Vol.91 Andreas Gullstrand / November 2018

Andreas Gullstrand


Photo by Anders Roos

デビュー・アルバム「CREYE」をリリースしたスウェーデン発のメロディック・ロック・グループ CREYE。アルバムでは、キャッチーで心地よいメロディを放つクリアーな歌声とコーラス、そして80年代を彷彿させる煌びやかなキーボードと曲をサポートする起承転結でツボを得たクレバーかつエモーショナルなギター・プレイを随所で聴くことができる。惜しくもアルバムのリリース後にボーカルのROBIN JIDHED、キーボードのJOEL RÖNNINGがバンドを離れたが、バンドは新たにAugust Rauer[Vo]、Joel Selsfors[Key]をメンバーに迎えている。司令塔としてバンドを牽引するギタリスト、コンポーザーのANDREAS GULLSTRAND (アンドレアス・グルストランド) にメロディック・ロック、AORの音楽ファンにアピールする快心のデビュー・アルバム「CREYE」について訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Hiroshi Takakura


Photo by Anders Roos

Muse On Muse (以下MM) : CREYEが結成に至るまでの経緯や現在のバンドのメンバーについて紹介頂けますか?
Andreas Gullstrand (以下AG) : 2015に自分がスタジオでのプロジェクトとしてCreyeをスタートさせた。2016年にリリースしたシングル「Never Too Late」の反響が素晴らかったから、このプロジェクトを実際にライブできるバンドとしてスタートさせるために正式なメンバーを集めたんだ。Creyeは2018年の10月に、
August Rauer – Vocals
Andreas Gullstrand – Lead Guitar
Fredrik Joakimsson- Rhythm Guitar
Gustaf Örsta – Bass
Joel Selsfors – Keyboards
Arvid Filipsson – Drums
のメンバーでステージ・デビューを果たした。

MM : バンド名を”CREYE”とした経緯について教えて下さい。
AG : 多くのバンドが使ってるような名前を付けるのが嫌で、ユニークな名前を付けたかった。リストに挙げた候補から良さそうな名前を3つに絞って、バンドのロゴの作成を依頼する予定だったデザイナーに見せたんだ。するとそのデザイナーは「Cry」と「Eye」をくっつけた造語「Creye」はどうかって新しいアイデアをくれたんだ。シンプルだけど奥が深くてとてもユニークだったからその名前を付ける事にしたんだ。

MM : ニュー・アルバム「CREYE」は良い意味で80年代を彷彿させるサウンドであり、メロディックな上質なメロディに富んだ楽曲が満載の魅力的な作品です。アルバムを作る上ではどのようなことを目指したのでしょうか?
AG : 言葉で飾る必要はないからシンプルに言うけど、このアルバムのゴールは、それぞれの曲が独立して良いと思える曲が詰まったアルバムを作る事だった。そして現行のオーディエンスに響く新鮮な作品を作る事、さらに古い音楽の要素を少し取り入れる事によってノスタルジックな感情を沸き起こす事だったね。

MM : アルバムではあなたやバンドのメンバーの他に曲によっては外部のソングライターが曲作りに参加しています。曲作りはどのように進められたのでしょうか?
AG : もちろん多くの人間がこのアルバムの楽曲制作に携わっている。特に”Miracle”や”Christina”には深く関わってもらったんだ。自分だけの世界に籠る事なく、誰かと一緒に作品を作りたかった。EPをリリースしてからレーベルとサインして、アルバムを仕上げるまで数ヶ月しか無かったから、自分だけでアルバムを作るのに十分なアイデアやインスピレーションを得るのは難しい状況だった。時間がないと思ったからまずフレドリック・ヨハンソンと制作を始めて、その後、彼はバンドに加入した。自分とフレドリックでほとんどの曲を書いたから彼の加入はこのバンドにとって転換点だったね。”Miracle”のソングライターの1人であるUlrick Lönnqvistとも「Desparately Lovin」を共同プロデュースした。前作のEPと今アルバムのプロデューサーであるErik Wissは俺達の音楽の良き理解者で、一緒に曲を書きたいって何年も話してきたんだけど、今回やっとお互いのスケジュールの折り合いが付いたので「Different State Of Mind」を制作する事ができた。俺達は作曲とプリプロも同時にやるから時間がかかるんだけどそれが終わったらほとんど完了だからね。

MM : “Still Believe In You”や”All We Need Is Faith”をはじめ、どの曲においてもメロディックでセンス溢れるフレージングによる素晴らしいギター・ソロを聴けますが、あなたの曲に対するギターのアプローチ方法について教えて下さい。
AG : ありがとう!俺のソロに対するアプローチは基本的に量よりも質って事だね。自分のエゴで曲の最初から最後までシュレッドを弾くようなソロよりも、緻密に計算されたソロ、みんながそのソロを覚えてくれるように弾くことを考えている。根本的には自分がリスナーだったら何を聴きたいかって事を想像してそれにできるだけ近づけるような形にする。リズムに関しては、ティム・ピアスやダン・ハフ達のスタジオワークに大きい影響を受けている。彼等がビデオの中で話している事から多くを学んで、彼等がどうやって曲にギターを加えるかっていうやり方を俺も試したんだ。もちろん一番大事な事はその曲が輝くのに何が必要かっていう事を追求する事だね。

