Vol.54 Joel Hoekstra / November 2015

Joel Hoekstra


Photo by Neil Zlozower

ホワイトスネイクのギタリスト Joel Hoekstra (ジョエル・ホークストラ) がハードロック・スタイルのソロ作品『ダイイング・トゥ・リヴ』をリリースした。
アルバムにはラッセル・アレン(シンフォニーX)、ジェフ・スコット・ソート(SOTO/元イングヴェイ・マルムスティーンズ・ライジング・フォース)、ヴィニー・アピス(元ブラック・サバス~ディオ)、トニー・フランクリン(元ブルー・マーダー)らが参加。 この作品ではジョエルの安定したギタープレイは勿論のこと、メロディックな曲からハードな曲に至るまでその幅広い曲作りにおける優れた才能も確認できる。アルバムについてジョエルに訊いた。


Photo by Neil Zlozower

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : 新作「dying to live」では優れた楽曲揃いの素晴らしいロック・アルバムとなっていますが、今作のコンセプトについて教えて下さい。
Joel Hoekstra (以下JH) :過去にソロ・アルバムを3枚リリースしているけど、それは全てギター・インストの作品だった。しかしながら、ここ7〜8年の間はNIGHT RANGERやROCK OF AGES、TRANS SIBERIAN ORCHESTRA、そしてWHITESNAKEといったバンドとの活動で知られるようになったことからメロディックなハードロックを主体としたソロ・アルバムの要望が多くなったんだ。ここ1〜2年の間に時間をやっと見つけて制作に取りかかることが出来た訳だ。

MM : “ピラミッド”、”眼”、”13″で表現されているアルバム・アートが印象的ですが、このジャケットにはどのような意味が込められているのでしょうか?
JH : 13という数字は自分にとって色んな意味でラッキーナンバーなんだ。生まれたのも13日だし、人生において様々な重要な出来事が13日に起こっている。眼は心の眼を表現していて、鳥はこの絵を見ているあなたを表している。歌詞は人生における色々な困難を乗り越えて自分の居るべき場所に辿り着くというテーマをベースにしている。

MM : アルバムにはJeff Scott Soto、Russell Allenのシンガー陣とVinny Appice、Tony Franklinといった強力なリズム隊、そしてゲストにはDerek Sherinian等も参加しています。彼等がアルバムに参加することとなった経緯についてお聞かせ下さい。
JH : 最初に声をかけたのはTony Franklinだった。彼とはVHFというプロジェクトで一緒に仕事をしていたんだ。Vinnyを薦めてくれたのもTonyだった。既にこの時点でとてつもなくクールなリズム隊が揃ったと思ったね。ちょうどヴォーカリストを探していた時に自分が参加していたTRANS SIBERIAN ORCHESTRAにRussell Allenが新たに参加することになったのだが、彼の声を聴いて絶対にアルバムで歌ってほしいと思ったのさ。それと、Jeff Scott Sotoに関しては、友人でもあるので最初はコーラスを手伝ってほしいとお願いをしたんだ。このプロジェクトでアルバムを作ることが決まった時点で彼にも数曲リードを歌ってもらうことにしたんだ。Jeffの声にぴったりな曲が何曲かあったしね。彼が参加したことによって作品がより豪華になったのは確かだね。それに、このアルバムには今のロック界でトップレベルのヴォーカリストが2人も参加している!ギターのレコーディングを行ったあとに楽曲を聴き直したら、まだキーボードを入れる余地が残っていたので、Derek Sherinianにキーボードをお願いした。言うまでもなく、彼は素晴らしい仕事をしてくれた。必要な場所に適切なフレーズを入れてくれて、最後の仕上げを見事にしてくれた。

