Vol.49 Eric Barnett / June 2015

Eric Barnett


米国のロック・インストゥルメンタル・トリオ Points North (ポインツ ノース)が2作目となる新作「Points North」をリリースした。今作は”NORTHSTAR”や”CHILD’S PLAY”のようにメロディ重視の印象的な楽曲が主体となっており、ロック・インストゥルメンタル音楽のファンには要注目の作品となっている。
Points NorthはギタリストであるEric BarnettとWhitesnakeへの参加でも知られているベーシストのUriah Duffy、そしてドラマーであるKevin Aielloの3人が集まり、彼等いわく”melodic guitar-driven instrumental music”を聴かせるロック・インストゥルメンタル・トリオである。
ギターのEric Barnett (エリック・バーネット) は、米国Guitar Player誌の2008年Guitar Superstar competitionにおけるファイナリスト。このコンテストではAndy Summers(the Police)、Joe Satriani、Steve Vai、Elliot Easton(the Cars)やGeorge Lynchといった錚々たるギタリスト達が審査を務めており、その審査陣に認められたEric Barnettのギターテクニックや音楽センスは注目を集めた。
Eric Barnettに彼の音楽的なバックグランドやPoints North結成の経緯、そして新作「Points North」について語って貰った。

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : あなたが音楽に興味を持った当時の年齢やきっかけについて教えて下さい。
Eric Barnett (以下EB) : 音楽を始めたのは5才の時だ。楽器はヴァイオリンだった。親に与えられた最初の楽器だったけど、僕はすぐに音楽に興味を示すようになり、その時から自分の人生の中で大切なものとなった。僕はマンハッタン音楽学校やジュリアード音楽院のサマー・プログラムに通ったり、プリンストン大学のオーケストラと共演したり・・・子供の頃は他の子供たちが(家の窓から見える)公園で遊んでいるのに毎日家で2時間練習していた。ロックやエレキギターに出会ったのは少し後のことだったけど(きっかけは十代の反抗期)、既に音楽をやっていたこともあって、ロックへ移行するのは難しいことではなかった。

MM : 当時はどのような音楽、アーティストに影響を受けていましたか? 彼等に惹かれた理由もお聞かせ下さい。
EB : 最初にハマったバンドは紛れもなくRUSHだったね。複雑なアレンジや卓越した演奏技術、曲が持つエネルギー、音の深み、そして疎外感をテーマにした”Subdivisions”から思慮に富んだテーマを持つ”Hemispheres”や”2112”等、歌詞の内容も含めて僕は虜になったね。また、若い頃はギターヒーローにも憧れていた。初めて観に行ったコンサートはイングヴェイ・マルムスティーンで、前座がTALAS(ベース:ビリー・シーン)だった。でも、本当に心を動かされて影響を与えてくれたのはエリック・ジョンソンだった。バンドの中でギターが「声」になれるという考え方を持たせてくれた。彼の歌うようなギターとフレージング、非の打ちどころのないテクニックはギターが持つオーガニックな音を引き出してくれる。ある意味ヴァイオリンにも似た要素も多く、僕は沢山のことに気づかされたし、ギターという楽器へのアプローチも変わった。

MM : ギターを始めてからコピーしていたアーティスト、曲や当時の想い出についてお聞かせ下さい。
EB : 前にも言ったようにRUSHとエリック・ジョンソンは勿論コピーしていたけど、スティーヴ・ヴァイやエディ・ヴァンヘイレンもコピーしようとしていたね。彼らの音を聴きながらどうやって弾いているのかも分からずスピーカーの前で呆然としていたことを思い出すよ。でも、当時から演奏することより作曲することに興味が湧いていたこともあって、楽器を学んでいた最初の頃から自分の音楽を作ってレコーディングしていた。初めて4トラックのカセットレコーダーや8トラックのオープンリールを手に入れた時の喜びは今でも覚えている。

