Vol.33 Francis Dunnery / April 2014

Francis Dunnery


IT BITESにてギタリスト・シンガーとして活躍したフランシス・ダナリーは、IT BITESから離れた以降も自らのミュージシャンとしての創造力に更なる輝きを増した数多くのアーティスティックな作品を創り続けている。彼が幼い頃よりその音楽的センスを発展させていく中で大きな影響を与え続けたのが兄でありミュージシャンのバリー・ダナリーであった。

2008年にその生涯を終えたバリーは1970年代にNECROMANDUSのメンバーとして活動、バンドはトニー・アイオミによりその才能を認められアルバムを制作している。フランシスは兄がNECROMANDUSとして残した楽曲を自らのバンドで再びプレイ、そして自身の新曲2曲とWARM DUSTの”Blood Of My Fathers”をカヴァーした曲を加えたアルバム「Frankenstein Monster」を創り上げた。「Frankenstein Monster」に込められている想いについてフランシスに訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : 2013年にリリースされた「Frankenstein Monster」は2008年にこの世を去ったあなたの兄 Barry ‘BAZ’ Dunneryへ捧げられているとのことですが制作するに至った経緯についてお聞かせ下さい。
Francis Dunnery (以下FD) : 兄の音楽はあまり多くの人々の耳に届くことがなかった。それが今回の作品を制作するに至った一番の理由だ。兄の優れたギターが多くのリスナーに聴かれなかったことが自分にとって常にフラストレーションでもあった。自分は兄のギターを聴いて育ったので、兄のギターの素晴らしさを分かっていた。兄が家で練習している姿もずっと見ていた。彼のギターは全てにおいて優れたものだった。彼が弾いていた音やその弾き方、そして音楽に対するアプローチも素晴らしかった。彼の音楽に対するアプローチは後の自分、そして自分のギター・プレイに多大なる影響を与えてくれたのは言うまでもない。今までに自分が書いたり演奏した曲の中で兄からの影響が無いものなど存在しないと言っても過言ではない。彼の音楽は引き出しがとても多く、私は常に没頭していた。母が死ぬ間際に一度でいいから兄と同じ作品(アルバム)で共演してほしいという願いを残したままこの世を去った。兄は気難しい部分もあったので、結果的にそれを実現させることはできなかった。彼には彼のやり方というものがあったからね。やりたくないことは決してやろうとしなかった。だから、ひとつの部屋に入ってアルバムを一緒に作ることは非常に困難なことだったし、当時は自分がアメリカに住み、兄がイギリスに住んでいる状態だったこともあり実現させることができなかった。兄の音楽をリレコーディングすることが、母の願いを叶えるためにできたせめてものことだった。

MM : アルバムのタイトルを「Frankenstein Monster」とした背景について教えて下さい。
FD : アルバムのタイトルは映画「フランケンシュタイン」から取ったもので、この映画は「創造」がテーマとなっている。人は自分の人生を振り返れば、10もの人生を歩んでいたことが分かる。ひとりの人間でも10通りの自分が存在していたはずだ。自分は今50才だが、その50年の間に10もの性格やライフスタイルを経験している。その様々な「自分」をひとつに縫い合わせることによって「Frankenstein Monster」が誕生した訳だ。そういった考えからこのタイトルを付けた。自分をまたひとつに縫い合わせるという考えなんだ。多くの人間は人生の途中で一度崩れてしまう。35才から60才の間にこの現象が起こることが多い。人生が崩壊したり、離婚をしたり、病気になる人もいれば、転職をして崩れていく人もいる。その崩れた自分が必然的にまたひとつになった時、人は過去の産物となる。「Frankenstein Monster」は人生の途中で一度崩れた人間が再び縫い合わせられてひとつになったことをテーマにしている。

