Vol.35 Dweezil Zappa / June 2014

Dweezil Zappa

あらゆるジャンルに精通し数多くのユニークな音楽作品を生み出した偉大な音楽家フランク・ザッパを父に持ち、自身もアーティスト、ギタリストとして魅力溢れる優れた音楽作品を創り出し、多くの熱心な音楽ファンから強力な信頼・支持を受けているドゥイージル・ザッパ。
“The Experience Hendrix Tour 2014″への参加や2006年から始まり現在も続けられているFrank Zappaの作品を愛してやまないファンに向けてステージでフランクの楽曲を再現する”Zappa Plays Zappa”、そしてこれまでに創り出してきたソロアルバムについてドゥイージルに語って貰った。

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

– The Experience Hendrix Tourについて –

Muse On Muse (以下MM) : あなたはThe Experience Hendrix Tourに参加していますが、このツアーに参加することになった経緯についてお聞かせ下さい。
Dweeizl Zappa (以下DZ) : John McDermottとJanie Hendrixに誘われたのがこのツアーに参加するきっかけだった。今回のツアーで2回目になる。前回も今回もとてもエキサイティングで楽しい経験をさせてもらっているよ。

MM : ジミ・ヘンドリックスがあなたに与えてきた影響について教えて下さい。
DZ : ジミ・ヘンドリックスのギター・トーン、そして彼のアルバムにおけるサウンドプロダクションは昔からずっと好きだった。でも、最近までジミ・ヘンドリックスのギター・スタイルを学ぼうとは思わなかったのさ。彼のリズム・ギター奏法やタイム感はとても高く評価しているよ。とてもグルーヴィだね。それと、ジミ・ヘンドリックスは恐れ知らずで、思いっきりのいいプレイをするところが素晴らしい。特にフィードバックが多い部分にその姿勢が感じられる。

MM : ジミ・ヘンドリックスのアルバムはどれも多くのギタリスト達に影響を与えている素晴らしい作品ですが、あなたが特別に一枚選ぶとするとどのアルバムでしょうか?
DZ : 「Are You Experienced」と「Band Of Gypsies」がおそらく自分の中で最も気に入っている2枚のアルバムだ。作曲、演奏、サウンドプロダクションといった要素のコンビネーションがこの2枚のアルバムでは飛び抜けて素晴らしい出来に仕上がっていると個人的には感じている。

MM : The Experience Hendrix TourにはBilly Cox、 Buddy Guy、Eric Johnson、Zakk Wyldeなども一緒に参加していますが、彼等とのツアーは如何でしたか? ステージ上は勿論のこと、バックステージやそれ以外での交流で新たに音楽的なインスピレーションを触発されたりはしましたか? 何かエピソードがあればそれも踏まえて話して頂けますか?
DZ : よくバックステージではエリック・ジョンソンと話をすることが多い。彼から何かを学びたいという気持ちがあってね。彼は素晴らしいプレイヤーだし、とても繊細なプレイヤーだ。彼とは様々な話をするし、彼も僕の考え方に理解を示してくれる。ドイル・ブラムホールともよく話をするよ。彼はとても音楽的なプレイヤーで、とても素晴らしいフレージングの持ち主だ。彼とはウードの演奏や様々なアラブ系のスケールの話をしたよ。ミュージシャン同士の交流やふざけ合いも多くて、まるでギタリストの夏合宿に来ているような感じだ。

MM : あなたの父フランク・ザッパはジミ・ヘンドリックスがステージ上で燃やしたストラトも所有しアルバムでも使用していましたが、ジミ・ヘンドリックスや彼の音楽をどのようにとらえていたのでしょうか?
DZ : 父はジミ・ヘンドリックスと友達だった。父のアルバム「We’re Only In It For The Money」のアルバム・ジャケットにもジミ・ヘンドリックスは登場している。父がジミ・ヘンドリックスのプレイを高く評価していたのも知っている。当時、ニューヨークで一緒にプレイしていた時に父がジミ・ヘンドリックスにワウ・ペダルのことを教えたのは有名な話だ。ステージで燃やしたストラトは今、自分が所有しているよ。そのストラトは1977年のGUITAR PLAYER誌の表紙に写っている時と同じように見えるように修復を施したんだ。最近では実際にステージでも何度か使っている。