MM : 多くの場合はギターを始めた頃は憧れのギタリストのプレイを学び、そしてテクニックを向上させ、その後に自分のオリジナルなプレイスタイルや曲、フレーズ作りを経るかと思いますが、あなたの場合はどうだったのでしょうか?現在のプレイスタイルを創り上げたプロセスについて詳しく教えて下さい。
EB : ギターを始める前に別の楽器で音楽をずっとやっていたこともあって、音楽を聴く耳は既に持っていた。ギターを始めた当初はまだ自分のスタイルがあったかどうかは分からないけど、基礎的なテクニックを身につけるのはそれほど難しくなかった。ただ、前にも言ったように、コピー等をすることよりも当時は自分の音楽を作ることに集中していた。それが自分のスタイルを確立するために役立った部分もあるだろう。現在のプレイスタイルに関して言えば、今も進化を続けていることを願っている。まだまだ学んだり、研究したい要素が沢山あるからね。でも、あえて言うならGITに通っていた後から色々と形になったね。実際にGITに通っていた頃はあまりにも情報量が多過ぎて、学んだ内容を実際に音楽的に使うことができなかったことも沢山ある。その後のキャリアでそういった要素を追求する道を選ぶプレイヤーはともかく、それがGITに通う中でのマイナス面だったりすることも多い。でも、個人的にはMIに通っていて数えきれないほどプラスになったことがあったのも事実だ。当時、何を学んだことより忘れてしまったことの方が多いかもしれないけど、次から次へと偉大なミュージシャンや数々の音楽スタイル、完璧なまでのカリキュラムに曝されたことが「自分の声」を確立するための基礎になったことは間違いないだろう。

MM : プロのミュージシャンになろうと決心したのはいつ頃でしょうか?その後、プロとして活動するに至るまでの経緯について詳しくお聞かせ下さい。
EB : 自分で選ぶ権利があればの話だね!音楽を職業としている人は、みんな自然にその道を選んでいる気がする。お告げに従うかのようにね。普通は進まない進路だったりするだけに、それができる人は自然と進むものだと思うよ。自分では音楽の道を選択したり、ミュージシャンになる決心をした覚えは全くない。もの心ついた頃から自分のDNAにあるものだと理解している。僕は常にミュージシャンとして生きて来た。様々なバンドに参加し、ニューヨークでスタジオ・ミュージシャンとして仕事をしたり、色んなアーティストのツアー・ミュージシャンとしても働いたし、CMの仕事もやった。色んなことをやっている中でも、その時に参加していたメインのオリジナル・バンドでの創作活動に照準を合わせるようにしていた。

MM : POINTS NORTHを結成した経緯やバンドのメンバーについて紹介をお願いします。
EB : このバンドを始めるきっかけを作ったのは自分ではなくドラマーのKevin Aielloだ。僕は東海岸で育ち、今住んでいるカリフォルニア北部へ移住した。移住した当時は知り合いも殆どいなかった。燃え尽きてしまった時期もあって、商業ベースのプロジェクトに参加するよりも何か楽しいことをしたいと思っていたんだ。そんな時にCraiglist(様々な募集記事を集めたネット掲示板)でSteve Morse BandやRUSH等のようなインストバンドのメンバーを募集している記事を見つけて、それがKevinの掲載した募集記事だった。少し悩んでから返事を送ろうとしたら、募集が期限切れになってしまったんだ。そこで新たに以前の記事を書いた人を探す記事を自分で掲載したところ、Kevinがそれを見つけて連絡してくれたんだ。

Kevinは後にPOINTS NORTHのオリジナル・ベーシストとなるDamien Sisson(現在は伝説的ベイエリア・スラッシュメタルバンドDEATH ANGELのメンバー)と既にコンタクトをとっていて、3人で初めてリハをやった後には既に3曲分の骨組みが完成していた。特に何か目標を立てていた訳でもなく、ただ思いついた音楽を作って演奏するというのがコンセプトだった。でも、POINTS NORTHはそこから自然に進化を続けて来ているし、まだまだ伸び代もある。また、活動している中で何の妥協もせずに続けている。今まで経験した音楽活動とは全く異なるものだ。このバンドで学んだことは、自分の心に正直であることの大切さだ。それが良いものであれば、そのサウンドを喜んでくれるリスナーやファンが自然について来る。

