Vol.94 Robben Ford / February 2019

Robben Ford


Photo by Mascha Thompson

素晴らしいギター・トーン、そしてブルース・ギタリストとしての熱いプレイはもちろん、洗練されたお洒落な曲作りやギター・プレイにおけるフレージングなどでファンを魅了し続けている名手 ロベン・フォード。ギタリスト、ボーカリストとして既に名手として名を馳せているロベンは、最新作「PURPLE HOUSE」において、これまでとはまた違ったヴァラエティに富んだ、より今風で洒落た音楽性を持つ作品創りに見事に成功しており、プロデューサー、コンポーザーとしても更なる高みに達している。聴き手を魅了する上質なブルース・ロック作品「PURPLE HOUSE」についてロベンに訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Hiroshi Takakura


Photo by Mascha Thompson

Muse On Muse (以下MM) : 最新作「PURPLE HOUSE」は、様々な音楽要素を取り入れつつもあなたならではのオリジナリティが発揮されており、これまでのあなたの作品とは違った新しさも感じられる素晴らしいアルバムです。このアルバムではどういったことを目指しましたか?
Robben Ford (以下RF) : これまで長年やってきたような、ライブパフォーマンスを念頭に置いた作品作りとは違ったスタイルでやりたかったんだ。現代のレコーディング技術やツールを全て活用して、ライブではできないような、音楽的にも幅広いスタイルを提示した閃き的な部分を表現したかった。もちろんスタジオではライブで録音してるんだけどね。

MM : これまでとは違う作風のアルバムを作るに際してソングライティングはどのように進められたのでしょうか?
RF : ほとんどの作品をソファーに座ってアコギを弾きながら書いたんだ。今までずっとやってきているやり方だね。歌詞にはかなり時間をかけて自由なスタイルで書いていて、比喩や隠喩を多用する。どうやって言葉を繋げていくかっていうのが一番重要で、そうすれば自分でも驚くほどに無駄なくストーリーが出来上がって来るんだ。

MM : 歌詞作りについてもう少し教えて頂けませんか?
RF : 最初の一行でインパクトを与えようと試みている。一つ目のラインにインパクトがあれば二つ目の行を考えるのがかなり楽になる。Renegade Creationの「All Over Again」の歌詞を書いた時の一行目「Raindrops like hammers hit the ground(雨がハンマーのように地面を叩いている)」のように強烈なイメージを与えていくんだ。実際に雨がクレイジーに降っていた時だったから、その歌詞が浮かんだんだんだけどね。”ground”って単語は最後のDを発音するまではオープンな母音で構成されているから、”Sound”や”Down”とというような同じようにインパクトのある単語と韻を踏みやすい。こういう方法で書けば、後につながる歌詞がどんどん繋がっていって曲が出来上がっていくイメージだね。

MM : 今作ではアレンジ面においても根底にブルースを感じさせつつもモダンで魅力的なものとなっています。
RF : 作曲とアレンジは同時に行う。良い曲ができればアレンジの作業も簡単なんだ。少し悩んだり詰まったりしたら、周りのメンバーに聞かせて足したり引いたりしてもらう。基本的には自分の曲だからほとんど自分のアイデアで出来上がるんだけど、理想的にはみんなが参加していくのが良いね。

MM : その一方、各曲でのギター・ソロについては、アレンジと対比させるかのようにシンプルでダイレクトなブルース・フレーズを狙っているように感じられましたが。
RF : 僕はブルース奏者だからね。ソロについて特に言うことは無いんだけど、好きな音色を探してそれを曲の中で弾いていくだけだね。曲によってはそれに合ったムードを見つけるのに時間がかかる事もあるけど、僕はいつもブルースを弾くのさ。

MM : アルバム・タイトルを “PURPLE HOUSE” としたのは?
RF:テネシー州のレイパーズ・フォークにある紫色の家の中のスタジオでレコーディングしたのがその理由だよ。

MM : アルバムはモダンかつパワー溢れる”TANGLE WITH YA”で一気に聴き手をアルバムに惹き込みます。
RF : ロックな曲だね。始めはスローなブルースだったんだけど、僕たちのドラマーと初めて一緒に演奏した時に、彼はドラムをテストする時みたいなパターンのビートを弾いたんだ。次の日のリハーサルに行く途中で昨日のドラムとこの曲を合わせようってアイデアが浮かんでこういう曲になった。

MM : 美しく幻想的なナンバー”EMPTY HANDED”についてお聞かせ下さい。
RF : ソファーに座ってアコギでオープンコードを弾いていたんだ。孤独で悲しい感情になってきて、その感情に合う歌詞を見つけようとした。頭に浮かんだ言葉が「Empty Handed」だったんだ。そして同じように印象的な言葉を繋げて行くうちに、実体験とフィクションが混在する物語になったんだ。

MM : 心地良いビート上でボーカル、サクスホーン、ギターが展開される”COTTON CANDY”はインパクトある曲です。
RF : このアルバムの曲の中で最後にレコーディングした曲で、マッスル・ショールズのFAMEスタジオで録音したんだ。あの場所には言葉では言い表せないエネルギーがあふれていて、良い音が作れる空気になっている。グレイトな曲が録音できたから、それを持ち帰ってアレンジした。この曲のレコーディングは本当に楽しかったよ!

MM : “BREAK IN THE CHAIN”にShemekia Copeland、”SOMEBODY’S FOOL”ではTravis Mccreadyがボーカルで参加していますが、彼女達が参加することとなった経緯を教えて下さい。
RF : その2曲には自分よりも強力なボーカリストが必要だと思ったんだ。僕はロック歌手じゃ無いからね。だから自分で満足いかないボーカルを乗せるより、その曲が生きるシンガーに頼んだのさ。

MM : Drew Smithersがギターで参加している”WILLING TO WAIT”について説明頂けますか?
RF : ドゥルーとはナッシュビルのギターショップで会ったんだ。その少し後に彼が演奏しているのを聴いて、僕の曲で弾いてもらうように招いたんだ。若くて才能のあるやつに然るべき機会を与えるのは好きだからね。いわゆるスーパームーンが出ている時にあの曲を書いた。空を見上げて大きな月を見て曲の最後のパートを書いた。「月が空を渡る時・・」ってとこの歌詞が大好きだ。すでに曲の最初の部分は書き終えていて、そのインスピレーションは曲の最後にふさわしいものだった。すごく自然に出来上がったんだ。

MM : アルバムで使用しているギター、アンプ、ペダル類について教えて下さい。
RF : ギターは1964のGibson SGを、アンプはリズムトラックにはヴィンテージのFender Pro-Reverbを、ギターソロには Vibrolux-Reverbを使って録った。リズムのほとんどのパートには Les Paul Juniorとthe acoustic is a 59 Gibson J-45を使った。美しいギターだね。 ペダルはElectro-Harmonix Dejavibeを色んな箇所で、Twimbleというオーバードライブペダルをヘヴィーなリズムの時に使っている。ペダルは色々試すけどあくまでも味付け程度に落ち着くことがほとんどだ。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
RF : 「PURPLE HOUSE」は自分でも誇れる作品になったから、みんなも好きになってくれると嬉しいな。日本のファンに愛を!

Robben Ford official site  http://robbenford.com/


Robben Ford / Purple House
KICJ812 KING RECORDS ¥2,600 + tax

1. Tangle with ya
2. What i haven’t done
3. Empty handed
4. Bound for glory
5. Break in the chain
6. Wild honey
7. Cotton candy
8. Somebody’s fool
9. Willing to wait