MM : アルバムジャケットのイラストからは物悲しさを感じさせる一方で、思慮深く温かい優しさをも感じさせられましたが。
FD : 今、自分には生まれたばかりの子供と3才の娘がいる。新しい命、そして再び縫い合わされた新しいモンスターを共に描いたこの絵に美しさを感じた。幼い女の子を抱きながら自分が感じているエネルギーを見事に描いている。新しい命を持って生まれた幼い少女と古い命を縫い合わせて再びひとつとなって新しい命を手に入れた「Frankenstein Monster」というふたつの異なる「新しい命」を描いたとても象徴的なアートワークだと言える。確かに物悲しさは感じるね。でも、どちらかというと温かさを感じる。何か優しさが含まれている。新たに生まれた娘と、再びひとつに縫い合わさってギターを弾く自分の人生を象徴している。

MM : BarryがNECROMANDUSで残した作品をレコーディングする上でその音楽、サウンド面についてはどういった観点で挑みましたか?彼等の音楽に対する新たな発見等はありましたか?
FD : NECROMANDUSの音楽は演奏をするのがとても難しいこともあり、大きなチャレンジだった。まるで左利きの人が考えたかのようなギター・パートばかりだ。普通ではない要素が沢山含まれている。ほとんどの音楽は次に何が来るかある程度は予測できるものだ・・・どんなコードや構成が来るか等ね。しかしNECROMANDUSの場合、兄はいつも予想もできないような変わった構成の楽曲を演奏していた。今回のレコーディングでは彼らが当時70年代の頃に作り上げた作品のスピリッツを受け継ぎながら少しだけ現代の風味を与えてあげることが制作における大きな挑戦だった。もう少しだけ一般のリスナーにとって親しみやすいものに仕上げたかった。レコーディングでは若干メロディーを足したり、楽曲のテンポを少し遅くしている。NECROMANDUSがこの楽曲を録音した頃、メンバーは皆まだ21才ぐらいだった。彼らは若さと元気に満ち溢れていた。今、50才の自分から見ればもう少し楽曲に上品さがあってもいいと思ったのさ。だからテンポを少し落とし、更にハーモニー等の音楽的な要素を加えた。普通のロックンロールや叫んでばかりのロックというよりも、少し大人のロックに仕上がっている気がするよ。それに、この作品を通じて今までに気づかなかった兄の素晴らしさを色々と発見することができた。今までにこれらの楽曲を演奏したりアレンジすることはなかったからね。実際にギター・パートに関して言えば様々な発見があり、改めて兄の素晴らしさを実感する結果となったよ。ギターを弾いている人なら、きっとこの作品を聴いたらギター・パートを弾けるようになりたいと思うはずだ。ともかく、兄が作ったギター・パートは最高だからね。

MM : 今回NECROMANDUSのアルバム「Orexis of Death」から取り上げている曲はほとんどが曲名が変更されて収録されています。・・例えばNECROMANDUSでは”Nightjar”だったものが”Don’t Look Down Frank”、”Orexis of Death”だったものは”Leaving the Depot” など・・これには何かコンセプトが存在したのでしょうか?
FD : 私が選んだ曲名は全てオリジナル・タイトルだ。NECROMANDUSがこれらの楽曲をレコーディングしたのは自分がまだ9才の頃だった。自分が知っていた曲名は”Don’t Look Down Frank”や”Leaving the Depot”だった。これが実際の曲名だった訳だ。しかし、レコーディングをした後にアルバムがデスメタル系レーベルからリリースされたことにより、レーベルはBLACK SABBATHと同じような路線でバンドを売りたいがために曲名を”Orexis of Death”等に変えた。全ての曲名はオカルト的でデスメタル系に合うようなダークで奇妙な曲名に変えられてしまったのさ。NECROMANDUSは決してデスメタル系のバンドではなかった。NECROMANDUSの楽曲は楽しいことをテーマにしていることが多かった。彼らはいつも面白いジョークばかり言っていたしね。曲の内容にもユーモアが含まれていて、デスメタル系とはほど遠かった。だから自分が曲名を変えた訳ではなく、元々の曲名に戻しただけのことだ。

