Vol.133 Martin Miller / May 2023

Martin Miller

オンラインでのギターレッスンやギター教材の提供、そして登録者数が70万人以上、再生回数も1億2000万回以上を誇る自身のYouTubeチャンネルでは、Martin Miller Session Bandで70~90年代の名曲の数々を質の高いカヴァーで披露するなどで世界中にコアなファンを持つドイツ出身のミュージシャン、マーティン・ミラー。2013年にはギター主導のインストゥルメンタルアルバム「The Other End」をリリースしているマーティンだが、今回は自身がボーカルも担う最新作「Maze of My Mind」を発表。キャッチーな歌メロと高度なテクニックを基盤に知的なフィーリング、センスが溢れ出るギターワークが彩るプログレッシヴ・ヘヴィ・ロックに仕上げられたこの最新作では、マーティンのギタリストとしての魅力はもちろん、ボーカリスト、作曲・アレンジといったトータルな音楽センスが遺憾なく発揮されている。最新作「Maze of My Mind」についてマーティンに訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Hiroshi Takakura

Maze of My Mind - Photo Shoot #1

Muse On Muse (以下MM) : 最新アルバム「MAZE OF MY MIND」をリリースした今の気持ちをお聞かせ下さい。
Martin Miller (以下MM) : 10年ぶりのソロアルバムだからとても興奮してるよ。みんなのリアクションが楽しみだね。

MM : 今作ではどのようなことを目指しましたか。
MM :  70年代から90年代までの音楽に対するノスタルジーと最先端の音楽、それにミュージシャンとしてのスキルを発揮した、ボーカル入りのプログレッシブ・ヘヴィロックのアルバムを作ることだね。

MM : アルバムタイトルを「MAZE OF MY MIND」にした理由をお聞かせ下さい。
MM : このアルバムの収録曲である“Fragments”の歌詞の一文を使ったアルバム・タイトルだね。タイトルが表しているように内省的なリリックを担っているよ。

MM : 不思議さと美しさを併せ持つアルバムジャケットが印象的です。
MM : このアルバムのジャケットは、マーカス・ヴェスパーというアーティストによるものなんだ。アルバム・タイトルと僕の歌詞に沿ったアートワークを作ってくれた。多くの歌詞がデザインに反映されているよ。

MM : アルバムに参加している各メンバーについて教えて下さい。
MM : ドラムにはObscuraやPanzerballett、Obsidiouでドラムを担当していた、セバスチャン・ランサー、キーボードとベースにはMartin Miller Session Bandのメンバーであるマリウス・ライヒトとベン・ユッドが参加しているよ。

MM : 今作であなたはボーカルも担い、素敵な歌声を披露しています。Youtubeのカバープロジェクトでは様々なアーティストの曲をカヴァーし歌っていましたが、自身の作品の中で正式に歌ってみようと思った背景を教えて下さい。
MM : ボーカルはもう、かれこれ7年以上もトレーニングしているからね。今回の作品がボーカルに情熱を持ってオリジナルでクリエイティブな曲を歌ういいタイミングだと思ったんだ。

MM : アルバムのオープニングを飾る”Something New”は、冒頭のシンセ、ドライヴしたリズムギターとリズム隊によるグルーヴ、ボーカルのメロディックな歌ごえを支えるバックでのピアノサウンドの響きの美しさなどが素晴らしく、ドラマッチックさと壮大なスケール感を持っています。
MM : ありがとう。このアルバムを作る上でグルーヴとメロディーは一番重要視し、特に力を注いでいる部分だね。

MM : “Fragments”では、ピアノの響きとあなたの優しい歌声を中心に曲が展開します。
MM : このアルバムの中で一番暗くてムーディーな曲だね。この後に続く明るく盛り上がる曲のトーンとは反対の内容にしたんだ。