– Zappa Plays Zappaについて –

MM : 2006年から始まったFrank Zappaの作品を愛してやまないファンに向けてステージでフランクの楽曲を再現するZappa Plays Zappaのプロジェクトが現在も続いています。この素晴らしいプロジェクトを続けられていることについてどう感じていますか?
DZ : 父の音楽は自分にとって常に大きなインスピレーションだった。子供の頃は、あの複雑なメロディを全て覚えたいと思っていたものだ。それを覚えるのは容易ではないことも承知していた!2004年に父の音楽を本格的に覚え始めてからZappa Plays Zappaを組んでツアーを始めた。新たな世代の音楽ファンに父の音楽を教える方法だと思ったんだ。自分にとってこれはとても重要なことだと感じていた。

MM : このプロジェクトを通じてあらためてフランクの作品から発見したことや学んだことについてお聞かせ下さい。
DZ : 父の音楽を覚えていく過程で、その音楽を作り上げる様々な面白い要素があることを発見することができた。父の音楽の素晴らしいところはその作品における奥深さと多様性だ。繰り返し使われているアイディアや奏法が極めて少ない。父はリズムやハーモニーの知識が驚くほど豊富だった。彼の音楽を覚え、学ぶことは一流の音楽学校で勉強をしたことに匹敵するものだ。自分のギターのプレイ・スタイルも父の音楽を演奏できるように進化し、インプロヴィゼイションのためのボキャブラリーも広がった。今でも向上するためのモチベーションになっているよ。

MM : フランクの作品は音楽的な素晴らしさは勿論のこと、それを演奏するミュージシャンには卓越した技術も求められるかと思います。Zappa Plays Zappaではザッパバンドに在籍していたミュージシャン達も参加していますが、ザッパッファンの期待に応えるべくパフォーマンスを披露するためにバンドはステージに向けてどのように準備しているのでしょうか?
DZ : 自分のゴールは過去に父とは全く無縁でありながらも、父の音楽を演奏できる高い演奏技術を持った若いミュージシャンを中心にしたメンバーでバンドを構成することだった。これは決して簡単なことではなかった。結果的には素晴らしいミュージシャンたちを見つけることができた。年月が流れ、今では自分以外のオリジナル・メンバーは1人しか残っていない。Zappaバンドに在籍経験のある元メンバーに関して、当初はなるべく使いたくないという考えがあった。これは、参加しているメンバーよりも音楽そのものに重点を置きたかったからだ。ただ、プロモーターによっては元メンバーの参加を希望していたこともあり、最初の数年の間は元メンバーの起用もあった。スティーヴ・ヴァイやテリー・ボジオとプレイするのはとても楽しかったよ。でも、やっぱり元々自分が最初に考えていた若いミュージシャンを中心に組んだバンドの方が望ましかったね。

MM : Zappa Plays Zappaでは2008年に「Zappa Plays Zappa」をリリース後、2010年に「Return Of The Son Of…」、そしてF.O.H.シリーズとして2011年に「Live “In The Moment”」、2012年には「F.O.H.」、「F.O.H. 3 – Out Of Obscurity」の3種類のアルバムもリリースされています。Zappa Plays Zappaでこのように数多くのアルバムをリリースすることとなった経緯をお聞かせ下さい。
DZ : 元々Zappa Plays Zappaでアルバムをレコーディングしたり、リリースする考えは全くなかった。その後、数多くのブート商品が出回り始めたことや、多くのファンから良質な音源が欲しいという要望から、その考えは変わったのさ。その時点から様々な方法で我々の作品を市場にリリースする計画を立てたという訳だ。今後はフル・コンサートのライヴDVDをはじめ、様々なリリースを予定しているが、ともかく編集等のための時間を確保するのが難しいため、作業がなかなか終わらないのが現状だ。年内には何とかこれらの作業を終わらせたいと思っている。そうすれば2015年には様々な作品を発表し、プロジェクトの活動範囲も広がるはずだ。