MM : NECROMANDUSは当時Tony Iommiによって発掘され、その後彼のプロデュースにてアルバム「Orexis of Death」を制作しました。あなたが知っている当時のNECROMANDUS、Barryの様子や想い出についてお聞かせ下さい。
FD : 当時、自分はまだ子供だったからNECROMANDUSのことはあまり覚えていない。アルバムの曲を書いている時期、私はまだ6才ぐらいだった。そしてアルバムがリリースされる頃は8才か9才だった。リハーサルに何度か行ったことしか覚えていない。それと兄がバンドとアルバムのレコーディングをするためにバーミンガムへと向かった時のことも覚えている。あとは地元ホワイトへイヴンにあるホールでコンサートをやった時のことも覚えているね。8才か9才だった自分に両親は兄のコンサートを観に行くことを許可してくれた。それ以外にはあまり覚えていないね。兄がリハーサルに連れて行ってくれたこともあったが、そこで何が行われていたか理解するのにはまだ幼すぎたのさ。それでも楽曲は覚えていたよ。あの楽曲を聴いて育ったようなものだからね。バンド・メンバーがよくうちに来ていたのも覚えているね。うちの両親は考え方がとても若かったこともあって、メンバーはよくうちに集まっていた。メンバーはみんなうちでタバコを吸ったり、ビールを飲んでたりしていた。ある朝、家で目を覚ますと床でヒッピーが何人も寝ていたこともあったよ(笑)みんなが集まる場所だった。両親がとても自由な考え方をしていたから、自然とみんなうちに集まるようになったのさ。でも、それくらいしか記憶は無いね。

MM : NECROMANDUSのアリジナルアルバムを聴くとその幅広い音楽性と高度な演奏テクニックはあなたの音楽スタイルにも通じるものを感じさせられました。Barryがギター・プレイやソングライティングなどであなたに与えた影響についてお聞かせ下さい。
FD : 自分の人生において、間違いなく兄が最も大きな影響を与えてくれた。自分が携わった全ての音楽に影響している。彼のギター・プレイは他に類をみないものだった。兄と同じように弾けるギタリストなんて見たことがない。兄は自分流のスタイルを持っていた。後にアラン・ホールズワースから影響を受けるようになってからはアラン・ホールズワースのような弾き方に多少似てしまった部分もあり、自分のオリジナリティを少し失ってしまったようにも見えた。でも、兄はいつもブルース系のスタイルを持っていた。それはNECROMANDUSの作品の中でも聴いていて分かる。自分が今までにレコーディングした楽曲の中でNECROMANDUSから影響を受けていないものなど存在しない。バンドは気づいていないかもしれないがIT BITESだってNECROMANDUSから影響を受けていた。何故ならギター・パートの殆どがNECROMANDUSから大きく影響されていたからだ。私は数多くの楽曲を手がけて来たが、兄に影響されていない楽曲はひとつもないよ。

