Vol.23 Doug Aldrich / June 2013

Doug Aldrich

  
正統派ハードロックバンド LION でのデビュー以来、自身のソロアルバムやBAD MOON RISING、BURNING RAIN、そしてロニー・ジェイムス・ディオが率いたDIOやデヴィッド・カヴァデールとのWHITESNAKEでの活動に至るまで常に最高のロック・ギターで聴き手を感動させ続けているギタリストがDoug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)である。
今回13年ぶりのリリースとなるBURNING RAINの新作「EPIC OBSESSION」はスロットル全開のダグのギタープレイが詰まった素晴らしいハードロックアルバムに仕上がっている。
新作「EPIC OBSESSION」の内容やギタープレイにおけるアプローチ方法などについてダグに語ってもらった。

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : 13年ぶりにBURNING RAINでアルバム「EPIC OBSESSION」をリリースするに至った経緯についてお聞かせ下さい。
Doug Aldrich (以下DA) : 元々、2004年にアメリカとヨーロッパでリリース契約をすでに結んでいたんだ。デヴィッド(カヴァーデール)が数ヶ月オフを取ると聞いて、僕はすぐに新曲や昔から残っていて手つかず状態の古い曲のアイディアをキース・セント・ジョンと一緒に完成させるために作業を始めたのさ。ここ10年間はWHITESNAKEに100%を注いで来たけど、ずっとこのアルバムのことが引っかかっていたし、自分の中にしまい込んであった新しい楽曲を早く出したかったという気持ちが常にあった。ともかく時が熟してリリースを迎えたというところだね。

MM : アルバムのコンセプトやタイトル「EPIC OBSESSION」に込められた意味について教えて下さい。
DA : このアルバムも、プロジェクトそのものも俺とキースにとってはOBSESSION(=強迫観念)のようなものだったんだ。彼とは何度か曲作りを行っていたが、曲作りを始める時に限ってWHITESNAKEのスケジュールが入ってしまったり、キースがMONTROSEで忙しくなったりしてなかなか作業が進まなかった。そして、やっとお互いに時間を取ってアルバム制作に本腰を入れることができたけど、それはそれで大きな覚悟が必要だったよ。僕は同じ時期にWHITESNAKEの『Made In Japan』DVDの作業や、それ以外にも様々なプロジェクトに携わっていたことで時間の制約がとても多かった。BURNING RAINのレコーディングは週末に息子を寝かしつけた後に行っていたよ。ともかく、今回は終わらせないといけないという強迫観念に駆られていた。自分の人生においてとても大切なものを犠牲にしてまでも作り上げた作品だ。僕はミュージシャンだし、自分の音楽に夢中になってしまうからね。ともかくタイトルの通り、壮大な強迫観念だったよ!

MM : BURNING RAIN、そしてWHITESNAKEと2つのハードロック・バンドにおけるそれぞれでの活動をどのように分けて考えていますか? BURNING RAINの作品をWHITESNAKEの作品を制作する際とは異なるアプローチ等はありましたか?
DA : 今となっては自然に区別できているよ。最近はあまり深く考えないようにしているんだ。今回の楽曲の中には元々WHITESNAKEの新曲に使うつもりだったアイディアもある。結果的にWHITESNAKEには必要なかったからこっちにつかったものもあるよ。他にもWHITESNAKE用のアイディアは沢山あったしね。キースと作業をするのはとても面白いよ。まるで兄弟のように作業している間はずっと喧嘩をしているよ。僕とデヴィッドの関係はそれとは違う。デヴィッドにはとても多くを学んでいるし、彼と一緒に曲を書く時はキースと曲を書く時と全く異なるスタイルでやっている。デヴィッドは僕を信頼してくれているし、僕がWHITESNAKEのためにベストを尽くしていることも分かってくれている。ともかく、キースとは毎日のように喧嘩になる・・・大きな喧嘩じゃないけどね。兄弟喧嘩みたいな感じさ。変な意味で面白かったよ!

