Vol.16 Jeff Kollman / October 2012

Jeff Kollman

90年代に活動していたハードロック・バンド EDWINDAREではジャズ/フュージョンのテイストを持ち合わせたユニークな音楽スタイル、そして聴く者を惹きつけるギタープレイで音楽ファンの注目を集めたJeff Kollman(ジェフ・コールマン)。ジェフはEDWINDAREでの活動を終えた以降も自身のソロ活動は勿論のこと、マイケル・シェンカーやB’zのサポートメンバーとしての活動でも知られているShane Gaalaas(シェーン・ガラース)などと結成しているCOSMOSQUADや、RED HOT CHILI PEPPERSのメンバーであるCHAD SMITH(チャド・スミス)とのプロジェクト BOMBASTIC MEATBATSなどで素晴らしい活躍を続けている。
BOMBASTIC MEATBATSによる最新ライヴアルバム「Live Meat And Potatoes」やジェフの最新ソロアルバムである「SILENCE IN THE CORRIDOR」、そして音楽・ギタープレイにおけるオリジナリティを確立するための取り組み方等についてジェフが語ってくれた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : 今回BOMBASTIC MEATBATSは「LIVE MEAT AND POTATOES 」をリリースしましたが、ライヴアルバムをリリースすることになった経緯をお聞かせください。
Jeff Kollman (以下JK) : メンバー間で自然発生する音の交わりや疎通こそがMEATBATSの音楽的スピリットなんだ。このようなインプロヴィゼーションはオーディエンスを前にしたライヴで捉えるのがベストだと思う。俺たちは音楽で会話をしているようなものさ。このライヴCDはMEATBATSを正確に定義した作品に仕上がったと言えるね。このバンドにはユーモアがある。他のインスト・バンドのようにあまり真面目すぎないんだ。それがこのライヴアルバムでもよく分かるはずだし、それを表現するために作った。ともかく、チャドは面白いミュージシャンだよ。

MM : アルバムにクレジットされている情報では2009年にベイクドポテトで収録されたライヴ音源のようですが1回のショウが丸々収録されたものなのでしょうか? 実際のショーのレコーディングはどのように進められたのかお聞かせ下さい。
JK : ライヴ・レコーディングは2回行われたんだ。実は最初にレコーディングしたショウのデータが消えていたことが分かってね。その晩は予備のレコーダーも回していなかったのさ。だから、消えてしまった部分を録り直すために2回目のショウを行った。

MM : ベイクドポテトではこれまでに数多くのアーティストがライヴを収録しアルバムをリリースしています。あなた自身もCOSMOSQUADで”Live At The Baked Potato”をリリースしていますが、あなたにとってベイクドポテトとはどのような存在なのでしょうか?
JK : そうだね、COSMOSQUADでも『Live At The Baked Potato』をリリースしているね。この会場は自分にとってとても大切な場所だ。LAに残された最後の真のジャズ/フュージョン系ライヴハウスだと思っているよ。この会場の40周年を記念するイベントも手伝ったしね。昔はラリー・カールトンがこの会場でレコーディングしたライヴアルバムもよく聴いたよ。Baked Potatoは大好きだよ。この会場では頻繁に出演しているからね・・・もう自分の庭みたいなものだよ。

MM : あなたはCOSMOSQUAD、BOMBASTIC MEATBATS、そして自身のソロ名義でのアルバムのリリース等と精力的に活動しています。それぞれでの活動をどのように分けて考えていますか?
JK : 全て音楽スタイルが異なるからね。MEATBATSはキーボーディストのエド・ロスがいることで他とはかなり異なる要素を持っている。彼のハーモニックな70年代風ファンク・スタイルはバンドの重要な核になっている。このバンドでの自分の仕事はヴォーカルのようなメロディを提供することなんだ。COSMOSQUADは、どちらかと言うとメタル/フュージョン系の音楽だ。それに、トリオ編成だから気分的にはマラソンを走っているような感じだよ。あまり空間が無い音楽だからね。自分のソロはその2つのバンドの間にあるような感じだ。でも、音楽的にも色んな方向へ手を伸ばすことができる。ソロの場合はアコースティックやクラシックの要素も含んでいるからね。

MM : BOMBASTIC MEATBATSはメンバーのそれぞれが普段は異なるバンドで活動していますが、ショウでは見事なアンサンブルを聴かせてくれます。ショウを行う際にはどのくらいのリハーサルを経てショウに挑むのでしょうか?ショウに挑むまでのプロセスやリハーサルの内容についてお聞かせ下さい。
JK : リハーサルはあまりやらないんだ。ライヴ前のサウンドチェックで曲を思い出す作業をするだけだよ。よくあるプログレッシヴ・ロック系の音楽みたいに数字で楽曲を覚えるような感じの音楽じゃない。基本的な曲の構成、グルーヴ、コード進行、そしてメロディがあって、あとは表現力やメンバー間の相互作用によって作られる世界だ。同じ曲を二度同じように演奏することはまず無いね。そもそもメロディというものは練習する必要がない。そのメロディを歌ったり、鼻歌で歌えれば、あとは指がその音をなぞることができるはずだ。これが今の多くの若いミュージシャンに欠けていることだと思う。最も重要なのは自分の耳だ。ともかく耳で聴くことだ。ダイナミクス(強弱)や空間の使い方こそが素晴らしいパフォーマンスを作り出す要素だと思っている。それは自分がメタルバンドでプレイしながら育った中で学ぶことのできなかったことでもある。