バンドメンバーは、既に今話をしたドラマーのKevin Aiello。彼は今や僕の親友でもある。Kevinはベテランのドラマーでベイエリアの様々なバンドで何年もプレイしている。彼の素晴らしいところは優れたテクニックの持っていることだけでなく、良い耳とフィーリングを持っているところだ。音楽的に楽曲を理解するだけでなく、エモーショナルな部分でも理解してくれる。曲の中でどのようなプレイが求められているかを良く把握してくれる。それに、このバンドの楽曲に多く使われている変拍子や急な展開等のプログレ的要素にも何の問題もなく対応してくれることもあって、一緒に曲作りをするのがとても楽しい。

ベーシストのUriah Duffyも親友の一人だ。音楽的にも、個人的なレベルでも自分に刺激を与えてくれるメンバーと一緒にバンドができて本当に幸運だ。UriahはDEATH ANGELに加入するために脱退したDamienの後任としてバンドに加入した。新しいベーシストがバンドに必要になった時、Uriahは僕の第1候補、第2候補、そして最終候補だった。そんな彼にバンドに入ってもらえて自分は本当に幸運だと思ったね。初めてUriahを観たのは、POINTS NORTHがMR.BIGのEric Martinの前座でライヴをやった時だった。UriahはEric Martin Bandのメンバーとしてプレイしていたけど、彼のプレイを観て僕は開いた口がふさがらなかったよ!その日のライヴでのパフォーマンスを観ただけで彼は僕の好きなベーシストのトップ10に入ったよ。今ではトップ10どころか、もっと上位にいるけどね!

Uriahの良いところは、どんな音楽スタイルも自分のものにしていることだ。最もハードでテクニカルなロックやメタルからファンクやソウル・・・彼は様々なジャンルの大御所たちともプレイしている。WHITESNAKEやChristina Aguilera、LYRICS BORN、THE FAMILY STONE、それにPRINCE’S NEW POWER GENERATIONのLiv Warfield等とプレイした経験を持っている。その幅広い経験から多くの要素がこのバンドの曲作りに反映されている。一緒に作曲している時でも、ステージでプレイしている時でも、彼とは無意識に意思疎通ができている気がする。まるで生まれた時から一緒に音楽をやっているかのような感覚だ。それと、彼はあんなに難解なベースラインを弾きながらもライヴ中に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるのが凄いね。こんな才能に満ち溢れたメンバーに恵まれて本当に幸せだよ!


POINTS NORTH : l. to r.  Kevin Aiello(ds), Eric Barnett (g), Uriah Duffy(b)

MM : デビュー作品「Road Less Traveled」に続く新作「POINTS NORTH」ではキャッチーなメロディを持ちつつもトリオによるインストゥルメンタル・バンドならではのスリリングな演奏も楽しめる作品に仕上がっていますが、アルバムを制作する際のコンセプトについてお聞かせ下さい。
EB : まず、UriahがDamienの代わりに入ったことでバンドのライナップが変わった。面白いことに、新曲を書き始める前から「Road Less Traveled」の曲を演奏している中で、Uriahが新しいスタイルをバンドに持ち込んだことで楽曲に微妙な変化が生まれていた。新作の曲作りを始めた時は、ともかく新しいライナップがどんなサウンドを生むのかというところに楽しみを見出していた。それは過去のPOINTS NORTHの楽曲にはない要素だった。3人のミュージシャンがそれぞれひとりのプレイヤーとして、そしてひとつのバンドとしてどんな音を出すのか?どこまで自分たちの腕を磨いて、尚かつ自分たちの表現したいことを表現できるか?そのサウンドを見つけ出す作業でもあった。逆にコンセプト的なものはなかったように思えたね。曲作りは全くと言っていいほど不和のない状態で、ごく自然な形で進んだ。「Road Less Traveled」では殆ど妥協をすることなく作品を作ることができたが、今回のアルバムでは更にタイトな演奏と集中力で、あえて言えばコマーシャルな楽曲の中で以前よりもレベルの高いパフォーマンスと演奏技術で作品を作ることができた。今回のレコーディングでメンバーはソングライターとして、そしてプレイヤーとして大きく幅を広げた。なかなかの冒険だったよ!

