Vol.9 Joseph Williams / March 2012

Joseph Williams

 昨年2011年9月のTOTOの再結集日本公演ではバンドのリード・シンガーとして素晴らしい歌声を聴かせてくれたジョセフ・ウィリアムス。  そんなジョセフにTOTOでのツアー、スウェーデンのギタリスト&コンポーザーであるピーター・フリーステットとのプロジェクト「WILLIAMS/FRIESTEDT」、そして日々の作曲活動などについて語って貰った。

 

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Tomoko Kikuchi

ジョセフ・ウィリアムスは「スターウォーズ」や「ジョーズ」、「インディジョーンズ」など数々の映画音楽の作曲家として有名なあのジョン・ウィリアムスの息子として生まれ育っている。1982年には自身のソロアルバム「Joseph Williams」でデビューし、1986年にはTOTOの3代目のシンガーとしてバンドに加入。「ファーレンハイト」(1986年)、「ザ・セブンス・ワン 第7の剣」(1988年)を発表。 その後にバンドを脱退し、再びソロ活動に入るがTOTOのメンバーとの交流は続いており、2011年9月に行われたTOTOの日本公演ではリード・シンガーとして素晴らしい歌声を披露した。
またジョセフはスウェーデンのギタリスト&コンポーザーであるピーター・フリーステットと共にアルバム「WILLIAMS/FRIESTEDT」を発表しており、この作品はジョセフが加入していた80年代当時のTOTOを想起させる爽やかでメロディックなアルバムとなっている。今回ジョセフにはTOTOや「WILLIAMS/FRIESTEDT」のこと、更には作曲についても語って貰った。
(尚、当インタビューは2011年末に行っておりインタビュー中で語られているTOTOの2012年ツアーやジョセフの今後の活動予定については、インタビュー後に新たな展開を見せている。それらについてはインタビュー文中に補足を入れている。)

Muse On Muse (以下MM) : まずはTOTOにおける2011年9月の日本公演についてお聞かせ下さい。  今回のツアーは久々にデヴィッド・ペイチ、スティーヴ・ポーカロ、そしてあなたが戻ってきたショウであった為、大好評でした。TOTOのボーカリストとしては久々の日本でのフルステージのショウでしたが、あなた自身は今回のツアーをどのように感じましたか?
Joseph Williams (以下JW) : 日本には、この25年間の間に何回も訪れていて、その全てが素晴らしかったけれど、TOTOのメンバーとしてまた日本に戻ってこれたのは格別さ!最高だったよ!!武道館で演奏するのが大好きなんだ。それは、僕たちみたいなカリフォルニアのミュージシャンにとって、とても重要なことなんだ(笑)。  ルーク, デヴィッド, スティーヴとツアーをするのも大好きだし、僕たちはいつも笑っているよ。彼らのミュージシャンとしての偉大さが、僕のシンガーとしての仕事をとても楽にしてくれるんだ。

MM : 今回のショウではファンは勿論のこと、ステージ上のメンバーもライヴでのプレイを楽しんでいる様子が伝わってきました。バンドの状態も非常に良さそうでしたが、実際は如何でしたか?
JW : とてもよかったよ!  他のメンバーもいい状態だったと思う。ルークとスティーヴは確実にそうだね。 僕は、体力トレーナーとボーカルトレーナーをつけて、一年以上トレーニングしてきたのだけど、その努力が報われたよ!それとライブは、もうとにかくまた演奏ができるということだけで嬉しいよ。

MM : 今回の日本公演の中で特に印象に残っていることは何かありますか?
JW : 公演に来てくれた人たちの年齢層の広さにびっくりしたね。

MM : 2012年夏にもTOTOによるワールドツアーを行う方向で進んでいるようですが、セットリストの内容は今回のツアーとは違うものになるのでしょうか?
JW : 2012年については、現在計画中なんだ。 まだ何も決まっていないけど、TOTOの活動は続けるし、セットリストも変わるだろう。これだけは約束できる! [ 注) インタビュー後、2012年夏のTOTOのヨーロッパツアー日程が発表された。]

MM : イタリアで収録されたライヴの様子がライヴDVDとしてリリースされるようですが、収録当日の様子は如何でしたか?
JW : あの公演はとても良かったと感じたよ。僕たちはとてもいい状態だったし、バンドとしても息が合っていた。ボーカルもすべて入っていたし、最高だったんだ!映像をみるのが楽しみだよ!

