Vol.5 Derek Sherinian / October 2011

Derek Sherinian

元DREAM THEATERのキーボーディストであり、最近ではグレン・ヒューズ、ジェイソン・ボーナム、ジョー・ボナマッサと結成しているBlack Country Communionでの活動やBilly Idolへの参加で知られているデレク・シェリニアンがハードなロックフュージョンのアルバムをリリースする。
このアルバムには9月に再結集による日本公演で完璧なバンドのパフォーマンスを披露しツアーを大成功に収めたTOTOのスティーヴ・ルカサー、サイモン・フィリップスをはじめ、スティーヴ・スティーヴンス、ジョー・ボナマッサ、トニー・マカパイン、ダグ・アルドリッチといったミュージシャンが参加し、素晴らしいプレイを繰り広げている。
デレクにアルバム「OCEANA」のことや、参加ミュージシャンについて語って貰った。

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Tomoko Kikuchi

Muse On Muse (以下MM) : まずは今回のアルバムのタイトル”OCEANA”についてですが、このタイトルにした理由及びアルバムのコンセプト、テーマを教えて下さい。

Derek Sherinian (以下DS) : 曲名とアルバムのタイトルを決めるのはいつもアルバム制作の最後の方なんだ。  サイモン・フィリップスと俺は、マスタリングセッション中に3曲の曲名とアルバムのタイトルを考えなければならなくて、それらと一緒にレコード会社にマスターを送った。全ての曲名を見た中では、OCEANAがクールでアルバムのタイトルに相応しいと思ったんだ。  アルバムジャケットのデザインもいいものができたよ。

MM : アルバムジャケットのデザインが海底に眠る船とキーボードが印象的なイラストですが、どういった思いからこのデザインを選んだのでしょうか?

DS : タイタニックのような豪華客船をイメージしていたんだ。  海底に、60~70年代のクラシックなキーボードとシンセサイザーがあるのがわかるだろ。

MM : 今回のアルバムにも素晴らしいギタリスト達が参加し、あなたと共に素晴らしいプレイを披露しています。  アルバムを聴いた印象では、どのギタリストも彼らの持つ個性があなたの楽曲中で存分に発揮されています。  各曲を作曲する際には共演するアーティストを考慮し、彼らによりマッチする曲を用意していたのでしょうか?

DS : そうだね。  サイモンと俺は、一緒に5曲作ったんだ。俺たちはいつも、スティーヴ・ルカサーがギターのメロディーをプレイしているのをイメージしていた。  他の曲は、スティーヴ・スティーヴンス、ジョー・ボナマッサ、ダグ・アルドリッチと一緒に作ったよ。

MM : 多くのキーボーディストの作品はギター等の楽器もアンサンブルに入っていますが、やはりピアノやシンセサイザーといったキーボードが中心になっています。  しかし、あなたの作品ではハードでテクニカルなロック・フュージョンギターがかなり大きくフューチャーされており、あなたのキーボードとの激しい掛け合いを展開し、曲を盛り上げています。  あなたがギタリスト達とこういった音楽に取り組む理由を教えて下さい。

DS : 俺は偉大なエレキギタリストの大ファンなんだ。  俺のキーボードスタイルは、ギターからの影響をかなり受けている。いつも最大限の努力をしてきた。  アル・ディ・メオラと一緒に作曲をした時のように、彼の世界に入りながら自分のキーボードの個性を保つのは、やりがいがあるよ。  その次の日は、ザック・ワイルドやイングウェイと演奏したりするんだ。彼等やその他の素晴らしいプレーヤーたちは、俺のサウンドの一部なんだ。

MM : ドラムやベースといったリズム隊にはサイモン・フィリップスやジミー・ジョンソン、トニー・フランクリンといったアーティストが参加していますが、彼らに参加を依頼した背景を聞かせて下さい。

DS : サイモンと俺は、2001年のアルバム「INERTIA」で一緒に制作を始めたんだ。  彼は俺に音楽的なアドバイスをしてくれるすばらしい存在だよ。  トニー・フランクリンは、俺の7枚全てのソロアルバムでプレイしている唯一のミュージシャンだ。  ジミー・ジョンソンも、「INERTIA」から俺のソロアルバムで何曲もベースを弾いている。

MM : トニー・マカパインが”Five Elements”、”Mercury 7″でプレイしていますが、この曲での参加をトニーに依頼した理由について教えて下さい。

DS : トニーは素晴らしいし、俺たちは彼がこれらの曲を完璧に演奏できるとわかっていたんだ。  Planet X以外でトニーと一緒に仕事ができてよかったよ。

MM : “Five Elements”ではヘヴィなギターリフ、そしてテーマとなるメロディラインが印象的ですが、ギターリフのラインはあなたが作っているのでしょうか、それともトニーが作っているのでしょうか?  この曲ではヘブィなギターサウンドと中間部でのあなたのピアノサウンドによる美しいソロのサウンドの対比が印象的かつ効果的ですが、そのあたりのサウンドのバランスについてのあなたの考えを聞かせて下さい。

DS : ヘヴィーなリフは俺がつくったんだ。この曲でのサウンドのバランスはとても気に入っているし、曲の良さはそこからきているんだ。

MM : “Mercury 7″はシャッフルビートに乗りギター的なディストーションサウンドでトニーとの激しいテクニカルなソロの応酬を聴くことが出来ますが、その一方で曲が持つメロディラインはとても親しみやすいもので楽器をプレイしない音楽ファンでも楽しめるものになっています。プレイヤー志向的なテクニカルな部分と一般の音楽リスナー向けのポピュラーな部分とのバランスについてあなたの考えを聞かせて下さい。