MM : あなたのスタイルを確立するに至る過程において影響を受けたミュージシャンについて教えて下さい。
AG : セッション・ミュージシャンとしてはティム・ピアスやダン・ハフが大好きだ。すごく影響を受けたギタリストとしては、少年時代からのアイドルであるジョン・ペトルーシになるだろう。彼が俺をミュージシャン、ギタリストにしたといっても過言ではない。その他にもガスリー・ゴーヴァン 、ラリー・カールトン、スティーヴ・ヴァイ、マイケル・ロメオ、ジョン・メイオールからも大きなインスピレーションを受けて来た。俺は雑食だから他にも色んなスタイルのアーティストに影響を受けているよ。

MM : リズム・ギターを担当しているFredrik Joakimssonとはギター・パートのアレンジやギター・サウンド作りについての役割分担などはありますか?
AG : まずライブでどう演奏するかを二人で考えて、そのベーシックな部分の上にクリーンなギター等をオーバーダブしていく形だ。リードギターに関して、二人が満足できるアレンジができたら、ハーモニーを重ねていく事もある。俺達両方が好きで満足できるサウンドだけを使う形だ。


Photo by Mikael Roos
[CREYE l to r] Gustaf Örsta(Bass), Arvid Filipsson(Drums), August Rauer(Vocals), Andreas Gullstrand(Lead Guitar), Joel Selsfors(Keyboards), Fredrik Joakimsson(Rhythm Guitar)

MM : CREYEは煌びやかなキーボード・サウンドも特徴的ですが、曲におけるキーボードとリズム・ギターとのパートのバランスについてはどのように取り組んでいますか?
AG : ありがとう!大事な事はまず全体的なアレンジだ。例えば全ての要素を曲に与えたい時、もしギターがスタンダードなパワーコードを弾いているのなら、シンセはそのコードの中の違う音を奏でるべきで、メロディーの上下にコントラストを付ける事によってワイドでダイナミックな効果になる。さらに違う音を加えてちょっとした味付けをしてみる。またさらにメタリックな音を加えて曲に動きを与え、エキサイティングにしてみるんだ。次にミックスも勿論アレンジ以外の大事な部分だ。EQやパンを使う事によりその音がいるべき場所にいる事ができる。ミックス作業の中では、何かの音を上げれば何かは下がるべきで、そいったパーフェクトなバランスを探すのが最も難しい作業だ。ミックスを担当してくれたErik Wissに感謝したい。三つ目の要素は限りない数のキーボードとギターのサウンドを聞いて、どのキーボード音とギター音が愛称が良いかを探し出す事だね。

MM : アルバムで使用しているギター、アンプ、ペダル類についても教えて下さい。
AG : アルバムのほぼ全体で Ernie ball Music manによる Axis super sportを使用している。その他も至ってシンプルで、ギターからアンプシミュレーターのKEMPERを通してDAWに繋いでいる。アコギに関してはメーカーは覚えていないんだけど、プロデューサーのErik Wissが所有している高級なギターを使用して一流のスタジオで録音した。「Straight to the top」と「Never Too Late」は Hughes & Kettnerのブロンドエディションのアンプを使用してこちらも録音にふさわしいスタジオで録音した。非常に音が良いのにとても過小評価されているアンプだ。リードギターのトラックは Fractal audio AX8エフェクターやEleven Rackのアンプシュミレーターを通している。他にもクリーンシグナルをDigitech社のXシリーズのマルチ・ヴォイス・コーラス・ペダルに通したトラックもある。

MM : CREYEは2017年にEP “Straight To The Top”もリリースしていますが、そのEPについて教えて頂けますか?
AG : 「Never Too Late」の成功の熱が冷めないうちに次のアクションに移りたかった。だからあの3曲入りEPをCDでリリースした後ほとんど間をおかずにスタジオに入ったんだ。EPにはタイトルトラックの「Straight To The Top」とその前にリリースした「Never Too Late」とRobert Tepperのカヴァーである「No Easy Way Out」を収録している。当時正式なボーカリストがバンド内にいなかったからこのEPではArt NationのAlexander Strandellを招いている。新録曲となった「Straight To The Top」では攻撃的かつ成熟した俺達のスタイルを見せる事ができて、ファンは素晴らしい反応を示してくれた。EPは2017年の3月にリリースされ、数週間でソールドアウトになったんだ。EPのおかげで多くのレーベルが一緒に仕事がしたいと言ってくれたからあの作品が転機だったね。そしてFrontiersレーベルとの契約に行き着いたんだ。

MM : 今後の予定を教えて下さい。
AG : このデビューアルバムのさらなるプロモーションをしているところだ。2019年のツアーも今計画しているよ!

MM : ファンの人達へメッセージをお願いします。
AG : みんな長くサポートしてくれて、とにかく感謝している。皆のおかげでこの作品を作る事ができた。いつかツアーで会える事を楽しみにしているよ!

CREYE official site :  http://www.creyesweden.com/


CREYE / CREYE
CD: MICP-11442 ¥2,600+税  AVALON

1. HOLDING ON
2. NOTHING TO LOSE
3. DIFFERENT STATE OF MIND
4. NEVER TOO LATE
5. ALL WE NEED IS FAITH
6. MIRACLE
7. CHRISTINA
8. STRAIGHT TO THE TOP
9. LOVE WILL NEVER DIE
10. STILL BELIEVE IN YOU
11. CITY LIGHTS
12. DESPERATELY LOVIN’
13. A BETTER WAY
14. STRAIGHT TO THE TOP (ACOUSTIC) [JAPANESE BONUS TRACK]