Vol.38 Jeremy Brunner / September 2014

Jeremy Brunner

新人ギタリストであるジェレミー・ブランナー(g)を中心にバーニングレインのキース・セント・ジョン(vo)やホワイトライオン、メガデスなど数々の著名バンドでの活躍で知られるジェイムズ・ロメンゾ(b)、そしてフレッド・フィッシャー(ds)といったハードロック界の強者が脇を固めた正に80’sハードロック・プロジェクトと呼ぶにふさわしいX-DRIVE。
デビューアルバム「GET YOUR ROCK ON」はジェレミーが作り上げたキャッチーな曲とキースのエモーショナルなヴォーカルの絶妙なコンビネーションによる良質なアリーナ・ロック作品に仕上がっている。
プロジェクトの中心人物であるジェレミーに彼が影響を受けてきた音楽やデビューアルバム「GET YOUR ROCK ON」についての話を訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : あなたが音楽に興味を持った当時の年齢やきっかけについて教えて下さい。
Jeremy Brunner (以下JB) : 記憶がある限り、幼少時代から音楽に興味を持っていたよ。まだ歩くこともできない頃、音楽に合わせて踊っている自分の古い家庭用ビデオの映像を見たことがある。とても小さい街で育ったこともあって、ともかくラジオばかり聴いていたね。地元のデパートで見つけたアナログレコードや8トラックのオムニバス・アルバム等もよく聴いていた。若い頃は特に決まったバンドに興味を持っていた訳でもなかったね。ともかくラジオのトップ40に入っている曲を聴いていた。両親もアルバムを買うことはあまり意味が無いと思っていて、良い曲はシングルとしてラジオでオンエアされる曲だけだという考え方だった。

MM : 当時はどのような音楽、アーティストに影響を受けていましたか? 彼等に惹かれた理由もお聞かせ下さい。
JB : 最初に聴き始めたのはQUIET RIOTだった。その後、VAN HALENと出会った。アルバム『1984』に収録されていた”Jump”を聴いてから完全にハマって、過去のアルバムを買いあさったよ。RATTやDOKKEN等も大好きだったけど、そういったタイプのバンドだけに限定することなく、ラジオのトップ40も聴き続けていた。

MM : ギターを始めてからコピーしていたアーティスト、曲や当時の想い出についてお聞かせ下さい。
JB : 最初に覚えたのはDOKKENとVAN HALENの曲だったね。カート・ミッチェルというギター・インストラクターが出していた『Learn To Burn』というカセット教材を使って覚えたんだ。その後は色々な音楽を何度も繰り返し聴くことで覚えるようになったね。少し上達して色んなフレーズが弾けるようになってからは様々なカセットテープに合わせて弾いていた。

MM : 彼等の音楽やギタープレイからはどのようなことを学びましたか?
JB : コードの基本やソロに必要なテクニック、タッピング等を学び、学んだスタイルから自分なりのスタイルを作ろうとしたよ。

MM : プロのミュージシャンになろうと決心したのはいつ頃でしょうか? X-Driveでのデビューする以前のあなたの音楽活動の道のりについて詳しく話して頂けますか?
JB : プロのミュージシャンになろうと思ったことはないよ。ただ、ヴォーカリストと一緒に自分のオリジナル楽曲を書きたいと思っただけなんだ。若い頃に通販関係のビジネスを始めたことで、今は自分の音楽的な目標を実現することが可能になった。

MM : X-Driveとしてアルバムをリリースすることになった経緯についてお聞かせ下さい。
JB : とてもいい質問だね。幸運にもFrontiers Recordsと繋がることできたのがきっかけだった。彼等が僕の音楽を信じてくれてレーベルと契約を実現させた。素晴らしいアーティストが揃ったレーベルだし、ワールドワイドでリリースをしてくれているのが素晴らしいね。

MM : メンバーにはBURNING RAINのキース・セント・ジョンやMEGADETHの元メンバーであるジェイムズ・ロメンゾなどの実力派ミュージシャンが参加しています。彼等はどういった経緯でバンドに参加することになったのでしょうか?
JB : ヴォーカリストを探している時にキース・セント・ジョンの連絡先を教えてもらい、その後メールで連絡を取り合いながら音源のやり取りを開始した。その時点で何人かのヴォーカリストをオーディションで試したものの、適任がいなかった。キースから最初の歌入り音源を送ってもらった時点で彼が僕の音楽に適した声だと確信できたんだ。ジェームズ・ロメンゾは彼がキースとLYNCH MOBでプレイしていた際、ライヴ後に話をしてこのプロジェクトへの参加を打診した。

MM : アルバム「GET YOUR ROCK ON」を制作するにあたってのコンセプトはありましたか?
JB : テーマという意味では特にコンセプトは設けていない。X-DRIVE自体のコンセプトやモチベーションは自分の書いた楽曲に最高のシンガーを見つけてアルバムを作るところにあった。