MM : 近年のあなたの作品ではエレクトリック・ギターのプレイは大きく取り上げられていないものが多かったですが、アルバム「Frankenstein Monster」では久しぶりにあなたの魅力的なギター・プレイを十分に楽しむことができますね。
FD : ギタリストでいつも同じギターを使って同じような音楽ばかり弾いていたら、全てが同じことの繰り返しになってしまう。時には自分の安全地帯から外れて違うことをやるのも大切だと思っている。世界の偉大なアーティストでさえ過去の栄光に浸る人も少なくはない。まるで化石になったかのようにね。固まってしまい全く変化をしようとしない。同じことをただ繰り返しているだけに過ぎない。それはそれで構わないし、それを好む人々がいるのも事実。でも、自分としては同じことを繰り返すことに対して興味が湧かないのだ。実りがあるとは決して言えないし、クリエイティヴでもない。90才ぐらいになって自分の人生を振り返った時に、新しい音楽スタイルに挑戦したり、様々なことを試す機会があったにも関わらず同じギターで同じことだけを繰り返していたら、きっと悲しい思いをすると思う。またエレキギターを弾くということに関しては・・・特に何もない気がするね。IT BITESの頃にエレキギターは沢山弾いたからね。当時、アルバムで自分の色を出すことができたし。それから10年ほどエレキギターを弾きたいという意欲が湧かなかったのさ。自分に刺激を与えるものがなかった。何を聴いても同じに聞こえたのさ。尊敬するギタリストは沢山いる。例えばジョー・サトリアーニ。素晴らしいプレイヤーだ。スティーヴ・ヴァイ、彼も凄い。私はスティーヴのプレイは大好きだ。他にも沢山いる・・・ゲイリー・ムーア、アラン・ホールズワース、ジョン・マクラフリン、デレク・トラックス。素晴らしいプレイヤーたちばかりだ。でも、こういったプレイヤーのコンサートを観に行くと、3曲聴いたら「そろそろ曲が聴きたい!」と思ってしまうんだ。ギターを聴くことに疲れてしまい、普通に「曲」を聴きたくなってしまうのさ。私は以前からギターを弾くことよりも作曲に興味があった。ギターでテクニックを披露することよりもメロディーに興味がある。勿論、そういった偉大なプレイヤーたちには憧れるよ。でも、スティーヴ・ヴァイやジョー・サトリアーニ等はまさにギターを弾くために生まれたような人たちだ。尊敬もするし、憧れる。でも、私にはそれができないのさ。ギターを弾くことより曲を作ることに魅力を感じる。「Frankenstein Monster」では初めて自分を本当に解放させることができた気がするね。ただテクニックを披露するだけでなく、このアルバムでは理由や目的がはっきりしていた。この作品はまさにギター・プレイヤーのためのアルバムだ。君がギタリストだったら、必ず「Frankenstein Monster」を気に入ってくれるはずだ!

MM : アルバムのタイトル曲である”Frankenstein Monster”や”Multicolored Judy Green”はアルバム用に新たにあなたが書きあげた曲なのでしょうか? これらの曲についての解説をお願いします。
FD : このアルバム用に私は”Frankenstein Monster”、そして”Multicolored Judy Green”という2曲を書き下ろした。これはブックエンドのような役割を果たしている2曲だ。兄の曲を自分の2曲ではさみたかったのさ。アルバムの他の曲とも相性が良かった。”Frankenstein Monster”に関しては既に意味を説明しているが、アルバム全体の意味やテーマを描写しているような曲だ。全てをまた縫い合わせるというテーマだ。”Multicolored Judy Green”は兄が聴いていたらきっと喜んでくれたはずだ。実はこの曲のエンディングでは兄がギターを弾いている。”Multicolored Judy Green”のエンディングにジミ・ヘンドリックス風のリフが出て来る。母が死ぬ前に兄と同じアルバムで共演をしてほしいという願いを残していたのだが、結局兄が生きている間にそれを実現することができなかった。”Frankenstein Monster”をレコーディングしている時に友人から連絡をもらい、10年ほど前に彼が自宅のレコーディング・スタジオを作る際に兄が手伝いをしたことがあったらしく、その時に兄が試し録りでジミ・ヘンドリックスを弾いた音源が残っていたのさ。友人は兄が弾いているギターの音源を私に送ってくれて、それをこの曲で使っている。だから兄はこの曲でギター・ソロを弾いていることになる訳だ。兄弟で同じCDで共演するという母親と交わした約束を遂に実現できることとなった。ちなみに兄が弾くジミ・ヘンドリックス風のソロの後にギター・ソロを弾いているのが兄の息子のジョン。更にその後にギター・ソロを弾いているのが兄の孫だ!その後、自分がソロを弾き”Multicolored Judy Green”のエンディングでは家族全員が手拍子で参加している。世界中、離れた場所に住んでいる家族もいるので全員に拍手をiPhoneで録音してもらいmp3にして送ってもらったのさ。それをひとつにまとめることによって沢山の人たちが拍手をしているように聞こえている。これは家族全員で兄の人生を称え、送り出しているのだ。兄は素晴らしいギタリストだったが、残念なことに多くの人々に聴かれることがなかった。この曲では我々なりの祝福で彼の功績を称え、家族全員が彼を愛していたことを伝えている。