MM : アルバムでは作曲者がPOINTS NORTHとしてクレジットされています。各メンバーの曲作りにおける役割、例えば曲の主旋律のパート作りなどへの比重が大きいメンバーなど実際の曲作りのプロセスを例に詳しい話をお聞かせ頂けますか?
EB : 素晴らしい質問だ!例え誰か1人が他のメンバーよりも多くの曲を作曲していたとしても、この3人がいなければNORTH POINTの曲にはならない。だから全員をクレジットしている。メンバーそれぞれ得意分野もあるが、全員がこのアルバムに貢献してくれている。曲作りのプロセスは曲によって異なる。割と形がまとまった曲のアイディアを僕が持ち込むこともあればUriahが持ち込むこともある。1曲を全員で一緒にリハーサル室で作ることもある。基本的には僕がバンドの「声」を担当していることから自分がメロディを作ることが多いが、必ずしもそうである訳でもない。例えば”Northstar”では僕がUriahのメロディをサポートする役に回っている場合もある。特に決まったやり方がある訳でもなく、その曲によって自然の流れで出来上がったと考えてもらっていい。エゴもなく、とても建設的で楽しい作業だった。また新しい曲が書きたくてみんなウズウズしているよ。

MM : 先ほどの質問でも触れましたが、”NORTHSTAR”をはじめとした口ずさめるような印象的なメロディを持つ楽曲が多いですが、こういったメロディラインをギターで歌わせる上であなたが重要視していることについて教えて下さい。
EB : メンバーの中でキャリアの大半をインストゥルメンタル・バンドで過ごしたことのある人はいない。だからこそ、我々は演奏やパフォーマンス、テクニックよりも楽曲そのものに重点を置いている場合が多い。こういったジャンルで最も尊敬しているのがジョー・サトリアーニやエリック・ジョンソンだ。彼らはインストゥルメンタル音楽を作っているものの、作曲能力が最も印象に残るし、それが大衆に認められている理由でもある。インストゥルメンタル楽曲だからと言って、キャッチーなフックを作らなくていい訳じゃない。それがメロディックだろうと、スタイリッシュでも何でもいい。リスナーに感情移入してもらうために歌詞というツールが存在しない以上、もしかしたら歌が入った楽曲よりもフックが重要になるかもしれない。音楽には感情を伝えるという凄まじいパワーがある。その中でメロディが重要な部分を担っているのは間違いない。

パフォーマンス的な部分に関して、自分は「シンガーのように考えている」と言うのは決まり文句に聞こえるかもしれないが、それはある程度真実でもある。それがスライドやヴィブラートを使ったフレーズだろうと、速いピッキングのパッセージに含まれたアグレッションだろうと、ギター・フレーズはリスナーに語りかけるものでなければいけない。僕は出来る限りメロディに含まれたフィーリングをリスナーに伝えようと努力している。それは意図的なものというよりも感じ取るものであり、頭から来るものではなく心から来るものだと捉えている。POINTS NORTHで良いライヴをやった時は、ショウが終わってステージを降りる頃にはライヴで演奏した音符を何ひとつ覚えていない。それは自分が創作作業に没頭していた証拠であり、それをするために音楽をやっている訳だ。難しい説明なんていらない。音楽そのものが全てを語っているのだから。

