Vol.21 Robben Ford / March 2013

Robben Ford


Photo : George Wells

常に上質な音楽作品をクリエイトし続けているアーティストであり、極上のギタートーン、プレイにおいても多くの音楽ファンを魅了するギター名手 ロベン・フォード。今回リリースされたロベンのアルバム「BRINGING IT BACK HOME」は、自身のルーツに迫ったブルース・カヴァー・アルバムとなっており、ロベンによる心地良くエモーショナルなギタープレイを聴くことができる。「BRINGING IT BACK HOME」についてロベンに聞いてみた。


Photo : George Wells

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : 今回ブルースのカヴァーアルバムである”BRINGING IT BACK HOME”を制作するに至った経緯について教えて下さい。
Robben Ford (以下RF) : あまり小難しくなく、受け入れやすいアルバムを作りたいと思っていたんだ。誰もが抵抗無く聴けるようなアルバムをね。そう、友人を家に招いているかのような気軽な感じで。それと、ブルースを演奏していながらギター・サウンドに一貫性を持たせたかったという思いもあった。どういうギターを使うか、どういうピックアップやアンプを使うか等、そういったことを気にしなくてもいいような作品にしたいという気持ちもあった。

MM : アルバムのタイトルである”BRINGING IT BACK HOME”にはどのような思いが込められているのでしょうか?
RF : 前の質問の答えと重複するかもしれないけど、アットホームな雰囲気を作りたいという思いが込められている。

MM : 今回アルバムに参加している各メンバーについて教えて下さい。
RF : ドラマーはHarvey Mason。彼はTHE HEADHUNTERS(Herbie Hancock)で有名になったドラマーだ。ベースはDavid Piltchが弾いている。彼とはごく最近知り合ったけど、ともかく素晴らしい演奏をしてくれた。オルガンはLarry Goldings。今、世界に存在するオルガン奏者の中で最高のプレイヤーだ。そしてSteve Baxterがトロンボーンを吹いている。彼の持っている音楽的要素は、今の自分の新しい音楽スタイルには必要不可欠になっている。

MM : アルバムのレコーディングはどのように進められたのでしょうか?
RF : 今回収録している楽曲はそれぞれのミュージシャンが自分らしさを存分に出せるような楽曲ばかりだ。そういったこともあって、レコーディング自体はとてもスムーズに行われた。リハーサルを一日行ってから、ベーシック・トラックの録音は3日間で終わった。勿論、その後に歌を録り直しているけど、ギターの直しやオーバーダブは非常に少ない。9割ライヴ録音と言っても過言ではないよ。

MM : Allen Toussaint関係の曲では”Everything I Do Gonna Be Funky”、”Fair Child”(Willie West) の曲が取り上げられていますがAllen Toussaintからはどのような影響を受けましたか? 彼の曲をプレイする上ではどういったアプローチを心掛けましたか?
RF : この2曲は、アルバムの他の曲と同じように、自分にとってそれほど馴染みのある曲ではなかった。自分の音楽の世界の外を見て新鮮なインスピレーションを探したつもりなんだ。演奏自体はオリジナルに忠実にレコーディングしたつもりだ。勿論、焼き直しを録音するつもりはなかったけどね。ともかくシンプルにして、みんなが「遊べる」ようにした。

MM : Charley Pattonの”Bird’s Nest Bound”は原曲が土の香りを感じさせるブルースであるのに対して、洗練された都会的なブルースに仕上がっているように感じましたが。
RF : 勿論!僕は自分なりの演奏方法で楽しんでいるからね!


Photo : George Wells

MM : Bob Dylanの”Most Likely You Go Your Way (And I’ll Go Mine)”などは原曲が持つ荒々しくストレートなパワーとは違った雄大な雰囲気を持っており、別の観点から曲の持つ素晴らしさが表現されているように感じられましたが、あなた自身はどのような観点でこの曲に取り組んだのでしょうか?
RF : 自分が正しいと思った方法で演奏する必要があったのさ。それに、参加しているミュージシャンたち全員がとても音楽的なアプローチをとってくれた。そのアプローチがあったからこそ、他の要素も上手く引き出せたという訳だ。

MM : あなた自身の曲からは”Oh, Virginia”や”On That Morning”が選曲されていますが、数多くのあなたのブルース曲の中からこれら2曲を選びだした理由は?
RF : 正直、”Oh, Virginia”は自分でも驚いたよ。自分にとって懐かしいと同時に新しいサウンドを兼ね備えた楽曲を思いつくことができたのは本当に嬉しいね。”On That Morning”は伝統的なゴスペル・ソングをアレンジしたものだ。Miles Davisの『Kind O Blue』のようなアレンジの曲を作りたいと思っていたんだ。