MM : アルバムでプレイしているあなた以外のメンバーについて紹介下さい。
FD : アルバムに参加しているミュージシャンは・・・まず、セカンド・ギターは甥で兄の息子のジョンが参加している。素晴らしい仕事をしてくれている。ベースは友人でもあるポール・ブラウン。素晴らしいベーシストだ。彼は信じられないほど上手に弾くが、何故か普段はあまりベースを弾こうとしないのさ。参加したいプロジェクトだけを選んで弾いている。アルバムを聴けば、ベースがいかに素晴らしいかがよく分かるはずだ。ドラマーにはトニー・ベアードが参加してくれた。テクニカルでありながらも非常に奥の深いドラムを叩いてくれるドラマーだ。それに、彼はロックも叩ける。これは意外と珍しいことなんだ。ロック・ドラマーの多くはテクニカルなことが苦手で、ジャズ・ドラマーはロックが叩けないことが多い。でも、トニーはどちらも叩ける上に素晴らしいグルーヴとポケットを持っている。彼が今、おそらく自分の中で一番好きなドラマーだね。自分がドラマーだったらこう叩くだろう、というプレイを彼はしてくれる。まあ、私はそこまでドラムは上手に叩けないけどね(笑)ともかくトニーは超人的だ。アルバムのドラムを聴けば、彼がいかに素晴らしい仕事をしてくれたかが分かるだろう。

MM : アルバムでは複雑な構成や展開の曲がありますが、いずれの曲でも非常にタイトで見事にまとまったバンドサウンドを聴くことが出来ます。今作をプレイする上でバンドとしてどのように準備、取組を行ったかお聞かせ下さい。
FD : 楽曲を仕上げるのにはだいぶ時間がかかったよ。常に楽曲の分析をしていたり、曲のことを学ぼうとしていたからね。何かひとつ理解できたと思ったらまた別の要素が姿を現し、また一から全てを分析しなおさないといけないことも多々あった。アルバムの音はまるで同じ部屋で演奏を聴いていたかのように仕上げたかった。だから余計な加工はしていないし、コンプレッサーを使いたくなかったのさ。どの曲もコンプレッサーは使っていない。ヴォーカルにはほんの少しだけコンプレッサーがかかっているが、ドラムやギター、ベースには一切使っていない。ともかくリアルな音に仕上げたかった。バンドと同じ部屋の中で演奏を聴いているかのようなサウンドにしたかった。その目標は達成できたと思っている。バンドとしての準備は、ともかく偽りのない本物の演奏をすることを心がけた。この音楽をそのようにプレイするのはとても難しい。ミュージシャンは誰でも簡単に何でも上手く演奏できると多くの人々は思っているかもしれないが、決してそうではない。この音楽には繊細さが存在していて、それをきちんと演奏しないと楽曲が正しく聞こえない。かなりの時間や労力を費やして(オリジナルに含まれていた)様々な細かい情報までも再現できるように努力をした。正しいフィーリングと正しいサウンドを得られるためにかなり細かい部分まで掘り下げた訳だ。

MM : 作品に収録したNECROMANDUSの曲の中でプレイするにあたって一番印象に残っている曲とその理由についてお聞かせ下さい。
FD : アルバムの中で最も印象に残っている曲は”Ho Ho Your Sandwiches”という曲だ。兄のギター・ソロをよく覚えているよ。兄が家に戻って私たちの前でこのソロを弾いたのを覚えている。その時、「今までに聴いた中で最も素晴らしいギター・ソロだ!」と思ったね。もう一度このソロを弾き、そして正当な評価をしてもらいたかった。アルバムでこの曲における自分のプレイに対しても非常に満足している。偽りなく弾けている。それに、兄のコピーという感じでもなく、自分のオリジナリティを加えることもできた。”Ho Ho Your Sandwiches”はアルバムの中でもお気に入りの曲だ。それも全て兄のソロのおかげだ。

MM : WARM DUSTの”Blood Of My Fathers”が取り上げられていますが、この曲を取り上げた背景は?
FD : WARM DUSTの”Blood Of My Fathers”を選んだのはNECROMANDUSがアルバムの制作を行っていた当時、兄がよくこの曲を聴いていたからだ。ずっと昔から自分も覚えている曲だ。家のステレオの上にレコードがいつも置いてあった。とてもよく覚えているよ。自分の脳裏に焼き付いた一曲だったからね。当時の自分の人生を思い出す中でも必要不可欠な曲だ。家庭において大切な曲だったし、兄との関係を語る上でも大切な曲なんだ。兄はいつも色々な音楽を家に持ち帰って聴かせてくれていた。私と兄を繋げてくれる曲だ。だから、この”Blood Of My Fathers”を収録することによってNECROMANDUSのアルバムが完全なものになると思ったのさ。それに、素晴らしい曲だしね!