MM : アルバムでは目立つパート以外にも隠し味的なギターによるバッキングやキーボードが音の厚みを増すために重要な役割を持っています。そして”Harlequin”のようにピアノも入った美しくてとても感動的なナンバーもあります。トリオ編成のバンドでこういった曲をライヴで演奏する際のアプローチ方法について教えて下さい。
EB : 我々が書いている楽曲は元々トリオ編成用に書かれていて、スタジオでレコーディングする前にライヴで一度試すようにしている。レコーディングでオーバーダブ作業をした際は、ライヴとレコーディングで印象が変わり過ぎないようにオーバーダブのやり過ぎには十分に注意した。基本的にPOINTS NORTHはライヴ・バンドであるという考えが優先だ。ただ、今回のアルバムでは素晴らしいエンジニアやプロデューサー陣のおかげでライヴ感のある作品を仕上げることができたと思っている。ミックスとマスタリングを担当したDanny Danziはバンドを指導し見事に導いてくれたし、Dave De Villersもトラッキング全体を監視してくれた。確かにオーバーダブが楽曲の肉付けをしてくれているのは事実だ。でも、ライヴでこれらの楽曲を聴いた時に何かが足りないという感覚もないはずだ。それは、スタジオでレコーディングをする前にメンバー3人で曲を一度形にして完成させているからだ。

例外は質問にもあった”Harlequin”だ。この曲にはアコースティック・ギターやピアノも入っていて、構成は変わらないにしても、レコーディングとライヴでは一番違いを感じる曲だろう。アコースティック・ギターを使うと決めたのはレコーディング中だった。元々、メロディは全てエレキギターで弾いていた。今回のアルバム制作ではDavid Earlというとても優れたコンポーザー兼キーボード・プレイヤーと仕事をする機会があった。殆どの曲ではキーボードが後ろの方で鳴っている感じがするけど、この”Harlequin”という曲に関して、自分の頭の中で常にピアノが前で聴こえていたのだ。Davidは素晴らしい仕事をしてくれたよ。彼の自宅スタジオで一緒に作業した時に初めて中間部を聴かせてもらった時、鳥肌が立ったね。CDリリース・ライヴでこの曲を演奏する時は彼にも参加してもらうことになっているよ。待ち遠しいね!

MM : アルバムに収録されている各曲についてあなた自身による解説をお願い出来るでしょうか? 曲が生まれるまでの経緯や曲に込められた思い等をお聞かせ下さい。
EB :
“Ignition”
元々は”Lobotomy”という題名だった。前夜にちょっと派手に遊んだ翌日のリハでUriahがオープニングのメイン・リフを持って来てくれたのを覚えている。今ではライヴのオープニングでプレイしている曲だ。今のPOINTS NORTHを最も象徴するような曲だ。

“Northstar”
これはUriahをフィーチャーした曲だ。POINTS NORTHの楽曲として仕上がるまでは色々とアレンジを施したものの、彼のインプットが多い。ライヴでUriahが中間部でベース・ソロを弾くのを聴いているのがとても楽しいね。この曲ではオーディエンスも参加できるパートがある。特にベース・ソロの最初や中間に出て来るメロディラインに合わせてお客さんに手拍子をしてもらうのが楽しい。

“Child’s Play”
とても誇りに思っている曲だ。アルバムの中で最も完璧なギターによる主張ができている。壮大なギター曲で難しいパートも沢山入っている。この曲ではどんなに難しいことをやっても空間を残すことを意識したという意味では自分にとって大きな挑戦だった。どうしてもテクニカルになると隙間がなくなりがちだからね。この曲の出来にはとても満足しているし、クライマックスに到達した時に非常に良い勢いが感じられる。

“Sky Punch”
新しいアルバムのために書いた最初の曲だ。イントロのアイディアはUriahと一緒にあるコンサートへ行った帰りの車の中で思いついたものだ。忘れないように車のトランクに入っていたスマホにアイディアを録音しておいたんだ。新しいアルバムの中では最も「Road Less Traveled」と共通点を持っていると言えるが、中間部のソロ・バトルやソロ部分へと入って行くメイン・リフの巧妙なメジャー/マイナー感等、実際にはバンド自体が進化しているのがよく分かる曲だ。