MM : まだフランク・ザッパを聴いたことがない音楽ファンがフランク・ザッパの音楽に入門する際に膨大なフランクの作品群から最初の一枚にアルバムを選ぶとしたらどの作品がお薦めでしょうか? ロック、ブルース、ジャズ、クラシックなど様々なジャンルの音楽ファンがいると思いますが、彼等に対するあなたからのお勧めのアルバム、推薦理由を教えて下さい。
DZ : Zappaワールドへの入口としていつも薦めているのが「Apostrophe」と「Over Nite Sensation」だ。この2枚のアルバムには父の音楽に含まれている全ての要素が絶妙なバランスで取り入れられている。アナログ・レコーディングにおける申し分の無いサウンドプロダクションをはじめ、図太いブルース・プレイ、ファンク系のリフ、素晴らしいオーケストレーション、アヴァンギャルドな作曲センス、そしてほんの少しのユーモアまで兼ね備えている。これらの要素は父のどの作品にも含まれてはいるものの、この2枚のアルバムは全ての要素を上手く消化できるように、飲み込みやすい小さなカプセルに入れてあるような感じだ。この2枚のアルバムを聴いてZappaサウンドに慣れ親しめるようになったら「The Yellow Shark」のようなクラシック系の作品を聴いて、父の真の音楽の腕前を堪能するといいだろう。父が生きている間に80枚以上のアルバムを作ったというのも驚異だ。ドゥーワップからジャズ、ロック、クラシック、そしてその間に存在する様々なスタイルまで、一人一人に何かを提供してくれる。

– Dweezil Zappa ソロ活動について –

MM : あなたのソロ作品としては2006年の「go with what you know」以降、およそ8年近くの間が空いていますが次の作品の予定や構想はありますか?
DZ : 今年は新しい作品を作る予定だ。ここ最近はまた作曲をするためのインスピレーションを得ているからね。色々なお気に入りの材料をかき集めて作品に仕上げる準備をしているところだよ。今までに作ったどのアルバムとも違った作品になるだろう。特定のグルーヴや特別なギター・トーンに重点を置いた作品になる予定だ。

MM : 1991年に発表した「Confessions」ではヌーノ・ベットコート、ザック・ワイルド、ウォーレン・デ・マルティーニ、スティーヴ・ルカサーなどとも共演した良質なハード・ロックを聴くことができます。今でもこの作品を根強く支持しているロック・ファンがいますが、この作品を振り返ってみてどのように感じますか?
DZ : 振り返ってみると、レコーディングも楽しかったし今でも聴いていて楽しいアルバムだ・・・少なくとも自分にとってはね!

MM : 2000年に発表した「AUTOMATIC」ではAhmet Zappaの歌が入った”You’re A Mean One Mister Grinch”を除いた全曲がユニークかつ熟考された構成のギターインストゥルメンタルのアルバムとなっていますが、この作品を創り上げるにあたり当時はどういった考えで挑んでいたのでしょうか?
DZ : このアルバムを作っている時は、多様性や普段の自分とは異なる側面の演奏を聴かせたいという考えで挑んでいた。”The Grinch”は自分が初めて手がけたマルチトラックのオーケストレーションだった。全てのオーケストラ・パートを耳で聴いて譜面に起こし、ブライアン・メイのオーケストラのようにギターで演奏した訳だ。”Secret Hedges”はとても面白かったね。アコースティック・ギターをオープン・コードの状態にチューニングして録音をしたんだ。演奏もしたことないようなチューニングでインプロヴィゼイションをしながら曲を演奏した。その後、エレキでいくつかオーヴァーダブして音を重ねた。

MM : 「go with what you know」ではあなたが歌うポップで不思議な”LOVE RIDE”やEddie Van Halenを感じさせる”NOITPURE”、オーケストレーションされた”PRELUDUMUS MAXIMUS”などでも聴けるようにより音楽的な領域が拓けた作品となっています。そしてフランク・ザッパへ繋がる”All Roads Lead To INCA”、”PEACHES EN REGALIA”への取り組みなど、あなたの音楽的キャリアの転機となった作品のようにも感じられました。この作品をあなたは自身の音楽キャリアの中でどのように捉えているのでしょうか?
DZ : このアルバムも自分の進化を証明する作品のひとつだった。このアルバムは父の音楽を覚え始めた頃に作ったアルバムだ。その影響がいくつかの楽曲に現れたのだろう。それに、このアルバムのレコーディングは実験的な要素が多かった。このアルバムでは初めてMIDIプログラミングを使っている。ドラムとベース以外、アルバムに収められている音は全て自分でやっている。とてつもない作業量だったね。いつかは自分がギターだけを弾いて、残りの作業は誰かに全て託せるようなアルバムを作りたいね!

