Vol.107 Pete Lesperance / March 2020

Pete Lesperance


Photo by Rich McPherson

ハーレムスキャーレムのニューアルバム「CHANGE THE WORLD」は、真にファンがハーレムスキャーレムに求めているドラマチックでメロディックな楽曲、ハリー・ヘスの素晴らしい歌声に美しいコーラスワーク、センス溢れるギターが詰まった極上のメロディック・ハードロック作品となっている。ピート・レスペランスは当作品においても楽曲に見事にマッチングしたギターのリフワーク、メロディックでドラマティックなソロの展開はもちろん、より躍動感が増した感もある充実したギタープレイで聴き手を魅了する。ピート・レスペランスにニューアルバム「CHANGE THE WORLD」について訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Hiroshi Takakura


Photo by Rich McPherson

Muse On Muse (以下MM) : ニューアルバム「CHANGE THE WORLD」はファンがハーレムスキャーレムに求めているドラマチックでメロディックな楽曲、美しいコーラスワーク、センス溢れるギターが詰まっており、真にハーレムスキャーレムならではの珠玉の作品となっています。
Pete Lesperance (以下PL) : このバンドを30年間続けていて、メンバーの誰もが同じジャンルの他のバンドの音楽を聴かないってのが俺たちらしいサウンドになった理由だろうね。今までずっと活動してきて、ファンが何を求めてるかっていうのはわかってるし、それと同時に俺たち自身が感動するような音楽を作るようにしているよ。

MM : 今作のコンセプトについてお聞かせ下さい。
PL : 特にこれといったコンセプトがある訳じゃないんだ。アルバムのタイトルにふさわしい曲名をそのままアルバム・タイトルとして使う感じだね。”Change The World”はメンバーみんなのお気に入りの曲だし、今こそ世界が変わるべき時だって思っているからこのタイトルにしたんだ。

MM : 惑星に囲まれた地に一人がたたずむアルバムジャケットのアートワークが印象的ですが説明頂けますか?
PL : ここ最近4作のアルバムのジャケットは、アンドレ・ブレックマークという素晴らしいアーチストに描いてもらってるんだ。彼は狂った科学者のようなアーチストで彼のコンセプトは凄くディープだ。ジャケットが何を意味するかはそれを見たファンが決めてくれれば良いと思う。

MM : 今作におけるアルバムの曲作り、レコーディングのプロセスについてお聞かせ下さい。
PL : 全米ツアーの後にいつもよりも長い制作期間を設けてこのアルバムを作った。一番重要で難しいパートはソングライティングで、急がずに時間をかけて取り組んだよ。ハリーと俺と別々に作業をスタートさせて半年経ってやっと俺達が同じ部屋で作業を始めたんだ。そこからアルバムが完成するまでは早かったよ。ドラムはヴェスパ・スタジオでクレイトン・ドーンによって録音された。ハリーのヴォーカルは彼のホームスタジオで録ってそれを俺のスタジオに持ち帰って作業した。数カ月後にまたヴェスパスタジオにみんなで集まってミックスして完成したんだ。

MM : あなた達の曲はどれもメロディックで美しく、キャッチーなメロディを持っています。ハーレムスキャーレムとしてアルバムに収録する楽曲に対する選考基準について教えて下さい。
PL : このレコードに必要な曲しか作ってないよ。曲を精査したりエディットするのは、曲作りの最初の段階でしかやりたくないからね。アルバムにふさわしい素晴らしい曲だけを完成させるようにしている。11曲の良い曲を作ってそれで完成さ!

MM : アルバムのタイトルトラックでもあり、オープニング曲である”Change The World”に込められているメッセージについてお聞かせ下さい。
PL : その言葉が自ら語っているように、俺達が住むこの惑星の未来を変えなければいけない時に来たって事だね。

MM : アルバムに先駆けてミュージックビデオも公開された”The Death Of Me”について教えて下さい。
PL : ライブの映像はオンタリオ州のウィットビーで撮影されたものだ。男が走っている映像は同じオンタリオ州のオリリアで撮ったものだ。映像の意味は想像にお任せするよ。男が逃げているのは何からなのか、誰からなのか、自分自身から逃げているのか、みんなに考えてみてほしい。

MM : “No Man’s Land”では曲の冒頭からのギターのリフとベースラインが印象的です。
PL : カナダのカントリー歌手ブレット・キッセルとも仕事をしているジャスティン・カディングを今回ベーシストに招いた。彼とは今まで何度も仕事をしているから、この曲と彼のスタイルは抜群の相性だと思ったんだ。そしてその出来上がりには個人的に大満足だよ。

MM : “Riot In My Head”や”Fire Gasoline”はライヴ映えしそうな疾走感に溢れるとても素晴らしいハードロックナンバーです。
PL : そうだね。この2曲はアルバムの中でもお気に入りの2曲だよ。君の言う通りライブで映える曲だね。”Riot In My Head”のイントロでのリフはここ数年続けているウォーミングアップのエクササイズをしている時に頭に浮かんだリフで、やっと曲として完成することができて嬉しいよ。

MM : 今作はアルバムのオープニング曲”Change The World”から最後の”Swallowed By The Machine”までを全曲通して一気に聴かせるパワーと魅力を兼ね備えており、新たな名作の誕生となりました。
PL : 君のそういう発想素晴らしいね。ありがとう!

MM : 今作でのあなたのギタープレイはその楽曲に見事にマッチングしたリフワーク、メロディックでドラマテエィックなソロの構成であるとともにこれまで以上に躍動感があります。

PL : 嬉しい評価をありがとう。さっきも言ったけど、俺たちは全ての曲、全てのパートに対してベストを尽くそうとしているだけだよ。他のロックミュージシャンやギタリストの音楽は聞かないから自分のスタイルを突き通してるだけなんだ。だから気に入ってくれて嬉しいよ!

MM : 今回のアルバムの中で使用したギター、アンプ、エフェクター、ペダル類を教えて下さい。
PL : アルバムの全曲で Kemper ProfilerシュミレーターとNeural DSP社のプラグインArchetype Pliniを使っている。実機のアンプは使ってないんだ。エフェクトに関してもプラグインを使っている。ギターはほとんどのパートで白のLes Paul studioを使っていて、一部のクリーンなパートには古いKeyのギターにビグスビーを取り付けて使っているよ。

MM : ところで、今ではインターネットを通じて誰もが自身の音楽を容易に世界に向けて発信できるプラットフォームがあり、音楽を聴く形態もレコード、CDからストリーミングに移行しています。最近の音楽シーンについてあなた自身はどのように感じていますか?
PL : アーチストやファンにとって素晴らしい時代だと思うよ、昔は作った音楽を世に出して、好きな人に届けることは難しかったからね。俺が子供の時にもこういったチャンスがあったらなって思うよ。

MM : 今後の予定について教えて下さい。
PL : アルバムは3月6日(注. 国内盤は3月25日)にリリースされて、それから短いヨーロッパツアーが始まるんだ。スウェーデン・ロックフェスも夏に控えてるんだ!待ち切れないよ!

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
PL : 「Change The World」を聴いてくれてありがとう。気に入ってくれると嬉しいよ!

HAREM SCAREM official site  http://www.haremscarem.net/
Pete Lesperance official site  https://www.myremoteproducer.com/


HAREM SCAREM / CHANGE THE WORLD

1. Change The World
2. Aftershock
3. Searching For Meaning
4. The Death Of Me
5. Mother Of Invention
6. No Man’s Land
7. In The Unknown
8. Riot In My Head
9. No Me Without You
10. Fire & Gasoline
11. Swallowed By The Machine