MM : 今作では新たなリズム隊としてベースにショーン・マクナブ、ドラムにマット・スターがメンバーとして加入しているようですが、彼らが参加することになった経緯をお聞かせ下さい。彼らとのリズムコンビネーションは如何でしたか?
DA : デモを作る時に僕とキースはショーンにベースを弾いてもらいたいと頼んで、その時の彼の演奏が素晴らしかったんだ。彼はトップクラスのミュージシャンだし、僕たちの楽曲に対しても興味を持ってくれたんだ。彼は歌も歌ってくれた。ともかく最高だ。ロサンゼルスでライヴをやりたいと思っていた時にショーンがマットを推薦してくれたんだ。マットはこのバンドにとってパーフェクトなドラマーだ。勿論、ショーンもパーフェクトだ!二人とも協力的で性格も穏やかなんだ。僕とキースが喧嘩している時でも仕事に徹してくれるんだ(笑)

MM : レコーディングにはどのくらいの期間を要しましたか?レコーディングはどのように進められたのでしょうか?
DA : 去年の8月から作業を始めたから、かなり時間がかかったね。平日はタホ湖でWHITESNAKEと仕事をしていたからね。レコーディング期間は半年ぐらいだね。曲作りには13年かかったけど(笑)

MM : WHITESNAKEにおけるDavid Coverdaleとの曲作り、そしてBURNING RAINでのKeith St Johnとの曲作りにおいてそれぞれの曲に対するアプローチ方法や作業の進め方などについて違いや印象に残ったことについてお聞かせ下さい。
DA : 前にも言ったように、それぞれのシンガーとの作業は大きく異なる。デヴィッドの場合はある程度、作業を任せてくれている。勿論、彼がボスだということには変わりない。でも、デヴィッドが元々持っているWHITESNAKEの方向性を自分が理解していることを彼も分かってくれている。キースと作業をする時は、もっと平等な立場で一緒に作業をする感じなんだ。BURNING RAINの場合は自分の方がボスになるけど、今回のアルバムではキースにも積極的に作業に参加してほしいと思った。勿論、彼は快く参加してくれたよ。

MM : レコーディング用に準備された曲(デモ)は、その時点でどのくらい完成していますか? あなたが普段作曲する際はどのようなツールを使用しているのでしょうか?
DA : かなり完璧なデモを作る時もあるね。例えば、日本のレコード会社(ワーナー)にオリジナル曲のデモを送った時はかなり作り込んだよ。でも、曲作りが進んでいく中で時間もなくなってきて徐々にデモもラフになってくることがある。作曲をする時は色んな方法でやっているよ。リハーサルでメンバーとジャムをしながら作曲をすることもあれば、思いついたメロディを口ずさんでスマホで録音することもある。作曲方法にルールは無い。それを教えてくれたのがデヴィッドだ。

MM : WHITESNAKEのように2人のギタリストがいる場合とBURNING RAINのようにギタリストが1人の場合とではバンドアンサンブルを考えた場合とにおけるギターのアプローチの考え方について教えて下さい。
DA : WHITESNAKEの場合はレブ(ビーチ)がいるから、僕とデヴィッドはギター・パートを重ねたりして色々と試すことができる。BURNING RAINの場合はLED ZEPPELINのジミー・ペイジのようなアプローチをとっているよ。WHITESNAKEよりもシンプルで生々しい雰囲気を保つようにしている。でも、どちらのシチュエーションも楽しいよ。

MM : アルバムのオープニング曲”Sweet Little Baby Thing”や”Till You Die”などでは疾走感のあるドライヴしたリフやアグレッシヴでフラッシーなギター・ソロが実に印象的です。アルバム全体を通しても感じられたのですが、今作では良い意味であなたのギタープレイのスロットルが全開で聴いていてそれが非常に気持ちよく爽快感がありました。
DA : ありがとう!WHITESNAKEに比べると今回のアルバムは荒々しさ少しある。でも、それもOKだと思っている。ソロも殆どが生々しさを残したテイクばかりだ。アルバムの最初の数曲は特に荒々しい。何曲かソロを録り直そうと思っていたけど、結局時間がなくなってしまいそのままの状態で完パケした。今回のアルバムにも所々にラフな部分が残されている気がするよ。

MM : “Our Time Is Gonna Come”、”Out In The Cold Again”はドラマティックな展開や壮大なスケール感が実に印象的な曲ですね。
DA : ありがとう。リスナーが飽きないように、一枚のアルバムの中でも様々なタイプの楽曲でバランスを取ることが重要だと思っている。この2曲はLED ZEPPELINやWHITESNAKEの影響が感じられる曲だね。

MM : “Heaven Gets Me By”、”Too Hard To Break”、”Made For Your Heart”などの曲はハードロック・ファンに限らず幅広い多くのロック・ファンに受け入られそうな哀愁感ある美しいナンバーですね。
DA : 多くのロック・ファンに受け入れられたら嬉しいね。それが目標でもあるよ!