MM : 「Frankenstein Monster」は久々にあなたの素晴らしいテクニックや感性に裏付けされたエレクトリック・ギタープレイが大きくフューチャーされた作品であり多くのファンが待ち望んでいたものだと思われますが、次作ではどのような作品を考えているのでしょうか?
FD : 次のアルバムはどうするかまだ決めていないよ。それはこれから決まることだ。実はアイルランド・フォーク系のアルバムを作る準備はできていて、曲はなかなかいい仕上がりだ。あとは良いバンドが組めれば・・・アコーディオンやフィドル、マンドリンが必要だからね。そのアイルランド・フォーク系のアルバムをやるかもしれないけど、まだ分からないよ。ロック系の作品についても、全く分からないね。現時点で「Frankenstein Monster」より優れた作品を作れる気がしない。現時点でのベストがこれだ。少なくとも自分にとってはギター・プレイも新鮮に感じる。とても刺激的だと思える分、無理にこの作品の真似ごとをして、このアルバムを台無しにしたくないのだ。もう一度、自分の安全地帯から一歩外に出て、ミュージシャンとして新たにチャレンジできる何かに挑みたい。また別の畑で挑戦したいのさ、例えばフォーク系の畑で挑戦をするとか。でも、まだ決めた訳じゃないからね。今は「Frankenstein Monster」を楽しんでいる。ギター的に考えると、今までの中でベストの作品だ。これよりも良いものを作るには今よりも相当な「シゴキ」がないと無理だろうね!

MM : 今回のアルバムの中で使用したギター、アンプ、エフェクター、ペダル類を教えて下さい。
FD : アルバムではLANEYのアンプを使っている。LANEY LIONHEART 20Wだ。ともかく素晴らしいアンプだ。とても良い音がする。大好きだ!とてもイギリスっぽいサウンドを出してくれる。このアンプにT-Rexのマイケル・アンジェロ・モデルのエフェクターをリズム・ギターでは使っている。ソロの時はRATを使っている。IT BITESの頃からRATはずっと使っているんだ。RATのエフェクターはともかく素晴らしい。とても荒っぽい音がしていいね。それくらいかな・・・それしか使っていないよ。あとはT-Rexのフランジャーやコーラス。メイン・ギターはLANEY LIONHEARTのクリーン・チャンネルにT-Rexマイケル・アンジェロ・モデルを繋げて使っている。素晴らしい音だよ。

MM : 今でもギタリストとして日々の研究や練習に取り組んでいるのでしょうか? その場合はどういった内容の研究、練習に取り組んでいるのでしょうか? 
FD : ギターの練習はしていないよ。仕事をしていない限り、ギターを手にすることはない。だから練習もしていない。前から常にそうだった。若い頃、IT BITESでプレイしていた時はIT BITESの曲を練習していたけど、基本的には仕事をしていないとギターを普段は弾いていないよ。このインタビューに答えている時点でギターを4週間ほど触っていない。他のことをしていたからね。最近は心理学、占星術、マーケティング等の勉強をしていた。それ以外に娘の世話をしている。とても楽しいよ。今は色んなことをしている。また仕事を始めたらギターを弾くことになるだろう。でも、基本的に練習というものはしていない。した方がいいのかもしれないけどね。強いて言うならクラシックギターや楽譜を読む勉強を一年ほどかけてやってみたいという気持ちはあるね。でも、ただギターを弾くことだけにはあまり興味を持っていない。今はそれ以外に楽しいことが沢山あるからね。

