Vol.93 BLINDMAN / January 2019

BLINDMAN

日本が誇るメロディック・ハードロックの至宝 BLINDMANが通算10作目となるスタジオアルバム「REACH FOR THE SKY」をリリース。これまでに哀愁美あるハードロックで長きに渡ってファンを魅了し続けているBLINDMANは健在!、今作でもファンの期待を裏切らない至高かつ唯一無二のBLINDMAN’s ハードロックが展開されている。また、新たな試みとして「ウォール・オブ・ サウンド」でポピュラー音楽界に多大な影響を与えた音楽プロデューサーであるフィル・スペクターが手掛けたことで有名なThe Crystalsの”Da Doo Ron Ron”のカヴァーを収録。The Crystalsのポップな楽曲が見事にBLINDMAN流スタイルに昇華されている。そして、ハードロックを聴かない音楽ファンをも納得させるであろう美しいナンバー”Blue Moon”では、バンドの音楽に対する懐の深さ、実力を改めて感じさせられる秀逸で要チェックなナンバーとなっている。珠玉のメロディック・ハードロック作品「REACH FOR THE SKY」についてメンバーに訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama


BLINDMAN L to R : Shun Minari(dr), Hiroki Matsui(key), Ray(vo), Tatsuya Toda(b), Tatsuya Nakamura(g)

Muse On Muse (以下MM) : 新作「REACH FOR THE SKY」のリリース、そしてそれに伴うライヴも各地で行われていますが、ファンの反応やバンドの状態は如何ですか?
中村 : バンドの状態はここ2年ぐらい凄く安定していますね。ファンの反応はかなり良いと思うけど、現時点で終わっているライブは発売直後だったのでまだ何とも言えないかな。

MM : 前回のインタビューでは、作曲について「机の前でイスに座って瞑想するように考える」、「”こいつ何を考えているんだ”っていうぐらい完成形に近い形のデモする。」 と語られましたが、今作では如何でしたか?
中村 : 今までと同じ。全く変わってないですね。

MM : 歌詞はRayさんが書いていますが、リーダーから提示されるデモに対してどのようにして歌詞のイメージを掴み、書き上げているのですか?
Ray : 送られてきたデモ音源を最初に聞いた時の印象で、大体の歌詞の構想を決めています。ファースト・インプレッションを凄く大事にしています。特にテーマとかは設けず、曲のイメージに合う内容の歌詞を書くことにフォーカスしました。

MM : 完成形に近いデモが提示される中で自分のパートのレコーディングに際してはどのように挑んでいますか?レコーディングする中でリーダーとの意見交換等はどのように交わされているのでしょうか?
Ray : 曲作りの過程では、中村君から週一ペースで新曲デモが送られてくるので、次の新曲が送られてくるまでにその曲の歌詞を含め仮歌を仕上げるよう作業をしていました。収録されているボーカルのガイドメロディーを元に、いろいろ吟味をした上で、自分に合った歌い回しに変換していく作業です。デモ段階で、ファースト・インプレッションの良かったメロディーは、ほぼそのままなぞる形にしています。例えば、”Angels Ladder”は、ほぼガイド・メロ(中村節)をなぞっています。”Roll the Dice”では、全編Ray節で歌わせてもらっています。中村君から、「ここはどうしてもこうしてほしい」という意見がある場合は、勿論、作曲者の意向を重視しました。そういったやり取りを経て推敲していたので、実際の歌入れの段階では、ほぼ歌メロは完成された形になっており、ボーカル・レコーディングは非常にスムーズに進みました。

松井 : 本当にリーダーが送ってくるデモって凄いんです(笑)  正直、これで良いんじゃないの?と思えるくらい完成度が高いんですよ! しかし、デモの特にオルガンパートはリーダーがパソコン入力した音源なのでオルガンらしい奏法、特にグリッサントやレスリーのFast/Slowのタイミング等は人の血が通ってないんですよね。私はオルガンに関してはその部分を特に意識して挑んでいます。と言ってもリーダーもオルガンをかなり研究して詳しいので学ぶ事も沢山ありますよ。レコーディング中も「ここはレスリー全開で!」とか「ちょっとドローバーの16’削ろうか?」とかギタリストとは思えない発言が多々あります(笑)

戸田 : ベースラインに関しては僕の頭の中で聞こえて来たものをまず弾いてみます。自分なりの物が出てこなければデモの通りに弾くこともあります。それはデモのラインがベストという事ですから。レコーディングに関しては『ミュージシャン』と『ディレクター、コンポーザー』ですから録りながら色々判断してもらってます。まあ大抵好きにやらせてもらってますよ。

實成 : 中村さんがドラムを本当によく研究しているので、ドラムフレーズでデモを大きくひっくり返すようなことはしなかったです。REC中は「もっとハマるポイントがあるはずだよ」というような感じのディレクションはありましたが、フレーズ指定は殆どなく、僕もその日その時思いついたままに自由にやらせてもらいました。

MM : Rayさんと峻さんは今作がBLINDMANのスタジオ・アルバムとしては2作目となりますが、前作と今作では作品を創る際の意識において変化はありましたか?
Ray : 僕がバンドに加入して3年が経ち、かなりBLINDMANワールドを理解出来たこともあり、前作(To the Light制作時)のような戸惑いはなかったです。自分のやるべきことや、完成までの道筋がはっきり見えていたので、作業は非常にスムーズでした。

實成 : 前作はもう別のドラマーを想定して作り録られた、90%完成しているアルバムのドラムを録り直したので、もう僕にどうこうできる範囲にも限界があったというか(笑) 2年半経って色々僕が好きな事やできる事も大いに盛り込んでくれたんだなとデモの段階で分かったので、個性…という程大げさなものは持ってないですが、自分をアピールできる良い機会を与えてもらったな、と非常に燃えましたよ(笑)