MM : アルバムの共同プロデュースを務めたアンディ・ジョーンズは悲しいことにアルバムを手掛けている中、2014年4月に永眠しました。レッド・ツェッペリンやローリング・ストーンズの作品のエンジニアやヴァン・ヘイレンやジョー・サトリアーニの作品のプロデュースなども務めているアンディですが、どのような経緯で彼がX-Driveの作品を手掛けることになったのでしょうか?
JB : ロサンゼルスへ移住した時にとあるスタジオでアンディの知人と知り合うことができた。その時、アンディに電話を入れてもらい、彼と直接話をすることができたのさ。(プロジェクトのことを説明すると)アンディは僕の音源を聴いてみたいと言ってくれたんだ。”California”の音源を彼に送り、数日後アンディから返事が来た。曲を気に入ってくれてプロジェクトに参加したいという返事だった。

MM : 実際にアンディと作業してみた印象はどうでしたか? アルバム制作のプロデュースといった観点ではどういった部分を彼から学び取ることが出来ましたか?
JB : 今までに関わった人たちの中で、アンディが一番仕事がしやすかったよ。彼は僕の音楽に大きな感心を持って接してくれた。例えば、自分が適当にギターリフを弾いている時でも「今のは何?」と訊いてくれるんだ。「これは新しい曲のアイディアなんだ」と答えると彼は、「もっと聴かせてほしい」と言うのさ。彼のそういった言動等は自分にとってとても励みになったし、彼の親切かつ丁寧な態度はとても好感が持てたよ。彼は本当に誠実な人だったね。彼と一緒に仕事がもうできないのはとても残念だ。彼からプロデュースについて学んだことに関しては・・・ある曲の作業をしている時に彼は曲を一度聴いただけでテンポの調整が必要だということを瞬時に察知していた。ほんの数BPM、テンポを速くすることによって曲全体のイメージが劇的に変わったのには驚いたね。それと、アンディ以前に一緒に作業をした殆どのエンジニアたちにはいくつかのトラックが状態が悪過ぎて使えないと言っていたことに対して、アンディは全く問題なく素晴らしい音に仕上げていたのも印象的だった。

MM : アルバムは80年代を彷彿させるようなギターリフを中心としたハードロック曲が揃っていますがアルバム用の曲作りはどのように行われたのでしょうか?
JB : 自分が作曲を全て手がけ、それを他のメンバーに聴いてもらった上で各自のパートを入れてもらうというやり方だ。僕はギターやピアノで曲を書いている。他のパートを担当するメンバーは僕の書いたものに対してそれぞれの解釈で自由に音を入れてもらうようにしている。時々、キースは平歌とサビを入れ替えた方がいいという意見を出すこともあり、それで曲が良くなることもあるね。作曲のプロセスに関してはそんな感じだ。

MM : ギターソロについても全体的に80年代の特にLAメタルを思い起こさせるようなスタイルですが、曲に対するあなたのギターソロのアプローチ方法について教えて下さい。
JB : 特に決まったアプローチは無い。ソロは事前に決めたりしている訳でもないよ。曲でもソロでも、意図的に作り上げようとしたことはなかったね。特にソロに関してはその場の雰囲気や気分で弾いているだけだ。

MM : “Baby Bye Bye”は秀逸なメロディックなパワー・バラードであり、中間部のギターソロもエモーショナルで美しいですね。
JB : ありがとう!この曲のソロの出来には自分も満足しているよ。キースと会う以前に作業を共にしていたヴォーカリストが別れを題材にしたこの曲をデュエットにしたいというアイディアを打診してくれたんだ。1番の平歌が男性の視点、そして2番の平歌が女性の視点。初期のデモには女性ヴォーカルの声も入っていたけど、後にキースによってこの案はボツになったよ。

MM : “California”は実に爽やかであり、その一方で哀愁感も併せ持つ日本の音楽ファンにも好まれそうなロックナンバーですね。
JB : ありがとう!日本の音楽ファンに喜んでもらえるなんて素晴らしいよ。とても楽しい雰囲気を持った曲だから、多くのリスナーにアピールできるといいね。

MM : “Change of Heart”はアコースティックなギターの響きとキース・セント・ジョンの歌声が実にマッチングしており、爽やかでありながらも切なさが感じられる曲調が素晴らしい曲となっていますね。 
JB : “Change of Heart”はアルバムの中で一番好きな曲なんだ。アルバムの中でもキースが最も輝いている曲だ。キースが曲に足してくれたコーラスやキーボード部分も素晴らしかった。彼はこの曲の仕上げを最後まで聴かせてくれなかったんだ。最高の曲を最後に取っておいてくれた訳さ。

MM : アルバムでキース・セント・ジョン、ジェイムズ・ロメンゾ、フレッド・フィッシャーと実際にプレイしてみた感想は如何でしたか?あなたから見た各々のメンバーの「その人らしさ」が最も表われている曲、その理由をお聞かせ下さい?
JB : 素晴らしいレベルのミュージシャンと一緒に作業ができたのは最高の経験だったよ。キースらしさが一番出ているのはやはり”Change of Heart”だね。ジェームズ・ロメンゾの場合、彼のベース・プレイが”California”に特別なものを与えてくれたと思っている。そして、フレッドに関しては”Love Breaks The Fool”のアウトロ部分のドラミングが最高に素晴らしい。