MM : 今回の再結成メンバーによるスタジオアルバムの新作の可能性はありますか?
JW : そのことについてはルークやデヴィッドに聞いてほしいな。 バンドを代表して発言はできないけれども可能性は無いと思うよ。

MM : それでは日本でも9月にリリースされているあなたとピーター・フリーステットによるアルバム「WILLIAMS/FRIESTEDT」について聞かせて下さい。  まずはこのプロジェクトをピーター・フリーステットと手掛けることになった経緯を教えて下さい。
JW : ピーターとは長い付き合いの友達なんだ。 何年も前に、彼がLAに来て、彼のソロ作品を作ったんだ。彼は、ビル・チャンプリンとたくさん仕事をしていて、ビルを通して出会ったんだ。 僕たちは、スウェーデン行きの計画をはじめて、バンドとして活動しようとしたんだ。 ピーターと仕事をはじめて、3、4年目になるけど、いまだに発展しているよ。

MM : 今回のアルバムを制作するにあたってのコンセプトを教えて下さい。
JW : これは、ピーターが生み出した作品なんだ。 元々、僕は数人のシンガーたちの一人だったんだけれど、彼が披露してくれた作品全てを歌い続けただけ。本当にそれだけさ!

MM : レコーディング現場ではあなたはシンガーとしての役割以外にもアルバムのプロデュース的な作業にも携わっていたのでしょうか?
JW : 僕の役割は、ほとんどがシンガーとしてだったよ。 意見は出したけれど、制作と編集はすべてピーターが施した。

MM : ピーターの曲作りや曲に対するギターのアプローチのスタイルからはTOTOからの影響もかなり感じられました。 あなた自身はどのように感じていますか?
JW : あぁ、そうだね! ピーターが、ルークやマイケル・ランドウなどのプレーヤーたちを聴いて育ってきたというのがわかるだろう。 作曲についても、TOTOに影響をされているね。 彼のそういうところが好きなんだ。 彼は、熱心なファンだけれど、彼自身が素晴らしいプレーヤーでもあるんだ。 彼は、僕のお気に入りのギタリストの短いリストに入るんだよ。 少し名前をあげると、Mason Williams, Bob Bain, Robben Ford, Steve Howe, Trevor Rabin, Graydon, Luke, Landau… あれ、リストは短くなかったな(笑)!

MM : 今回のアルバムの作曲者のクレジットの中にあなたの名前は見当たりませんでしたが、あなたが参加する時点で既に曲は準備されていたのでしょうか?
JW : 僕は、このプロジェクトでは作曲者ではないよ。

MM : 曲を歌う上で、あなた自身が作った曲を歌う場合と他の人が作った曲を歌う場合とでは曲に対するアプローチの仕方に違いはありますか? 自分が作った曲は既に表現したい事、リスナーに伝えたいことが明確に存在していると思いますが、他の人が作った曲ではその辺りを理解することから入るのでしょうか? それぞれの場合におけるあなたのアプローチ方法について教えて下さい。
JW : アプローチは同じさ! 僕の曲にボーカルを正しくのせるのに永遠と時間がかかったり、他の人が作った曲では容易にできることがある。 その逆もあるんだ。 実際、自分には歌うのが難しい曲を作る。 しかし、ピーター、ルーク、デヴィッドや他の誰かが僕に歌ってほしいというデモを聴くと、作曲されたままのようには歌えないと感じることもある。 その時は、曲が自分に合うような方法を探るか、誰か他の人に歌ってもらうよう提案する。 自分の歌唱スタイルでうまくいかない時は、正直に認めるよ。

MM : 今回のアルバムを制作を通してあなたが感じたプロデューサー、作曲家、そしてギタリストとしてのピーター・フリーステットをお聞かせ下さい。
JW : ピーターは素晴らしいよ。 彼は本当に、あの80年代の西海岸ジャズ・ポップ/ロックのプロデュースの仕方を知っている。 それと、彼はFacbookの活用方法も知ってるね(笑)。

MM : 今後もピーターとは今回のようなプロジェクトに取り組んでいくのでしょうか?
JW : ピーターと僕は、必ず将来いっしょにプロジェクトに取り組むよ。 いつになるかは言えないけれどね。

MM : あなたのオリジナルのソロアルバムは2008年にリリースされた 「This Fall」 ですが、次のオリジナルのソロ・アルバムの制作は予定しているのでしょうか?
JW : 今のところ予定はないけれど、アルバムを作ることをいつも空想しているんだ。 大成功して、僕を宇宙一偉大なシンガーにしてくれる作品をね(笑)!。

