Vol.31 Jake E. Lee / February 2014

Jake E. Lee


多くのファンが長らく待ち望んでいた本格的な音楽活動再開をニューバンド “Jake E Lee’s RED DRAGON CARTEL” にて見事に果たしたジェイク・E・リー。
HAREM SCAREMのドラマーであるダレン・スミスをシンガーに迎えたデビューアルバムではギターヒーローとしての実力を存分に発揮するとともに、Robin Zander(CHEAP TRICK)やPaul Di’Anno(元IRON MAIDEN)など多彩なゲスト陣を迎えた充実の楽曲群で聴く者をRED DRAGON CARTELの世界に惹き込んでいる。
7月のRED DRAGON CARTEL来日公演も決定しているジェイクにアルバムについて語って貰った。

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : 11月に開催されたウォーレン・デ・マルティーニーとの共演したギタークリニックでは久しぶりに元気な姿を日本のファンに見せてくれましたが、クリニックは如何でしたか?
Jake E. Lee (以下JL) : クリニックは素晴らしかったよ!古くからの友人でもあるウォーレンと一緒に20年ぶりの来日を楽しむことができたのも最高だった。自分のことを覚えている人なんていないだろうと思っていたから、あんなに歓迎されたのは心があたたまる話だよ。本当に感謝している。

MM : 今後もこのようなギタークリニックの開催や教則DVDなどの予定はあるのでしょうか?ファンは喜ぶと思いますが。
JL : 今までクリニック等をどういう風にやっていいのか分かっていなかった。今でも分かっていないし(笑)ウォーレンと自分とで上手くアドリブで切り抜けたという感じだよ。とても楽しかったけど、またやるかどうかは微妙だね。それに教則DVDもあまり楽しいとは思えない。でも、どうなるか分からないよ!

MM : それではRED DRAGON CARTELについての話をお聞かせ下さい。ファン待望のスタジオ作品アルバムが長い時を経て遂にリリースとなりますが今の心境は?
JL : やっとリリースできてホッとしているところだ。楽曲の中には、かなり長い間制作作業をしていたものもある。スタジオで作業をするのは楽しい。でも、スタジオ作業も長くやっていると退屈になるものだ。途中まで作業を進めた楽曲も何れは諦めて手放さないといけない時期が来ることもある。

MM : アルバムは躍動感溢れるあなたのギターを中心に記憶に残るメロディ、ダイナミックなバンド・サウンドを持つ素晴らしい作品に仕上がっていますが、アルバムを制作するにあたってのコンセプトをお聞かせ下さい。
JL : 事前に頭の中で決まったコンセプトはなかったよ。ただ記憶に残る音楽を作り、出来る限り良い形に仕上げたつもりだよ。他人にどう受け止められるかという考えに捕われたくなかったし、事前に作戦を練って作業したくないという気持ちもあった。出来上がった結果が全てだし、自分にとってこれはアートだからね。

MM : アルバムに登場しているゲストたちが参加した経緯を教えて下さい。
JL : MariaとChris(IN THIS MOMENT)は隣のスタジオでKevin Churkoとレコーディングをしていたんだ。Jeremy Spencer(FIVE FINGER DEATH PUNCH)も同じだ。Sass Jordanはたまたまスタジオの隣にあるレストランでBrent Fitz(SLASH)と食事をしていて、最近BADLANDSの音楽にハマっているということを言ったらBrentは「30メートル先のスタジオで今Jakeとレコーディングしているよ」という話になってね。CHEAP TRICKのRobinとTomは元々Ronnieの知り合いだった。Rex Brown(元PANTERA)はMETAL SHOWの収録で知り合った。Paul Di’Annoはネット経由で知り合った。Scott Reeder(KYUSS)は共通の知り合いを通して紹介してもらった。Todd KearnsはBrentを通してバンドに紹介された・・・これで全員かな???

MM : ボーカルを務めるダレン・スミスはハーレムスキャーレムでの活動で日本のハードロックファンに有名ですが彼等の音楽はご存じでしたか?
JL : 恥ずかしながらHAREM SCAREMを知らなかったよ。

MM : オープニング曲の”Deceived”の疾走感溢れるギター・リフや躍動感溢れるギターソロを聴くと正にファンが求めていたあなたらしさを感じました。
JL : この曲では過去の自分のスタイルに敬意を払っているね。気づいてもらえて嬉しいよ!

MM : 印象的なギター・リフを生み出し続けていく上でのあなたのアプローチ方法等についてお聞かせ下さい。
JL : 特にアプローチは無いよ。弾いていて自分が楽しいと思うかどうか、それだけだ。つまらないと思ったらそのフレーズは捨てる。

MM : “Feeder”ではCheap TrickのRobin Zanderがボーカルで参加していますが彼に参加を依頼した経緯について教えて下さい。
JL : この曲はRonnieと一緒に書き終えた最初の曲だった。楽曲を聴き直す中でRobinがヴォーカリストとして適任だと感じるようになったのさ。ありがたいことにRobinもそう思ってくれて参加に至ったという訳だ。

MM : “Fall From The Sky (Seagull)”は非常にドラマティックな雰囲気の曲であり、中間部における疑似ディレイ効果Jake Fakeも入ったギターソロが美しいですね。
JL : ありがとう!いい耳をしているね!”Deceived”にもJake Fakeを入れたよ!