MM : あなたは高度な演奏テクニックのみに非ず、素晴らしい楽曲を創りだす作曲・アレンジ能力を持っています。特にテクニカル志向のギタリストが陥りやすい罠として奏法にばかり目が行き、曲の構成やアレンジのバランスを欠いてしまうといったことがあるかと思いますが、そういった罠に陥ることなくあなたのようなトータルで優れたアーティストになるために必要な取り組み方についてアドバイスをお願いします。
FD : ギターを弾くことに関して、私は人にアドバイスできる立場ではない。何故なら、人々はそれぞれ自分に合ったやり方があるからだ。例えばポール・ギルバート。彼は素晴らしいギタリストだ。彼は常にギターを持っている。彼はギターを愛し、一日中ギターを弾いている。それは見て分かる。彼が演奏をするのを見れば分かる。彼はきっとこの世に存在する全ての楽曲を知っていて、全て弾けるに違いない。ともかく凄いギタリストだ。昔、自分がロサンゼルスに住んでいた頃、彼が家に遊びに来てくれたことを思い出すよ。当時、彼はとても若かったが、その当時でも凄まじいギタリストだったよ。人にアドバイスをしたくないとか、そういう訳ではないが・・・ただ、個人的には(ギターより)「曲」というものが単純に好きなんだ。沢山のギターを弾くことよりも様々な曲やメロディーに興味がある。それと、とても優れたギタリストでも世の中に認知されないことが多い。例えばグレン・キャンベルは素晴らしいプレイヤーでありながらあまり認知されていない。ジョン・メイヤーもそうだ・・・彼はとてもメロディックなギターを弾き、素晴らしいプレイをする。世の中で優れたギタリストとして評価されるのは速く弾いたり派手なプレイができる人ばかりだ。「Frankenstein Monster」でやったようなプレイだ。多くの人々に「Frankenstein Monster」が今までの中で最も優れたプレイだと言われるよ。でも、「The Gulley Flats Boys」等の初期の作品では信じられないほどテクニカルな演奏をしている。とても難しい。「Frankenstein Monster」よりも遥かに難しい。でも、全体のスピード感などからリスナーには「Frankenstein Monster」のプレイの方が印象的に聴こえるだろう。勿論「Frankenstein Monster」には素晴らしいギター・パートや味のあるフレーズが沢山含まれているので、例に出すのはあまりよくないかもしれない。でも、そういったギター・プレイを喜んでもらえるのは嬉しいけど実際には「The Gulley Flats Boys」で弾いているギターの方が遥かに難しい訳だ。そうは聴こえないかもしれないけどね。ともかく、自分は「好きなことをやる」ことが好きなんだ。曲を書くのが好きなら曲を沢山書けばいい。速いギターが好きなら速いギターを沢山弾けばいい。でも、ひとつアドバイスするとしたら自分の過去のスタイルにとらわれすぎて新たなアイディアを生めなくなったり、成長できなくなったりして化石にならないように注意することだ。そうでなければ、その人生の間に1枚のアルバムしか作れないことになり兼ねない。勿論、それもそれで悪いことじゃないけどね。AC/DCは常に同じような音楽を演奏して、それはそれで素晴らしい。誰よりも素晴らしくAC/DCを演奏してくれる。だから、あまり人にアドバイスすることができないんだよ。ともかく、自分は曲を作ることが一番好きだ。