“Rites of Passage”
アルバムの中で自分にとって演奏するのが最も難しい曲だ。元々ギター・パートだったフレーズをUriahがベースで弾いているのだが、コード進行の中に登場する様々なコード分解を弾くためには手が3本無いと弾けないようなフレーズだ。この曲では自分の限界に挑んだね。コード進行も決して普通じゃないし、基本的に変拍子だし・・・技術的にとても難しい。それに部分的にソフトに演奏する必要があったり、深くエモーショナルな部分や猛烈な部分もあるし、メロディックなところもある。メロディは自然に出来上がった感じがある。スティーヴ・ヴァイの”Tender Surrender”からインスピレーションを得ている部分もあるね。同じような要素をいくつか含んでいる。ヴァイの曲の中で最も気に入っている曲のひとつだ。個人的な解釈かもしれないけど、ヴァイのスタイルを彷彿とさせるプレイも1〜2カ所か入っているよ。

“Colorblind”
このアルバムのために書いた最後の曲でレコーディングも最後に行った。週末の間にアイディアから完成まで全行程を行った。Magna Carta RecordsのPeter Morticelli氏から「ヴォーカル要素」を含んだ曲を作ってほしいというインストバンドに対する挑戦状を叩き付けられた訳だ。結果的には従来のヴォーカル曲に近いものを作る結果となったけど、作っていてとても楽しかったよ。結果にも満足しているし、アルバムで一番好きな曲だと言ってくれる人もいる。このバンドの将来的な方向性を示す曲かもしれないね。締め切りギリギリで作った曲だったから、強いて言えばもう少し時間は欲しかったけど、やって良かったと思っているよ。

“Harlequin”
アルバムの中でもお気に入りのひとつだ。この曲の作り始めから完成までの進化は例えるなら素晴らしい旅のようだった。バンドとしては明らかに新たな形の曲だったけど、ともかく雰囲気も好きだし、アコースティック・ギターやピアノ、そして厚みのある曲調も全て好きだ。メインのコード進行や構成はUriahが作ったベース・パートから生まれたものだ。とても美しいコード進行で、作業をしていて本当に楽しかった。

“Turning Point (La Villa De Villers)”
このアルバムの楽曲の多くはプログレッシヴでありながらも短くて、焦点を絞っている。タイトなアレンジに仕上がっていて、前にも言って頂いたとおり「キャッチー」な部分も含んでいる。レコーディングの3分の2ほど終えた時点でトラッキング・エンジニアのDave DeVillersに「君たちはプログレ・バンドだよね?Prog Epic(壮大なプログレ曲)は無いの?」と言われてね。そんな訳で、この曲のワーキング・タイトルは”Prog Epic”になり、そういう意識を持って制作に取り組んだ。曲のタイトルはDaveに対する感謝の気持ちも含まれている。彼はレコーディング・スタジオの近くに住んでいたこともあって、彼の家で過ごした夜も少なくはなかった。それとタイトルはRUSHの壮大なプログレ・インスト曲”La Villa Strangiato”からもヒントを得ている。

“Redeye”
アルバムの中でも後の方に書かれた曲だ。とてもエネルギッシュで少しクレイジーなアレンジになっている。当時は夜中の飛行機移動が多くて、飛行機ではなかなか眠れないんだ。この曲からはそんな緊迫した苛酷な雰囲気を感じたし、そこからタイトルも生まれた。ドラムとベースのブレイクと共にギターソロも度を超えた感じだ。ラジオでも頻繁にオンエアされているようで、それも面白い話だ。その度を超えた要素がリスナーの共感を得ているのかもしれない。

“Foxes & Cougars”
元々は”Vinnie’s”というタイトルにするつもりだった。Vinnie’sはカリフォルニア州コンコードにあるライヴハウスで、自分たちがよく出演する場所だ。70年代のスウィングやブギーのフィーリングを持った曲で、ライヴで演奏するのがとても楽しい。曲中のギターとベースのソロ・バトルに関しては、以前Uriahと一緒にバンドをやっていたDanny Jonesに感謝したい。元々はUriahがDannyとバンドをやっている頃に素晴らしいソロ・バトルをライヴで見せてくれたのがヒントだったからね。ソロ・バトルの部分に関しては特に事前に作曲した訳でもなく、スタジオで自然発生的に作ったパートだった。

“Killer Pounder”
この曲もあえて尺を伸ばしている。メイン・リフはNuno Bettencourtを思い出させるような感じだ。Nunoはとても素晴らしいプレイヤーでありながら、少し過小評価されている気がする。中間部にはPOINTS NORTH初の(そしておそらく最後の)ディスコ・ブレイクをフィーチャーしている。この曲に関しては非常に良いレスポンスを得ているよ。アルバムの中でもハードな曲調だということもあるけど、4分の4ではないものの、グルーヴに重点を置いている曲だ。曲の雰囲気を完璧するため、もの凄く努力をしてくれたKevinに感謝したいね!