RED DRAGON CARTEL L to R : Jonas fairley(dr), D.j. Smith(vo), Jake E. Lee(g), Ronnie Mancuso(b)

MM : ヘヴイなグルーブを持つ”Big Mouth”ではIn This MomentのMaria Brinkによる女性ボーカルが実にマッチして曲の魅力を引き出していますね。
JL : ちょうど、この曲の作業をしていた時に彼女がスタジオに入って来て、曲を聴いてすぐに「私に一度挑戦させてくれない?」と言い出したんだ。挑戦してくれてよかったよ!

MM : “War Machine”におけるボーカルの歌声には非常にオジーっぽさを感じさせられました。日本でのギタークリニックでオジーの物まねを披露していたあなたからのアドバイスがあったのでしょうか(笑)
JL : この曲はBLACK SABBATHに対するオマージュだ。日本でオジーの物まねをやった記憶はないけどね・・・似てた?

MM : アルバムの最後は美しいピアノ曲”Exquisite Tenderness”で飾られていますが、ピアノ曲を収録したのはどういったアイディアからでしょうか?
JL : スタジオの隣にあるバーにいて、ラウンジにピアノがあることに気づいたんだ。ピアノなんて弾くのは久しぶりで、思い出せる唯一の曲を弾いた。その曲は自分が14才ぐらいの時に初めて書いた曲だったんだ。Ronnieはそれを聴いて「その曲は何?」と訊いたから、「ずっとアイディアがあるのに、どうすればいいのか分からないままの曲なんだ」と答えた。Ronnieはそのフレーズを聴いただけでどうすればいいか分かっていたのさ。それでアルバムのエンディングに入れた訳さ。Ronnieの素晴らしい判断だったね!

MM : 今回はどのようなギターサウンドを心掛けたのでしょうか? ピッキングのアタック音やベンドする際の些細な音なども生々しくダイレクトでとても印象的でしたが。
JL : 自分のピッキング法、そして力の入れ方が大きく影響しているのだと思うよ。僕は弦に対して90度の角度でピッキングをしているからアタックが出やすいのさ。それに、ヘヴィなピッキングをしていることも理由のひとつだろう。”Wasted”や”Big Mouth”、”Slave”等のイントロはSansAmpを通してダイレクトでパソコンで録音している。それでも僕が弾いているのが分かるはずさ。殆どの曲はアンプとキャビを通して録音しているよ。コンソール・ルームで弾かずにアンプが置いてあるブースの中で弾くことによって細かいニュアンスを出すことができるんだ。オールドスクールなやり方さ。

MM : 今回のアルバムの中で使用したギター、アンプ、エフェクター、ペダル類を教えて下さい。 
JL : リズム・ギターのパートは殆ど68年Gibson SGスタンダードで弾いている。リードのパートは殆どが58年Les Paul Specialか63年SG Jr.で弾いている。”Slave”のギター・ソロの最初の部分はGretsch DuoSonicを使ったり、”Deceived”にソロではもらったばかりの新しいJake E Lee Charvelを使った。アンプは色々と使ったよ。”Feeder”ではLockard、”Wasted”ではSatellite、”War Machine”と”Deceived”では古い69年Laney Supergroupを使っている。それ以外のパートの大半では古い50WのMarshall Plexiとライヴで使っているEVHを通しているよ。キャビはCelestion 25W GreenbackかCelestion Gold Alnicoが搭載されたものを使用した。ペダル類はJohnny Octave Fuzz、Gretsch ExpandaFuzz、Fuzz War、Bonnie Wah、EH Frequency Analyzer、Ibanez Swell Flanger、DOD Buzz Box・・・それ以外にもレコーディング中に面白いと思ったペダルをいくつか使ったよ。全部は覚えていないけどね。

MM : 今後の活動予定について教えて下さい。
JL : アメリカ東海岸でライヴが何本か決まっていて、そのままフロリダへと向かってMonsters of Rock Cruiseに参加してバハマに行く予定だ!夏前にはヨーロッパでいくつかのフェスティバルに参加し、その後は7月に日本ツアーが決まっている。それが終わったら休むつもりだ。その間に自分が本当に何をやりたいのかを整理したいのさ。今後の成り行き次第でもあるけど、もしかしたら自分のやりたいことはそれで全て終わるかもしれない。まあ、少なくともあと1回は日本に行けるのは楽しみだよ!

MM : それでは日本のファンへメッセージをお願いします。
JL : 復帰を歓迎してくれて嬉しいよ。こんなにあたたかい歓迎を受けるほど自分は相応しいとは思っていないけど、とても感謝している。7月に日本でプレイできるのを本当に楽しみにしているよ!ありがとう!

 

RED DRAGON CARTEL official site : http://reddragoncartel.com/

RED DRAGON CARTEL / Red Dragon Cartel

CD : MICP-11128 ¥2,571+税  AVALON

01.Deceived
02.Shout It Out
03.Feeder
04.Fall From the Sky (Seagull)
05.Wasted
06.Slave
07.Big Mouth
08.War Machine
09.Redeem Me
10.Exquisite Tenderness
11.Feeder (acoustic version) Bonus Track