MM : あなたの奥さんであるAnn Kerry FordとMichael McDonaldによる曲である”Traveler’s Waltz”が取り上げられており、ゆったりと落ち着いた雰囲気はアルバムの中で良いアクセントになっていますが、この曲を選んだのは? 
RF : 僕のツアー生活を題材にAnneがポエムを書いたのがきっかけだった。その詩をMichaelに見せたら、彼はそれを気に入ってくれてすぐに作曲をしてくれたんだ。詩は特に韻を踏んでいる訳でもないんだけどね。それでも気に入ってくれたのは嬉しい。自分にとって意味のある曲だったから、アルバムに入れたいという思いがあった。

MM : ブルース音楽のどういった部分にあなたは強く惹かれるのでしょうか?
RF : はっきりと答えるのは難しいけど・・・ともかく自分の中で響くんだ。13才の時に初めてブルースを聴いた時からずっと響いているんだ。

MM : ギタープレイにおいてブルース音楽を表現する上であなたが大切にしている事や、逆に難しさを感じる部分があればお聞かせ下さい。
RF : シンプルさ、空間、そして正直な気持ちだ。

MM : あなたの音楽的ルーツを辿った今回の作品へ取り組む中で新たな発見等はありましたか?
RF : アルバムに関して、特にルーツを辿ったつもりはないよ。何故なら、僕はルーツから一度も離れていないからね。今回のレコーディングではライヴ・レコーディングを行うまでの準備や実際のレコーディングで完璧な演奏をすること等、学ぶところはとても多かったよ。


Photo : George Wells

MM : 今回のアルバムであなたが使用したギター、アンプ、ペダル類を教えて下さい。またギターのピックを使用してプレイしている場合におけるピックの種類や使用した弦の種類なども教えて下さい。
RF : レコーディングではいつものDumbleアンプを使った。キャビネットはオープン・バックで12インチのシングル・スピーカー仕様だ。ギターは60年代のEpiphone Rivieraを使っていて、ピックアップはリズム側のものを常に使っている。エフェクトは基本的にミックス時にかけているが、エフェクト自体は最小限しか使っていない。ピックの厚みはヘヴィ。弦は10〜46。ピックと弦は共にD’Addarioを使っている。

MM : アルバムやライヴにおけるギター・サウンド作りについてあなたの考えや、工夫している点等について教えて下さい。
RF : サウンドの秘訣はプレイヤーの手の中、頭の中、そして心の中にある。

MM : あなたのギタープレイはフレーズの素晴らしさ、音の強弱によるダイナミクス、そして絶妙な息遣いを感じさせる間の取り方が特徴的ですが、どのようにして今のプレイスタイルを確立したのですか? 
RF : 特に秘密はないよ。ともかく音楽を沢山聴いて、沢山演奏することだね。それと何かを表現したいという素直な気持ちが大切だと思っているよ。

MM : あなたのような優れたミュージシャンになることを目指している人達へのアドバイスはありますか?
RF : コード・ヴォイシングを沢山学ぶといいよ。それと、ひとつのスタイルに集中することだ。自分の場合、それがブルースだった。練習をしていけば、様々なものへと進化させることができるシンプルな形の音楽だ。僕は歌を沢山歌うし、曲も書くし、多くのミュージシャンと一緒に演奏する。その中でブルースは常に自分の音楽的基礎となっている。それと、ギタリストだったらギター以外の楽器を聴くのも大切だ。自分が聴いている音がそのまま自分の音になるからね。ちなみに僕はサックス・プレイヤーを良く聴いている。それとMiles Davisのトランペットも良く聴いているよ。

MM : 今回あなたは偉大な先輩ミュージシャン達が作り上げた曲を取り上げましたが、あなた方の後に続くであろう注目している新しい世代のミュージシャンはいますか? もしいるのであれば注目している理由も含めて教えて下さい。
RF : Derek Trucksは大好きだね。それとロサンゼルスのJimmy Mallsというギターとウードを演奏しているミュージシャンもお気に入りだ。ともかくソウルフルなんだ。

MM : それでは今後の活動スケジュールについて教えて下さい。
RF : アメリカとヨーロッパのツアーが予定されている。5月には日本と韓国にも行くよ。

MM : 日本のファンへのメッセージをお願いします。
RF : みんな愛してるよ!

 
Robben Ford Official Site : http://www.robbenford.com/ 


BRINGING IT BACK HOME / ROBBEN FORD

VICJ-61681 \ 2,625 (税込)  Victor Entertainment

1.EVERYTHING I DO GONNA BE FUNKY
2.BIRDS NEST BOUND
3.FAIR CHILD
4.OH, VIRGINIA
5.SLICK CAPERS BLUES
6.ON THAT MORNING
7.TRAVELER’S WALTZ
8.MOST LIKELY YOU GO YOUR WAY AND I’LL GO MINE
9.TRICK BAG
10.FOOL’S PARADISE

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