Vol.152 Robben Ford / May 2026

Robben Ford


Photo by Rob Blackham

ジェフ・ベックとハワード・アレクサンダー・ダンブル。二人の偉大な存在へロベン・フォードが捧げた最新作『Two Shades Of Blue』は、単なるブルース・アルバムでも、単なるトリビュート作品でもない。そこにあるのは、円熟のギタリストが磨き上げたトーンへの美学と、音楽的インスピレーションの源泉に対する深い敬意。
本作でロベンは、ジェフ・ベックに触発された自由な表現と、ダンブル・アンプがもたらす豊かなレスポンスを通して、自身の“声”を改めて見つめ直している。「自分の声の50%はアレクサンダーが与えてくれた」と語る言葉からは、機材を超えた信頼関係と、サウンドに対する揺るぎない信念が浮かび上がる。また、楽曲面ではインストゥルメンタルとボーカルを交差させながら、ブルース、ファンク、そしてロックのエッセンスを自然体で融合。そこには、派手さではなく“音そのものの説得力”を追求するロベンの哲学が息づいている。
今回は『Two Shades Of Blue』に込めたジェフ・ベックとダンブルへの想い、使用機材、そして理想のトーンに対する考え方について、ロベン・フォードに語ってもらった。

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Muse On Muse (以下MM) : 『Two Shades Of Blue』の制作を始めたとき、どのようなサウンドやアイデアを探求しようと考えていましたか。
Robben Ford (以下RF) : このアルバムは、ジェフ・ベックとハワード・アレクサンダー・ダンブルへのトリビュートとして始まった。若い頃の僕はジェフからそれほど影響を受けていたわけではなく、新たなインスピレーションを求めていたんだ。彼のライヴを2008年頃に初めて観てから、ずっと彼のプレイにとても魅了されたファンだったよ。彼の死を受けてから何らかの形で彼に敬意を表したいと思っていたんだ。ただ、彼の曲を彼のやり方で演奏するだけでは意味がないし、そもそも私にはそんなことはできないからね。また、この作品は僕のアンプを製作してくれたアレクサンダー・ダンブルにも捧げている。彼は天才的なエンジニアであり、非常に音楽的な耳と感性を持った人物だった。

MM : このアルバムはボーカル曲4曲、インストゥルメンタル4曲という構成になっています。このバランスは意図的だったのでしょうか。また曲順について何か考えていたことはありますか。
RF : 最初にアメリカで録音したトリビュート曲の中で、アルバムにふさわしいと思えたのは3曲のみだった。そこでロンドンに戻り、イギリスのバンドとスタジオに入ってボーカル曲とインストゥルメンタルの“Two Shades of Blue”を録音したんだ。必要に迫られてそうしたわけではないけど、その結果、より魅力的な作品になったと思っているよ。

MM : “Perfect Illusion”は美しいメロディと前向きなメッセージが印象的な楽曲です。この曲はどのように生まれ、どのようなことを表現したかったのでしょうか。
RF : 最初にあったのはタイトルだけだった。車道に落ちた水滴に光の色が反射していて、それがまるで宝石のようだった。そこから“Perfect Illusion”という言葉が生まれた。そこから自然に曲ができていった。冒頭のコード進行はあったけれど、まだ曲にはなっていなかった。その2つのアイデアがうまく噛み合いそうだったので、集中して曲を作り上げたんだ。

MM : Jealous Guy (John Lennon) と Black Night (Jessie Mae Robinson) をカバーした理由を教えてください。
RF : ある朝目覚めたときにその曲が頭の中に鳴っていた。そのまま忘れてしまう代わりに、「自分ならどう料理できるだろう」と考えてみたんだ。自分自身への挑戦だったし、それはうまくいったと感じているよ。実際に演奏して録音するには勇気が必要だったけどやって良かったと思っている。それから僕はマイナー・ブルースを歌って弾くのが大好きなんだ。“Black Night”は昔からお気に入りの曲だった。


Photo by Rob Blackham

MM : “The Fire Flute”の幻想的な雰囲気や、“Feeling’s Mutual”のブラスとギターのグルーヴはとても印象的です。
RF : “The Fire Flute”は、フリジアン・モードで曲を書いて演奏するという練習から始まった。これもまた自分への挑戦だったんだ。“Feeling’s Mutual”は、Maceo Parkerの“Shake Everything You Got”にインスパイアされた曲だ。あれは僕が聴いた中でも最もファンキーで、最も喜びに満ちた音楽のひとつなんだ。僕は聴く人の身体を自然に動かしてしまうような音楽が好きなんだ。

MM : このアルバムで使用したギター、アンプ、エフェクトについて教えてください。
RF : “Make My Own Weather”と“Black Night”のソロ、それに“Two Shades of Blue”のメロディには、ダンブルのOverdrive Specialと52年製のGibson Les Paulを使った。“Jealous Guy”、“Make My Own Weather”のリズム、“Perfect Illusion”と“Two Shades of Blue”のソロには60年製のFender Telecasterを使っている。そしてジェフ・ベックにインスパイアされた“The Fire Flute”、“Fandango”、“Feeling’s Mutual”には66年製のFender Stratocasterを使用した。アンプはLittle Walter 59で、素晴らしいアンプなんだ。エフェクトの大部分はスタジオのものだが、Strymon Timelineは使っている。僕のペダルボードの中では欠かせない存在だけど、スタジオではそれほど多用はしない。

MM : 新しいギターやアンプ、ペダルを試すとき、どんな点を重視していますか。
RF : 透明感、厚み、パンチ、明瞭さ、均一さ、そしてヘッドルームだね。

MM : ジェフ・ベックとハワード・アレクサンダー・ダンブルに捧げられているアルバムですが、彼らがあなたに与えた影響についてあらためて教えてください。
RF : さっきも言ったように、ジェフが僕にとって大きな存在になったのは比較的後になってからなんだ。でも、あれほど新鮮で強烈なインスピレーションの源を得られたのは本当に刺激的だった。エレクトリックでロックとブルースに根ざしたギターという意味では、彼はまさに頂点に立つ存在だ。アレクサンダーは親しい友人で、本当に素晴らしい人だった。そして、僕が“自分の声”だと思っているものの50%は彼が与えてくれたと言ってもいい。それほど大きな贈り物だし、とても恩を返しきれるものではない。彼は健康上の問題や体重の問題、そしておそらく多少の猜疑心もあって隠遁生活を送っていた。でも、本当に愛すべき人物だったし、僕は彼を愛していた。今でも、もう一度会えたらな、と思うことがあるよ。


Robben Ford / Two Shades Of Blue

1. Make My Own Weather
2. Jealous Guy
3. Perfect Illusion
4. Black Night
5. Two Shades Of Blue
6. The Fire Flute
7. The Light Fandango
8. Feeling’s Mutual