MM : “Too Hard To Break”や”Made For Your Heart”のギター・ソロはインプロヴァイズでなくあらかじめ練られたものでしょうか?
DA : “Too Hard To Break”の場合、デモで弾いていたソロと実際にアルバムに収録したソロと少し異なっている。デモのソロも気に入ってはいたのだが、どのようなメロディを使うかで悩んでしまった部分があってね。その時、キースがレコーディングに立ち会ってくれてサポートしてくれたんだ。”Made For Your Heart”はまさに心から弾いたソロだ。頭の中にあったメロディをそのまま弾いた感じだ。ちょっとミスもあるけど、ソロの雰囲気がとても良いので、そのテイクを残している。

 
MM : “Ride The Monkey”では曲の出だしのギターリフが印象的な曲ですね。
DA : ありがとう!色々と試していたら出来上がったプリングオフ系のリフだ。弾いていて楽しいリフだよ。

MM : ピアノが印象的な”When Can I Believe In Love”はアルバムの最後を飾るに相応しい感動的なナンバーですね。
DA : そうだね。僕もそう思うよ。バラードで終わるアルバムは大好きなんだ。元々はキースが書いた曲を二人で書き直して完成させたものだ。この曲のピアノは最高だ。デモのテイクをそのまま使っている。

MM : アルバムに収録されている各曲についてあなた自身による解説をお願い出来るでしょうか?曲が生まれるまでの経緯や曲に込められた思い等をお聞かせ下さい。 
DA :

“Sweet Little Baby Thing”
おそらく2004年頃に書いた曲だ。今回のアルバムのために作り直した感じだ。シンプルで速いリフがお気に入りだ。最終のデモを作っていた時に曲の頭にループを足したんだ。そのループの雰囲気が決め手となってこの曲がオープニング曲となったのさ。

“The Cure”
今回のアルバムのために書いた曲の中では最後の方の曲だ。シンプルで基本的なグルーヴがアルバムに良いバランスを与えている。

“‘Till You Die”
元々は古い曲だけど、大幅に作り直している。リフのアイディアはキースに手伝ってもらった。逆にキースの歌のメロディや歌詞を書くのを僕が手伝った。リフが変わってから、ヴォーカルの明確なアイディアが浮かんだんだ。

“Heaven Gets Me By”
これは2012年1月に書いた曲だ。おそらく数時間で書き下ろしている。キースが書いた歌詞がともかく素晴らしい。

“Pray Out Loud”
スライド・チューニングの曲で、アルバムの中でもかなり気に入っている曲だ。タイトルも気に入っている。

“Our Time Is Gonna Come”
だいぶ前に書いた古い曲だ。元々はデヴィッド(カヴァーデイル)のために書いた曲だったけど、WHITESNAKEで必要になることがなかったので、彼には聴かせていなかった曲だ。BURNING RAINのアルバムの土台となるような曲が必要だった。この曲をキースに聴かせて、彼の最初のアイディアをレコーディングした。それがこの曲のメロディとなった訳だ。

“Too Hard To Break”
ストレートでポップなグルーヴのある曲が欲しかったんだ。それに、この曲のコード進行が気に入っている。しっくり来るまで何度か書き直したけどね。歌と歌詞も気に入っているんだ。ちょうど同じ頃、自分が別れを経験していたこともあってね。全く気づいてもいなかったという最悪のパターンさ。だから、この曲を聴くのもちょっと辛いんだよね。

“My Lust Your Fate”
これがアルバムのために書いた最後の曲だ。シンプルでヘヴィなリフとグルーヴで、歌詞はダークでありながら性的な部分も持ち合わせていながらキャッチーな曲だ。そのキャッチーな感じが気に入ってこの曲でビデオを作ったのさ。

“Made For Your Heart”
これは2012年1月に行った曲作りで書いた曲。上手くまとまった感じがしてお気に入りのひとつでもある。

“Ride The Monkey”
大好きな曲だ。典型的なBURNING RAINの曲と言える。2004年、最初の頃に書いた曲だね。何度かリフを書き直している。猛牛に乗っているような感じだったよ。何度も、何度も振り落とされながらも最後には形にした。この曲に関してはキースと何度もぶつかったよ。曲の方向性を決めるのにかなり喧嘩したのを覚えている。でも、最後には上手くいってよかった。

“Out In The Cold Again”
これも最初の頃に書いた曲だ。LED ZEPPELINの影響を受けているのが分かるね。アルバムに収録されるかどうか微妙なところはあったけど、色んな人たちが気に入ってくれているみたいだから、やってよかったと思っているよ。