MM : 今作でも”Strangers In The Night”をはじめとした極上のBLINDMAN流ハードロックは勿論、The Crystalsの”Da Doo Ron Ron”のカヴァー曲やハードロックを聴かない音楽ファンをも納得させるであろう美しくお洒落な”Blue Moon”も収録されています。これら曲の収録に至った経緯についてお聞かせ下さい。
中村:今回のアルバムのための作曲を始めて7曲書いたところで、「もう完璧だ。」って思ったのね。「じゃあ後はどんな曲があればもっと良いアルバムになるのか?」って考えたら全く異質なものがあった方が良いんじゃないかと。自分では絶対に書けないハッピーな感じの曲や凄く静かな曲があったら面白いんじゃないかと考えた結果がアレです。

MM : ハードロックとは異なるスタイルの曲においてもリズム隊が曲に見事にマッチした雰囲気あるプレイで支えています。
戸田 : ありがとうございます。どのようなタイプの曲でも『自分がしたいプレイ』ではなく『その曲自身が望むプレイ』を心がけています。ソフトな曲ではベースの重要度が増すのでやり方によって全体の印象はだいぶ変わると思っています。

實成 : 戸田さんはもともとサルサとかファンクをプレイされていましたし、プレイヤーとしての経験がめちゃくちゃ豊富で。僕もBLINDMANを除くと直球のHR/HMをプレイしている時間ってそれほど多くないので、凄く珍しいリズム隊のいるハードロックバンドですよね(笑) レコーディングでいつも気を付けてることは必要以上に足し算はしないこと。限界ギリギリまで引き算できると最高ですよね。

MM : “Blue Moon”でのRayさんの歌の素晴らしさ、バンドの音楽的な懐の深さゆえにこういった楽曲で構成される作品も聴いてみたい気がしましたが。
中村 : アルバム 1枚全部ってこと?そりゃあ無理でしょう(笑) 枝葉であることに意味がある。

Ray:BLINDMANのメンバーは、どんなジャンルにでも適応できるメンバーが集まっているので、「Blue Moon」のような曲をやることにも全く抵抗はなかったです。今の自分達がやれる音楽を自然体でやれば良いのではないか?と日頃から思っています。

MM : BLINDMANを特徴づける上で、松井さんのオルガン、シンセによるプレイ、”Angels Ladder”のようなバラードで際立つ曲にマッチした美しいサウンド作りなどの貢献が欠かせませんが、BLINDMANの曲に取り組む上で意識していることについてお聞かせ下さい。
松井 : サウンド、特にオルガンに関してはギターの音との混じり方に物凄く気を使ってます。
よくハードロックなバンドにオルガンの音を使うとDEEP PURPLEみたいに「ギター vs オルガン」みたいに思われがちですが、私はオルガンはサイドギターと思ってプレイしてます。
特にギターのリフとの絡みは一番気を付けてます。
ギターのドライブ感を邪魔しないようにかなりの神経を使ってますよ!

MM : 1曲を挙げるのは難しいかもしれませんが、アルバムの中から自分にとって最も印象的な曲、理由をお聞かせ下さい。
中村 : 本当に難しいですね。自分的には1番今までにない感じになっていると思っている”Now or Never”にしておきましょう。

Ray : 個人的には”Angels Ladder”かな?昔、瀬戸内海で見た壮大な景色が忘れられなくて、その光景をうまく歌詞に出来たので気に入っています。曲もジワリ、ジワリと来る感じがいいですよね?不思議な魅力を持った曲だと思います。

松井 : “The End Of My Dream”です。もうハードロックの王道です。イントロのギターリフからゾクッとします(笑)

戸田 : “Reach for the Sky”かな。自由に演れたし、凄く格好良く出来たと思います。

實成 : “Roll the Dice”ですね。ヘヴィーなハーフ・タイム・シャッフルの曲って意外と少ないと思うんですけど、中村さんが見事に融合させた曲だと思っています。

MM : BLINDMANの今後の予定を教えて下さい。
中村 : アルバム作ったらとりあえずはライブ、出来るだけたくさんやりたいし色んな所に行きたいと思っています。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
中村 : とにかく聴いてみてください。んでもって気に入ったら周りに広めてください(笑)

Ray : いつも暖かい応援、ありがとうございます。現体制でのBLINDMANはまだまだ進化すると思っています。まだゴールが見えていないところがいいですね。どんな未来が待っているのか?楽しみです。いろんな意味で、ファンの皆さんと一緒に行けることろまで行ってみたいです。よろしくお願いいたします。

松井 : BLINDMANへの応援ありがとうございます。
皆さんが楽しんで頂けるライブが常に出来るよう日夜頑張ります。
引き続き、BLINDMANへの応援よろしくお願いします。

戸田 : いつも応援してくれてありがとうございます。良いアルバムができました。前作「TO THE LIGHT」も相当気に入ってましたが今回はより生々しく素に近いものになったと思います。気に入って頂けたら嬉しいです。

實成 : つい最近知ったんですけど、CDはずーっと買ってくれてるのに「実はもう云年、十何年ライブは観てません」ってファンの方が結構いるんですよね。色々な事情があるとは思うんですけど、やっぱりライブバンドなので、「そろそろまたライブ来てみません?」って(笑)

BLINDMAN official site  http://www.blindman-official.com/


BLINDMAN / REACH FOR THE SKY
CD: WLKR-036 税込価格 ¥3,240 Walküre Records
1. Strangers in the Night
2. Now or Never
3. Da Doo Ron Ron
4. Survive
5. The End of My Dream
6. Love in the Middle of the Night
7. Blue Moon
8. Roll the Dice
9. Reach for the Sky
10. Angels Ladder