MM : 彼等とのアルバム作りは如何でしたか?印象に残るエピソード等があればお聞かせ下さい。
JH : 参加ミュージシャンには各自レコーディングを自分でやってもらった。個人的には素晴らしいアイディアだと思っている。ミュージシャンは変に人目を気にすることなく自分のペースで作業ができるし、同時進行で様々な作業をすることもできる。自ら色々な実験を試みることだってできるので、利点は沢山ある。個人的には、今回のレコーディングは良い勉強経験になったと言えるよ。

MM : アルバムのクレジットをみると”Changes”以外の曲は全てあなたによる作詞・作曲です。作曲ではダイレクトな言葉が無い分、聴き手の創造力を掻き立てる一方、作詞ではダイレクトに聴き手にメッセージを伝えることができます。あなたの中で作詞面と作曲面で意識している点についてお聞かせ下さい。
JH : どの曲も、まずは良いサビを考えることから始めた。そこから曲全体へと発展させていくようなプロセスだった。普段はひら歌やブリッジ部分のメロディ等を考えてから歌詞を後から書いている。なるべくギター・ソロに関してはあまり好き勝手になり過ぎないように注意をしている。一番重要なのは楽曲だと思っているし、自分がファンだったらこのアルバムで何を聴きたいかというところに念頭に置いている。


Photo by Neil Zlozower

MM : アルバムの収録曲の中にはデヴィッド・カヴァーデイルが歌っている姿が目に浮かぶような曲も入っています。次のホワイトスネイクの新作においてあなたは作曲面でも多大な貢献が出来るように感じますが、デヴィッドからホワイトスネイクの曲作りについての話はありましたか?
JH : 詳しくはデヴィッドに語ってもらうことにするよ!自分から言えることは、彼も今回のライナップについてはもの凄く喜んでいるし、今後1〜2年は活発に活動をすることになるということだ。みんなにとって良いニュースだ!

MM : アルバムでは楽曲を惹き立てる上での多彩なアレンジやギターのバッキング、起承転結のあるクレバーかつエモーショナルなギター・ソロなど聴き応え十分です。あなたの楽曲に対するギターのアプローチ方法についてお聞かせ下さい。
JH : 前にも言ったように、全ては楽曲のためのギター・プレイだと思っているんだ。おそらく、今回のアルバムを制作していく中で自分はギタリスト寄りのスタンス以上にプロデューサー/ソングライター寄りのスタンスを取っていたのだろう。

MM : アルバムで使用したギター、アンプ、ペダル類を教えて下さい。
JH : エレキ・ギターに関しては全てレスポールをFriedman BE-100に通してプレイしている。アルバムに一貫したサウンドを与えるために曲ごとに機材を変えることは避けている。ペダル類は全く使っていない。Pro Toolsに入っているディレイのプラグインは使ったけどね。アコースティックの曲は全てTaylorのギターを使っている。

MM : アルバムをライヴでも体感したいファンも多いと思いますが、今作に伴うライヴの予定はありますか?
JH : アルバムのプロモーションになるような活動はなるべく積極的に行いたいという考えは持っているよ。既にいくつかのプロモーターからアプローチされているのも嬉しい話だ。でも、実際にライヴをやるのであれば納得のいくシチュエーションが必要になる。高いクオリティを維持できた状態でライヴとして見せることができないのであれば、それはやりたくないと思っている。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
JH : いつも応援してくれて感謝しているよ!DIOのようなハードなものから、FOREIGNERのようなソフトなものまで、メロディック・ロックが好きな人だったら是非『dying to live』を聴いてみてほしい。絶対に後悔はしないよ!
 
Joel Hoekstra official site : http://www.joelhoekstra.com/
Joel Hoekstra facebook : https://www.facebook.com/JoelHoekstra13
 

 

Dying To Live / Joel Hoekstra’s 13

1. Say Goodbye to the Sun
2. Anymore
3. Until I Left You
4. Long For The Days
5. Scream
6. Never Say Never
7. Changes
8. The Only Way to Go
9. Dying To Live
10. Start Again
11. What We Believe
12. Never Want(Bonus Track Japan)
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