“When Can I Believe In Love”
キースが始めてこのバンドに持ち込んだ楽曲だ。ラフなバラードのアイディアがあると言って持って来たのがこの曲。サビのコード進行を一緒に作って、ソロ・パートを僕が足したんだ。それ以外は全てキースのアイディアだ。歌詞も素晴らしい。

MM : アルバムで使用したギター、アンプ、ペダル類について教えて下さい。
DA : 殆どがギブソンのレスポールをマーシャルのアンプとキャビに通して弾いている。レスポールはカスタマイズしてある。特別なフレットとJS TECHNOLOGIES のSUHR / ALDRICHシグネイチャー・ピックアップをマウントしている。ディストーションはMAGIK BOXが作ってくれたROCKET FUEL PEDALというカスタムのディストーション/オーバードライヴ・ボックスを使っている。ギブソンやマーティンのアコースティック・ギターも使った。HUMMINGBIRDとJ-200、それに古いD28も使ったよ。

MM : ハードロックの場合はギターリフが重要な位置を占めており、あなたの場合もこれまでの作品において多彩で素晴らしいギターリフを生み出し続けています。毎回新たなリフを生み出し続けていく上でのあなたのアプローチ方法等についてお聞かせ下さい。
DA : ありがとう!ともかくリフやグルーヴを色々と試したりするのが好きなんだ。今はともかくシンプルで面白いリフを作るように心がけている。今は細かいことよりビッグでシンプルなリフに興味があるのさ。

MM : あなたはギターソロについても素晴らしいフレーズ、プレイで曲に華を添え続けています。これまでに数多くの曲に取り組んできた中で、マンネリ化やそれに伴うスランプといった事態に陥ることはありましたか? ギタリストがそういった状態に陥った場合における打開策についてあなたのアドバイスを頂けますか?
DA : 他のギタリストの演奏を聴いて刺激を受けることだ。YouTubeでギター・レッスンの動画を探すのも手だ。絶対に役立つよ。時には一旦全てをストップして休むことも大切だしね。次の日まで待ってもいい、数時間でもいい、ともかく一旦休憩を入れてからまたギターを持てば楽になるはずだ。

MM : それでは今後の活動スケジュールについて教えて下さい。WHITESNAKEとBURNING RAINの両方で活動することになるのでしょうか?
DA : 10月まではWHITESNAKEのツアーが続く。でも、BURNING RAINともツアーに出たいと思っているよ。日本とイギリスからは既にオファーがあるんだ。早く日程が決まることを願っている。

MM : 日本のファンへのメッセージをお願いします。
DA : 心の底から日本の皆さんには感謝しているよ。僕の長いキャリアの中で、常に応援してくれてありがとう。日本は大好きだし、また次に日本へ行くのを楽しみにしているよ。

Doug Aldrich official site : http://www.dougaldrich.com/

BURNING RAIN official site : http://www.burningrain.net/

EPIC OBSESSION / BURNING RAIN

WPCR-14729 ¥2,500(税込) WARNER MUSIC JAPAN

1.Sweet Little Baby Thing
2.The Cure
3.’Till You Die
4.Heaven Gets Me By
5.Pray Out Loud
6.Our Time Is Gonna Come
7.Too Hard To Break
8.My Lust Your Fate
9.Made For Your Heart
10.Ride The Monkey
11.Out In The Cold Again
12.When Can I Believe In Love
13.Fell Outa Love(Demo Unreleased Track)          <Bonus Track>
14.Made For Your Heart(Candlelight Version)       <Bonus Track>
15.When Can I Believe In Love(Acoustic Version) <Bonus Track>

Epic Obsession -Special Limited Edition
WPZR-30485/6 ¥3,200(税込) WARNER MUSIC JAPAN

Disc1
1.Sweet Little Baby Thing
2.The Cure
3.’Till You Die
4.Heaven Gets Me By
5.Pray Out Loud
6.Our Time Is Gonna Come
7.Too Hard To Break
8.My Lust Your Fate
9.Made For Your Heart
10.Ride The Monkey
11.Out In The Cold Again
12.When Can I Believe In Love
13.Fell Outa Love(Demo Unreleased Track)          <Bonus Track>
14.Made For Your Heart(Candlelight Version)       <Bonus Track>
15.When Can I Believe In Love(Acoustic Version) <Bonus Track>

Disc2 (DVD)
1.MAKING – BEHIND THE SCENES
2.Bonus Scenes