MM : 常日頃のギタリストとしての研究や練習にはどのように取り組んでいるのでしょうか?
DZ : 日常的に決められた練習は特にしていないよ。でも、最近ではハイブリッド・ピッキングをよく練習している。ビックを握りながらクラシックやフラメンコのピッキングを右手の動きに取り入れるようにしている。その結果、なかなか面白いことができるようになった。ツアーの合間の休みでは場合によって何週間から何ヶ月の間ギターを全く弾かなくなることがある。これには良いところと悪いところがある。良いところは、自分が学びたい新しいアイディアに集中できること。悪いところは、指にたこが元々出来にくいこともあって、練習を再開した最初の数日はギターをプレイするだけで指が痛くなってしまうところだ。最近は友人でもあるとても優れたギタリストで、バークリー講師のティム・ミラーから色々学ばせてもらっている。

MM : 音楽家・作曲家としての日々の研究や創作はどのように取り組んでいますか? 
DZ : 残念ながら日々の研究や創作をするほど自由な時間が無いのが現状だ。そういった作業にも力を入れないといけないとは思っているよ。本当に必要なことだからね。

MM : あなたのオフィシャルWEBサイトには使用機材が掲載されていますが、ギター・サウンドの中核はFractalでしょうか? ギタリストにはモデリングされたギター・サウンドではなく真空管を搭載したギターアンプなどアナログの機材に拘りを持つ人も多いですが、あなたはどのように考えていますか?
DZ : FRACTALを使うことによって今までに使った様々なアンプと同様に良いギター・トーンを作ることが可能になった。今のセットアップだとむしろFRACTALを使うことによってより細かいトーンの設定ができるようになった。それに、ステージ上の音量を下げて(ギターの)音をPAに直で送ることによってライヴ時の音も大幅に改善された。今では演奏時のギター・サウンドも今まで以上にクリアになっているし、ステージ上にあるマイクロフォンの位相問題も少ない。幅の広いステレオ効果も出ていて、結果としてライヴ・レコーディングの音質も良くなった。FRACTALはファームウェアのアップデートをする度にどんどん良くなっていくし、シグナルチェーンの再編成やプリセットの保存場所等も分かりやすい。今では普通のアンプで演奏することが殆どないくらいだ。

MM : あなたが開催しているDweezilla Music Boot Campがどういうものなのかお聞かせ下さい。
DZ : 元々Dweezillaは様々な楽器を学ぶためのキャンプ(合宿)としてスタートした。自分のバンド・メンバー全員に講師として参加してもらっていた。それがやがてギターに特化したキャンプに変わった。今では現代のギター演奏における最も重要なテクニックを3日間の合宿で全て生徒たちに学んでもらうというカリキュラムになっている。ゲスト講師も招いて、みんなで楽しい時間を過ごしているよ。自分のギタリストとしての腕を向上させたいと思っているならDweezillaを必ずチェックするべきだ。来年は開催場所も増やす予定だ。いつかは日本でもできるようになるかもしれないしね。そうなったら・・・トテモオモシロイデスネ!

MM : 今後のあなたの活動予定について教えて下さい。
DZ : 今は次のツアーの準備に入っている。”Sinister Footwear”というとても難しい曲を覚えているところだよ。複雑なポリリズムが沢山入っている曲だ。それ以外にもDVDの作業や自分の楽曲を作っている。とても忙しい時期だよ。

MM : それでは日本のファンへメッセージをお願いします。
DZ : 近い将来、日本にまた行きたいと思っているよ。日本を訪れ、日本で演奏するのは大好きだ。最近、森川祐護という日本の素晴らしいギタリストに紹介してもらった。彼はPOLYGON HEADという名前で活動をしている。彼は父の音楽をとても上手に演奏するし、”Black Page #1”や”Uncle Meat”を覚えて演奏するというその姿勢を僕はリスペクトしている。

 

Dweezil Zappa official site : http://www.dweezilzappaworld.com/

Go With What You Know / Dweezil Zappa

1.Love Ride
2.Noitpure
3.Fighty Bitey
4.CC$
5.Preludumus Maximus
6.Rhythmatist
7.Thunder Pimp
8.All Roads Lead To Inca
9.Electrocoustic Matter
10.The Grind
11.Peaches En Regalia
12.Chunga’s Whiskers
13.Audio Movie

 

Return Of The Son Of…  / Dweezil Zappa

Disc 1
1.The Deathless Horsie
2.Andy
3.Magic Fingers
4.Broken Hearts Are For A******s
5.Bamboozled By Love
6.King Kong
7.Montana
8.Inca Roads

Disc 2
1.The Torture Never Stops
2.Dirty Love
3.Zomby Woof
4.Billy The Mountain
5.Camarillo Brillo
6.Pygmy Twylyte

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