MM : アルバムに収録されている各曲についてあなた自身による解説をお願い出来るでしょうか? 曲が生まれるまでの経緯や曲に込められた思い等をお聞かせ下さい。
JB :
“Love’s A Bitch”
最高のオープニング・トラックだね。このアルバムの中で一番好きなギターソロがこの曲に入っている。

“Get Your Rock On”
キースがDEF LEPPARDっぽい雰囲気を与えてくれたね。

“Steppin on The Rock”
この曲は何度もアレンジをした曲だ。キースに渡したら楽曲の形がかなり変えられていたね。自分がサビだと思っていた部分をキースは平歌に使うべきだと思ったんだ。だからサビと平歌を入れ替えた訳さ。それによってとてもいい感じで仕上がり、ダークでヘヴィな雰囲気が出たね。

“Baby Bye Bye”
自分が初めて書いた楽曲の中のひとつだ。ソロの仕上がりをとても気に入っているね。サビの部分がBON JOVI風の雰囲気になっている。

“California”
このアルバムの中で最もポップでラジオ向けな楽曲だ。曲の終わりの方にある転調する部分がとても気に入っている。

“Lay Me Down”
少しダークでミドル・テンポなロック調の曲だ。この曲におけるベースの音がとても好きだね。それと、キースが考えたサビの部分も気に入っている。曲が徐々に盛り上がっていく感じも気に入っているよ。

“Turn The Noize Down”
ストレートなロック系の曲だ。この曲のソロも大好きだ。

“Fly Beyond The Angels”
この曲はピアノで作曲した。曲の最後に出て来る歌詞(heaven’s gonna fly)と、まるで天国を表現するかのようなピアノの音との混ざり方がとても好きだ。

“Rattlesnake Eyes”
転調がクールな曲だ。元々は転調後にアカペラ部分をオリジナルのキーで入れようと思っていたけど、最終的にその案はボツになってしまった。

“Just Can’t Stay”
この曲の平歌は元々異なる拍子で書いたんだ。サビになるとテンポが少し速くなっている。ユニークなコンビネーションになると思ったのさ。Wyn Davisが拍子が変わる部分をあまり気に入ってくれず、曲が矛盾していると言われたよ。

“Change of Heart”
キースがこの曲を何度も書き直していたね。その結果、アルバムで一番好きな曲になったよ。

“Love Breaks The Fool”
この曲は何度かドラムを録り直したんだ。サビのドラムが慌ただしい雰囲気だったので、もっとすっきりとシンプルにしたのさ。その結果、曲の仕上がりも良くなった訳だ。エンディングのツーバスも素晴らしい。

MM : アルバムの中で使用したギター、アンプ、エフェクター、ペダル類を教えて下さい。
JB : 僕はそこまで機材に興味がなくてね。信じられないかもしれないが、20才の頃からずっと同じギターを使っている。Washburn KC-40Vを使っている。当時から今まで2本ぐらいしかギターを購入した記憶がないね。その2本のギターもあまり音を気に入ることができず、結局は元々使っていたWashburnに戻った形だね。アンプに関しては今まで様々なものを試したよ・・・MarshallからCrate、Peavey、色んなフットペダルも試したね。でも、結果的にはLINE 6のアンプを気に入ってそれに落ち着いた感じだ。レコーディングの時はProtoolsでLINE 6のプラグインを使っている。それにLINE 6 PodやAmp Farmも使った。

MM : 今後の予定をお聞かせ下さい。
JB : 今はともかくX-Driveのプロモーションに専念しているよ。次のシングルは”Get Your Rock On”になる予定でPVも用意するつもりだ。将来的な作品のために既に30曲以上もの楽曲を用意している。個人的にも楽しみにしているんだ。ツアー等に関してはまだ予定は無いが、フェスティバルの出演依頼は来ているし、CDのリリース・パーティをアイダホ州ボイスで行う予定もある。ドラマーのフレッドが以前在籍していたMIDLINEというバンドの本拠地で、集客が見込めそうなのが理由だ。

MM : 最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
JB : 日本からも(アルバムに対する)レスポンスが非常に良いのが嬉しいね。いつか日本でもプレイしてみたいと思っているよ!

 

X-Drive official site : http://www.x-drivemusic.com/

X-DRIVE / GET YOUR ROCK ON
WARD RECORDS VQCD-10390 \2,300+税
http://wardrecords.com/

 
01. Love’s A Bitch
02. Get Your Rock On
03. Steppin on The Rock
04. Baby Bye Bye
05. California
06. Lay Me Down
07. Turn The Noize Down
08. Fly Beyond The Angels
09. Rattlesnake Eyes
10. Just Can’t Stay
11. Change of Heart
12. Love Breaks The Fool

Bonus Tracks:
Lay Me Down (Mellow Mix) Japanese Bonus Track