MM : ところで2006年頃にあなたが戻った上でIT BITESが再始動するのでは?といった噂が流れていました。最終的にあなたは戻らずにギター、ヴォーカルにJohn Mitchellが加わる形でIT BITESは活動を再開しました。もし差支えないようでしたら当時の状況について教えて下さい。
FD : 2006年にIT BITESを再始動させようとしていたが、他のメンバーは私がバンドに居ることに違和感を感じていたようだ。彼らなりのやり方で続ける方が彼らにとって幸せだった訳だ。John Mitchellをギタリスト/ヴォーカリストとして使った方が彼らはやりやすいのだろうし、それはそれで全く問題ない。ジョンは素晴らしいプレイヤーだからね。ジョンは私よりも上手にIT BITESの曲を演奏できる。それに彼は人間的にとてもいい人だ。(その時の状況は)そんなに酷いことではなかった。集まって何度かリハーサルをやって、その結果ボブとジョンは私とバンドを一緒にやることに違和感を感じていた。もしかしたら過去を思い出させてしまったのかもしれない。それは分からないけど。ボブから電話をもらい「君には参加してほしくない」と言われた。その時は素直に納得したけど、少し淋しい気持ちもあったよ。IT BITESの楽曲をプレイしたいという気持ちはあったからね。でも、後から考えればそれが正しい選択だったと思うよ。John Mitchellと続けた方がバンドのためではあったと思う。IT BITESをそのままのスタイルで続けることを自分はできなかったと思うよ。自分がバンドに戻ったら、きっと昔の曲を昔と同じやり方で続けるのではなくIT BITESをよりプログレッシヴに進化させたいと思っただろうね。彼らは今も頑張っているし、日本で今のIT BITESを観た人たちなら分かると思うが、バンドも素晴らしいパフォーマンスをみせてくれている。

MM : 今後のあなたの活動予定について教えて下さい。
FD : 今は本を書いているので、スケジュール的にはその本と関連したウェブサイト作りや本の内容をまとめている作業に追われている。それ以外には年中ハウス・コンサートも行っている。また、ニューヨークのクリニックでカウンセラーとしても働いている。5月の下旬にはイギリスで5、6カ所のツアーが予定されている。あとはニュージャージーで行われるスティーヴ・ハケットのバンドのコンサートにも参加する予定だ。とても楽しみだ。スティーヴ・ハケットのバンドが今、自分の中で最も気に入っているバンドなんだ。彼らが演奏するGENISISの楽曲は素晴らしい。とても美しく、そして最高に素晴らしい!彼らのコンサートに参加して数曲歌う予定だ。「Selling England By The Pound」に入っているGENESISの古いナンバー”Dancing With A Moonlit Knight”やシンガーのNadと一緒に”Supper’s Ready”のエンディングにも参加する。Nadが歌うGENESISも最高だ。ともかくスティーヴ・ハケットのバンドは素晴らしいよ。あとは、ずっと日本に行きたいと思っているのだが呼んでくれるプロモーターがいないんだ。言葉の壁もあるせいなのか、日本のプロモーターとコンタクトを取るのは難しい。なかなか呼んでくれるプロモーターを見つけられない。途中まで話が進んでも、気がついたらメール連絡が途中で途絶えてしまうことが多い。日本人は相手をがっかりさせたくないという国民性を持っているからなのかもしれないね。はっきりとした理由は分からないけど、日本には行きたいとずっと思っているよ。良いプロモーターが見つかれば嬉しいね。ともかく日本に行きたいんだ!

MM : それでは日本のファンへメッセージをお願いします。
FD : 日本のファンの皆さん、こんにちは!皆さんが元気にしていることを願っています。長い間、日本の皆さんとは会っていないので淋しいですし、早くまた会いたいと思っています。ずっと応援してくれている皆さんには心から感謝しています。その気持ちとエネルギーに感謝します。また日本に行きたいと思っていますが、努力してもなかなか実現できません。もう少し努力する必要があるのかもしれませんね。ともかく、皆さんにはこの25年間ずっと応援してもらえて感謝しています。皆さんが喜んでもらえる音楽を作ることができて嬉しく思っています。近々、お会いできることを願っています。素晴らしい一日を過ごして下さい!ありがとう。

 

Francis Dunnery official site : http://www.francisdunnery.com/

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Frankenstein Monster / Francis Dunnery

1.  Frankenstein Monster
2.  Don’t Look Down Frank
3.  Leaving The Depot
4.  I’ve Been Evil
5.  Limpet Man
6.  Marijuana Make Those Eyes At Me For
7.  Wum Wop
8.  Big Fine Lad
9.  Yam
10.Judy Green Rocket
11.Christianity
12.Blood Of My Fathers
13.Ho Ho Your Sandwiches
14.Multi Colored Judy Green

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