MM : 今回のアルバムであなたが使用したギター、アンプ、ペダル類を教えて下さい。
EB : メイン・ギターはFender American Texas Special Fat Stratを使っている。ほぼ純正のままだがテキサス・スペシャルのピックアップをフロントとセンターに搭載している。リアにはSeymour Duncan の“Pearly Gates Plus”ハンバッカーを搭載している。ギター・テックのSteve Whiteに少しモディファイしてもらっている。弦が切れるのを防ぐためにブリッジサドルには純正の鉄製ではなくGraphtechのグラファイト製のものを使用している。ストリングツリーも変えてあって、ペグはSperzelのロック式を使っている。メイン・アンプはEgnater Renegade 2×12。とても気に入っているアンプだ。とてもコンパクトなのにパワフルだ。パワー管が2セット備わっていて、各チャンネルにブレンドさせることができる。Fenderっぽい 6L6とMarshall っぽいEL34があり、僕はクリーン・チャンネルを6L6寄りに、歪みチャンネルをEL34寄りにセッティングしている。コストを抑えながらエリック・ジョンソンのような2アンプ・セッティングを実現できる訳だ。エフェクトはTC Electronics G-Systemを使っていて、「4ケーブル」セッティングにしている。オーバードライヴ以外、全てのエフェクトを網羅している。オーバードライヴ用のペダルはサンフランシスコのPaul Trombettaという人が作ったカスタム物を使っている。とてもスムーズなゲインで音に透明感があり、ギター本来の音を見事に保ってくれるおすすめのペダルだ。ケーブルは信頼性と耐久性に優れたMogamiを使っている。Fractal Audio Axe-FXも使っている。現代のギター・プロセシングにおいて革新的な技術を誇っているシステムだ。これらのメーカーと仕事ができるのは非常に幸運なことだ。自分の好きな機材を作っている会社と携われるなんて最高だよ。

他にも使っているギターはあるけど、その中でも紹介したいのはEpiphoneのプロトタイプ・レスポールだ。オートチューン機能を開発していたAntares社との仕事に携わる機会があり、とても万能な機能により複数のギターを持っていなくても様々な音を出すことができる。勿論、自動チューニング機能も役に立つけど、それ以外の機能が素晴らしい:モデリングやオルタネート・チューニング、カポ・アップ/ダウン等。特にスタジオでの作業において計り知れないほど役に立つことを証明してくれている。Antares社のAndy Hildebrand氏はまさに天才だ。彼らと様々なギターの技術開発に携わることができたのは素晴らしい経験だった。

MM : 日本のファンへメッセージをお願いします。
EB : 日本で是非プレイしたいね!POINTS NORTHはまだ日本でプレイしていないけど、今回のアルバムのツアーでそれを実現できれば嬉しいね。アルバムを買ってくれた皆さんや、僕たちのファーストPVを見てくれたりシェアしてくれた皆さんに感謝しているよ!それにインタビューを実現してくれたMUSE ON MUSEにも感謝しているよ!素晴らしいウェブサイトだ!

POINTS NORTH Official Site : http://www.pointsnorthband.com/
POINTS NORTH Magna Carta Site : http://magnacarta.net/pointsnorth/


 

Points North / POINTS NORTH

1. Ignition
2. Northstar
3. Child’s Play
4. Sky Punch
5. Rites of Passage
6. Colorblind
7. Harlequin
8. Turning Point (La Villa De Villers)
9. Redeye
10. Foxes & Cougars
11. Killer Pounder

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