MM : “Left Inside”ではヘヴィで複雑なギターとメロディックなコーラスにDream Theater的なものを感じたのですが、その一方で80年代の英国ニューウェイヴ・ロックのアーティストなどが持っていた洗練された美しさ、クールさも合わせ持っており、あなたならではのオリジナリティを感じました。
MM : ”Left Inside”はこのアルバムの中で一番最初に書いた曲で、ここからどういう方向性に作品を広げようか考えていたよ。

MM : “Web of Lies”では冒頭からのベースがとても印象的な曲です。”Web of Lies”に込められた意味を教えて下さい。
MM : これはSNSなどのオンライン・コミュニティでネガティブな考え方や嘘を広める人へのメッセージだね。音楽的にはすごくエンジョイできる、エネルギッシュなロックの曲で、少しだけジャズ・フュージョンをミックスしているよ。

MM : “Compass(Beneath the Lights)”が持つ壮大なスケール、美しさに圧倒されます。
MM : 自分にとってアルバムで最も重要な曲だね。世界中のミュージシャンやアーティストに捧げた曲で、困難な時期ににクリエイティブなことを続けているみんなをリスペクトしているよ。音楽的には最も複雑でな構成をしていて、サウンドトラックやクラシックの曲を作るときのように様々なテーマを持ちながら1曲の大きなピースとして制作した曲だね。

MM : アルバムで使用したあなたのギター、アンプ、エフェクター、ペダルについて教えて下さい。
MM : 僕の2つのIbanezのシグネチャーギター、Ibanez MM1とIbanez MM7を使ったよ。メインのアンプはLaney IRT-Studioで、それにいくつかのプラグインも使っている。

MM : ギタリストとしてのあなたの素晴らしさは既に多くの人達の知るところですが、今作ではそれに加えて、ボーカリストとしての優秀さ、そしてコンポーザーとしての卓越した作曲・編曲の能力を強く認識させられました。
MM : ありがとう。3つの役割を同時にこなすのはチャレンジだった。楽しんでくれたみたいで嬉しいよ!

MM : 今作はギタリストが陥りがちなギタープレイヤー向けの作品ではなく、幅広い音楽ファンに受け入れられる良質で心に刻まれるメロディ、構築美を感じさせるアレンジを持つ楽曲が揃っており、ミュージシャンとしてのあなたの総合力が発揮された作品です。
MM : そうだね。ただのギターの作品じゃない。1人の人間が書いた作品なんだけどバンドの作品のように感じるんだ。ギターを弾いている弾いていないに関係なく全ての人に音楽を届けたいからね。

MM : 作曲・編曲の能力を高める上であなたが取り組んできたことをお聞かせ下さい。
MM : 少しづつではあるんだけどピアノはほぼ毎日練習しているよ。ピアノがメインの作曲ツールなんだ。自分のアイデアをすぐ形にするために、DAWを使いこなしたプロダクションのテクニックも深く学んでいるよ。

MM : 今後の予定を教えて下さい。
MM : ちょうど新しい本「Modern Rock Guitar Soloing」をAmazonでリリースしたところだよ。Martin Miller Session Bandと一緒にツアーに出る予定で、新しいIbanez MMN1シグネチャーモデルのギターも今年後半に発売される予定だよ。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
MM : 日本のファンは本当に素晴らしいね。みんなには感謝しているよ。毎回君たちの美しい国を訪れるのを楽しんでいる。どうもありがとう!

Martin Miller Official website https://www.martinmillerguitar.com/


Martin Miller / Maze of My Mind
1. Something New (8:56)
2. Fragments (5:51)
3. Left Inside (7:32)
4. Web of Lies (6:39)
5. Compass (10:26)

https://ffm.to/mazeofmymind

Line-up
Martin Miller – Composition, Lyrics, Production, Mix, Guitars, Vocals, Programming,
add. Keyboards, Bass (3)
Sebastian Lanser (Obsidious, ex Obscura, ex Panzerballett): Drums (all tracks)
Ben Jud (Martin Miller Session Band): Bass (1, 2, 4, 5)
Marius Leicht (Martin Miller Session Band): Keyboards (1, 2, 3, 4)
Zach Ansley – Lyrics Co-Writer (all tracks)