Reagan Browne (レーガン・ブラウン) コラム issue #2 レーガン・ブラウン流バンドでプレイする為の5つのコツ

音楽を作ることは、本当に楽しくてやりがいがある。長年の経験から言えば、それよりもさらに良いのは目的を共にする仲間がいることだ。

自分の好きなバンドを見に行った際、そのライブが素晴らしいと感じるのは、メンバー同士が互いに張り合うのではなく、一緒に音楽を作っているからではないだろうか。今回はそれを実現させる為の5つのコツを伝授したい。是非とも役立ててほしい。

1. 主役はシンガー
これが意味するところは、オーディエンスのほとんどがシンガー目当てだということだ。ギタリストやベーシストは、シンガーを際立たせるよう最大限サポートしなくてはならない。具体的にいえば、音量はラウド過ぎず、音数は控えめに、そして、シンガーに華を添える“縁の下の力持ち”になれ、ということだ。世間には音量を10でプレイするのが当たり前だと思っているギタリストがいる。俺自身、これまで何度そういう奴らとプレイしてきたことか。ヴォーカルなんて聞こえるはずもない。

ジューダスプリーストのコンサートで、ロブ・ハルフォードの声がミキシングで埋もれて誰だかわからない・・・そんなことって絶対にあり得ないだろ?事実、ライブを見に行った先々でそういった場面に遭遇する。ラウドにプレイするのは構わない。でも、シンガーが必要以上に声を張り上げてギターの大音量に対抗しなくてはならないような状況は、誰にとっても好ましいものではない。オーディエンスにとっては尚更だろう。

2. 己の限界を知れ
ギタリスト全員がスティーブ・ヴァイやイングヴェイになれるわけではないし、それはそれで全く構わない。こんなことを言うと驚くかもしれないが、長期的に見た場合、自分の欠点が“強み”になることだってあるのだ。人によっては、音速のスウィープアルペジオでネック中を駆け巡るより、斬新なリフを創り出すことやソングライティングで真の才能を発揮するかもしれない。

俺自身、エリック・ジョンソンのようにギターを弾きたくて長年トライしたものの、どんなに頑張っても結局至らずじまいだった。その後で作曲と歌に専念し始めたわけだが、方向転換して本当に良かったと思う。結果として、ソングライティングや歌の方が自分は向いているということがわかり、弱点克服より、得意なものに全身全霊を注いだというわけだ。

個人的に思うのは、結局のところ、一番大事なのは曲そのものだということ。エディー・ヴァン・ヘイレンのような人物が偉大なのは、自身の音楽のキャリアを通じて素晴らしい曲を書き続けてきたからだ。彼の神憑り的なギタープレイは、あくまでも付加的なものに過ぎない。

3. “エンジンに十分油を差しておくこと”
スタジオであれ、ステージであれ、ミュージシャンはパートを問わず、全員十分な調整を行わなくてはならない。ギタリストであれば、リハーサルの際、他のメンバーが出音を褒めてくれるような次元まで音作りをすること。

俺のバンドには二人のギタリストがいるが、ライブ前には、二人のギタートーンをほぼ3Dサウンドのレベルにまで引き上げるつもりでチェックしている。ベーシストやドラマーに関してもそれは同じことだ。

そして、何よりも曲を覚えること!ライブでの曲のエンディングやバックコーラスは必ず学んでおいてほしい。事実、シンガーにとってはそういったことが一番ありがたい。

4. メンバー全員の連携が肝
正直な話、誰だってギグは成功させたいし、できるだけ大勢の前でプレイしたい。CDだってできるだけ沢山の枚数を売って、可能な限り多くの人に自分達の音楽を広めたい。それらを実現する為には、メンバー一人ひとりが何かしらの貢献をする必要がある。

“宣伝はシンガーやギタリストまかせ”というのではダメだ。もしメンバーの中に何もしない奴が一人でもいたら、そのバンドは絶対に成功しない。何もメンバー全員が同じことをする必要はないのだ。四、五人がフェイスブックでギグの招待状を一斉に送り付けたりするのは、かえって裏目に出易い。それをするのはせいぜい一人か二人で十分だ。残りのメンバーは他所のギグでフライヤーを配ったり、絵の才能があればフライヤーをデザインしたりすればいい。

できることは沢山あるはずだ。なので、すぐに始めること。自分の手が届く範囲のことだけをしていたら、成果だってたかが知れている。努力が実を結ぶのはメンバー全員が一致団結した時だ。

5. 嫌なことは忘れて楽しめ
「嫌なことは忘れて楽しめ」・・・俺達が音楽に夢中なったのは、色々な意味で、それこそが理由ではなかったか?であれば、自分がやるべきことに一心不乱に取り組むべきだ。難しいソロは練習する、1セクションだけ5/4拍子の箇所があれば通して弾けるようにする、リハーサルで1セットまるごとをノーミスでプレイする等々・・・。

実際にステージに上がったら、そういったことは忘れてひたすら楽しむこと。みんなもわかっていると思うが、ミスることを気にしてステージに立ったら、俺の場合、十中八九失敗する。リラックスしてステージを楽しむことができれば、何事もうまくいくというものだ。

いつの日かみんなのバンドを見ることができたら、その時は俺を最高にインスパイアしてほしい。

それではまた!Cheers!

レーガン・ブラウン

Reagan Browne official site : http://www.reaganbrowne.com
https://itunes.apple.com/jp/artist/reagan-browne/id266054898


■Reagan Browne (レーガン・ブラウン)
アメリカ、テキサス州出身 – 現在ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライター。マルチオクターブの音域を使いこなし、クラシックなロックサウンドを基調とする。
インターネットラジオ、IHeart Radio主催の投票型コンテストでロックチャート1位を獲得。iTunesのRocker On The Rise artistsの1アーティストとして選ばれる。映画『The Wedding Pact』で楽曲が使用され、英雑誌クラシック・ロック・マガジンでは”デイヴィッド・カヴァデールやクリス・コーネルと比較できるアーティスト”として紹介された。最新EP 『Reagan Browne』ではギタリスト古川昌義や、元メガデスのマーティ・フリードマン、Mr.Bigのベーシスト、ビリー・シーンやボンジョヴィ、ケリー・クラークソン、ドートリーなど数々のトップアーティストと共演を重ねるPhil Xをゲストにパワフル且つソウルフルな楽曲を収録。
2014年9月に発売されたニューシングル『Gypsy Woman’s Got the Groove』はエリック・ジョンソンとのフィーチャリングが実現したクオリティ高い作品となった。
アメリカ、イギリスを中心に各地でツアーを行っている。

Translation by Yuichiro Chikamochi