ナンバーまで、様々なタイプの曲が収録されている。異なる性質も持ちながらも均一性をどこかで持っていると言えるかもしれないね。

MM : 今後の予定をお聞かせ下さい。
G : 春はマーティー・フリードマンと一緒に”Guitar Universe 2014”と題されたツアーをヨーロッパで一緒にやる予定だ。夏はフェスティバルにいくつか出演して、秋にはまたヨーロッパ以外の各国でツアーを続けていければと思っている。

MM : オジー・オズボーンでの活動としてはニューアルバムなどの予定はあるのでしょうか?
G : 次のアルバム用のマテリアルは沢山あるよ。でも、いつアルバムを作るかはOzzyの判断だからね。それが近い将来だといいね!

MM : それでは日本のファンへメッセージをお願いします。
G : 今回はソロ活動でも色々と応援してくれてありがとう!日本の皆さんには長い間サポートしてもらえて本当に感謝しているよ!早くまた日本に戻って皆の前でプレイできるのを楽しみにしている!

 

Gus G. official site : http://www.gusgofficial.com/

I AM THE FIRE / Gus G.

キング KICP-1683 \2,574 税別

1. MY WILL BE DONE
2. BLAME IT ON ME
3. I AM THE FIRE
4. VENGEANCE
5. LONG WAY DOWN
6. JUST CAN’T LET GO
7. TERRIFIED
8. EYES WIDE OPEN
9. REDEMPTION
10.SUMMER DAYS
11.DREAMKEEPER
12.END OF THE LINE
13.WITHOUT YOU (Exclusive Japan Bonus track)