DS : どの曲でも、メロディーが強調されるように気をつけたんだ。  ボーカルがいないから、多くの人はインストゥルメンタル・ミュージックに飽きてしまうんだ。  そういった事は、ボーカルのかわりにすばらしいメロディーをいれることで乗り越えなくてはならないね。

MM : “Mulholland”、”Euphoria”、”Seven Sins”ではスティーヴ・ルカサーが参加していますが、これら曲への参加をスティーヴ・ルカサーに依頼した理由について教えて下さい。

DS : スティーヴ・ルカサーは、最も情熱的なギタリストたちの一人なんだ。彼は、まるで歌声のようにギターでメロディーを響かせるんだ。

MM : “Euphoria”は美しく感動的な曲であり、あなたとスティーヴ・ルカサーのプレイがとてもエモーショナルで印象的です。こういった曲では予め曲の細部まで事前に詰めてレコーディングに臨んでいるのでしょうか?

DS : サイモンと俺は、今回のアルバム用に作曲を始めた2日目にこの曲を作ったんだ。俺たちは、もうその時点でルークがEuphoriaに完璧にマッチするとわかっていたよ。

MM : “Ghost Runner”、”Oceana”ではビリー・アイドルで共に活動しているスティーヴ・スティーヴンスが参加しています。スティーヴ・スティーヴンスにこれら曲で弾いてもらおうと考えた理由を教えて下さい。

DS : ビリー・アイドルのバンドで、スティーヴと一緒に10年間近く活動してきたんだ。彼とは、2004年にリリースした俺のアルバム「MYTHOLOGY」でも3曲を一緒に作ったよ。

MM : “Oceana”は曲の最初から最後までがほとんどスティーヴ・スティーヴンスのギターで占められていますが、このような曲ではスティーヴにどういった形で曲を渡しているのでしょうか? 例えばコード進行にメロディラインのデモをスティーヴに聴かせて、そのデモを元にスティーヴがギターインスト的に仕上げているのでしょうか?

DS : スティーヴが最初のヴァースコードと基本的なメロディー構成を作ったんだ。  俺はコーラスコードと、メロディを作った。サイモンと俺は、スティーヴのメロディを微調整して、ブリッジを作った。  俺たち3人で素晴らしいコラボレーションができたと思うよ。  この曲でのスティーヴはとても秀でている。

MM : “El Camino Diablo”ではダグ・アルドリッチが参加しています。この曲ではホワイトスネイクとはまた違ったダグのプレイを聴くことができますが、この曲への参加をダグに依頼した理由を教えて下さい。

DS : ダグと俺は、イタリアのフェスティバルで共演して以来の友達なんだ。彼と一緒に仕事ができたらクールだと思って、彼に俺のスタジオに来てもらって、アイディアは出し合ったんだ。その結果が、”El Camino Diablo”だ。

MM : “I Heard That”ではジョー・ボナマッサが参加していますね。ジョー・ボナマッサとはBlack Country Communionでも一緒に活動していますが、今回のアルバムではジョーにどういたプレイを期待し参加を依頼したのでしょか?

DS : ジョーと俺はBCCで一緒に活動することですごく親しくなったんだ。  彼と一緒に作曲ができて、さらに彼が俺のアルバムに参加してくれたらいいなと思ったんだ。  ジョーは滅多にインストゥルメンタルの曲を演奏しないから、これは彼のファンへのご褒美でもあるな。

MM : これだけ個性の強いミュージシャンが多数参加するとアルバムが散漫な印象を与えるものになる可能性もありますが、あなたのアルバムでは統一感を持つ素晴らしいアルバムに仕上がっています。  個性派ミュージシャンのプレイの長所を最大限に引き出し、統一感を持った素晴らしい作品を仕上げる上で、あなたが考え、工夫したことを教えて下さい。

DS : それは俺が空想家のマスターだからさ!!・・なんてね、冗談だよ。俺は何年もこういうことを続けてきたし、頭の中で聴こえる音に常に忠実でいるんだ。

MM : 今回のアルバムのレコーディングを通して印象に残るエピソード等があれば教えて下さい。

DS : このアルバムに貢献してくれた全ての人から感銘を受けた。このような素晴らしいミュージシャンと関わることが出来て、俺は本当に幸運だと思う。

MM : 今後のあなたの活動予定を教えて下さい。

DS : 2011年にヨーロッパツアーをやるという話が出ている。  詳細は今後の dereksherinian.com をチェックしてくれ。

MM : 日本のファンへのメッセージをお願いします。

DS : 最後に日本を訪れてからだいぶ経ってしまったよ・・。近いうちに日本に行ってみんなに会えるといいな。ドーモ、アリガトウ!

OCEANA / Derek Sherinian

<収録曲及び参加ギタリスト>

1. Five Elements
   Tony Macalpine

2. Mercury 7
   Tony Macalpine

3. Mulholland
   Steve Lukather

4. Euphoria
   Steve Lukather

5. Ghost Runner 
   Steve Stevens

6. El Camino Diablo
   Doug Aldrich

7. I Heard That
   Joe Bonamassa

8. Seven Sins
   Steve Lukather

9. Oceana
   Steve Stevens

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