MM : あなたは素晴らしいシンガーであると共に素晴らしい作曲家でもあります。 作曲家としてのあなたについてお聞かせ下さい。
JW : 君は本当に優しいな、たぶん、少し優しすぎるよ! 自分が与えられた声を最大限に生かしてこれたと思っている。 シンガーとしてのキャリアも、誇りに思っている。 僕がいつも憧れていたような作曲家にはなれないと思うけれど、自分で気に入っている作品はあるよ。 何人かの本当に優れた作詞家や作曲家と、いっしょに作曲ができてとてもラッキーだった。 デヴィッドや、ルーク、ジェフやスティーヴ・ポーカロ、そして僕の父! リストはずっと続くよ。 僕の作曲家としての最大の成功は、彼等と一緒に曲を書ける機会に恵まれた共作者であることだ!

MM : あなたが一番最初に自らのオリジナル曲を作ったのはいつですか? それはどのような曲だったのでしょうか?
JW : 実は覚えていないのだけれど、良い作品でなかったことは確かだ(笑)

MM : あなたの父親ジョン・ウィリアムスも偉大な作曲家であり数多くの素晴らしい曲を作り出していますが、 あなたが見てきた音楽家としての父親はどうでしたか?
JW : そうだね。 僕の父は才能のある作曲家であり指揮者でもあったが、ほとんどの人は実は父が素晴らしいピアニストだったことを知らないだろうな。 父はトロンボーンも演奏できたんだよ!

MM : あなたが曲を作る上で歌詞を書くことと、メロディを作り出すことはどちらが難しいですか?
JW : どちらも難しくないよ。 僕にとっては、どちらの作業も靴を履くように自然で簡単なことだよ。

MM : 曲を作る際にフッと浮かんできたメロディをストックするような場合に重宝している小物はありますか?
JW : もし何か記憶しておく必要があるときは、iPhoneのレコーダーを使うよ。すばらしいテクノロジーだよ!

MM : 曲を作りだす上では感性や才能が非常に重要だと思いますが、それが何十曲、何百曲ともなると、それだけでは続かないようにも感じます。 あなたのようにプロの作曲家として数多くの素晴らしい曲を作り続けていく上で感性や才能といったもの以外に必要なことは何でしょうか?
JW : とにかく訓練だ!これは忘れてはならないよ!

MM : あなたのようなシンガー、ソングライターを目指している人たちにアドヴァイスがあればお聞かせ下さい。
JW : 学校に戻って、生活費が稼げるように学位を取得するんだ! そして、もし自分の内なるものを見出していきたいのなら、宝くじを買って当たるように祈るんだ。 なぜなら、この冷酷なビジネスの世界に入ろうとしているときに、お金が必要になってくるからさ。 そして、練習、練習、さらに練習だ!

MM : あなたがソングライティングの面で影響を受けてきたアーティストを教えて下さい。 また若い世代のアーティストであなたが注目しているアーティストがあればお聞かせ下さい。
JW : スティーヴィー・ワンダーとポール・マッカートニーに影響を受けたよ。それと、シェリル・クロウは素晴らしい作曲家だ!

MM : 今後のあなたの活動予定について教えて下さい。
JW : 一公演ずつこなすことだな(笑)![注) ジョセフはピーター・フリーステット、ビル・チャンプリンと共に2012年3月にヨーロッパツアーを予定している。]

MM : それでは日本のファンにメッセージをお願いします。
JW : 日本のファンへのメッセージはこれだ…ありがとう!大好きだ!ライブで歌うためにまたすぐ日本に行けるといいなと思っているよ!!!!


「WILLIAMS/FRIESTEDT」  JOSEPH WILLIAMS & PETER FRIESTEDT
ヴィヴィド・サウンド VSCD3535 / ¥2,625(tax in)

1. Stay With Me
2. Gotta Find It
3. Swear Your Love
4. Sometimes You Win
5. Going Home
6. Where To Touch You
7. Say Goodbye
8. One More Night
9. Water Colors(日本盤特別収録)
10. Letter To God
11. One More Night(Unplugged)
12. Letter To God(Unplugged)
13. Stay With Me(Instrumental)
14. Swear your love(Instrumental)
15. Sometimes You Win(Instrumental)
16. Say Goodbye(Instrumental)