MM : ライヴにおけるギターサウンド作りについてあなたの考えや、工夫している点等について教えて下さい。
JK : 機材はそんなに重要じゃない。どんなギターやアンプでも自分の音を出せる自信はあるよ。まずは自分がどんな音を出したいかを明確に想像することだ。あとはそれをアンプやフットペダルで微調整するだけだ。あえて機材の話をするなら質の良いシールドと良いトーンが出るギター(弾きやすいギターという意味ではなく)を勧める。例えば・・・速弾きをするならIbanezが弾きやすいけど、レスポールの方がより木製の音を出せたりする。ハンドワイヤードアンプも良いトーンを出すには効果的だ。それと、自分が使っているアンプのヘッドと相性の良いキャビネットやスピーカーを探すのも重要だ。実はあまり機材の話をするのは好きではないんだ。結局、重要なのはそこじゃないからね。ジェフ・ベックだったらどんな機材を使ってもステージ上ではいつもと同じトーンを出すだろうからね。

MM : 次はあなたの最新ソロアルバムである「SILENCE IN THE CORRIDOR」についてお聞かせ下さい。作品はどの曲も美しく印象的なメロディを持っており素晴らしい芸術的なアルバムに仕上がっていますが、アルバムのコンセプトについてお聞かせ下さい。
JK : 2011年に起こった様々な出来事で自分にインスピレーションを与えたり、心を動かせたもの集めて楽曲にするのがコンセプトになっている。インスピレーションを与えられた瞬間を表現するための楽曲を必ず含めたいと思っていた。例えば、タイトル・トラックの”Silence In The Corridor”はGary Mooreの死によってインスパイアされてレコーディングしている。この曲ではアコースティック・ギターを弾いているのも個人的にとても満足している。最近はスチール弦での練習に励んでいるからね。常に現在進行形だと思っているよ。

MM : “Cosmo Ray Vaughn”は疾走感あるリズムギターが印象的ですが、Stevie Ray Vaughnをイメージしているのでしょうか?
JK : Stevie Ray Vaughnには大きな影響を受けているからね。彼の音楽をよく頭に思い浮かべることがあるよ。曲のスタイルとしてはCOSMOSQUADとStevie Ray Vaughnのファンキーなスタイルの曲の中間に位置する。この曲はCOSMOSQUADのRic RierbracciとShane Gaalaasが参加してくれている。

MM : “One Last Remark”や”Steer Clear Of The Border Town”をはじめ今作品ではアコースティックなギタープレイやサウンドの比重も大きいですね。アコースティックなギターの音楽スタイルであなたに影響を与えたアーティストを教えて下さい。 
JK : Tony RiceとTommy Emmanuelだね。ナイロン弦のギターを弾くのも前から凄く好きだったんだ。John WilliamsやPaco De Luciaが大好きだったね。偉大なプレイヤーが多いよ。そういった偉大なミュージシャンに比べたら自分のプレイはまだまだ赤ん坊のようなものだよ。

MM : Gary Mooreへのトリビュートとして”Silence In The Corridor”が収録されており、アルバムのタイトルにもなっています。ギタリスト/アーティストとしてGary Mooreはあなたにとって特別な存在だったのでしょうか?
JK : Gary Mooreは強烈だったね。どんなショウも、どんな音譜も凄まじい情熱と説得力で弾いていた。ギター・ヒーローと呼ばれる多くのギタリストからは感じられないものが彼にはあった。ギター・ヒーローの多くは鏡の前で練習でもしているのではないかと思ってしまうね。Gary Mooreは楽曲の奥深くへと入っていくんだ。そこには大きな違いがある。Stevie Ray Vaughnも同じような感じだね。

MM : “Afgan Headtrip”はとても独特の雰囲気を持つとてもアーティスティックな曲になっていますね。 この独特な雰囲気を醸し出す上でサウンド、ギタープレイのそれぞれの面でどういったアプローチを行ったのでしょうか?
JK : これは完全なるインプロヴィゼーションだよ。計画性は全くなかった。機材はLINE 6のディレイ、Ceriatone Dumbleをエフェクトループに使っているだけだ。ギターはゴールドトップのレスポールだ。ディレイに少し歪みがかかってしまったのが、このサイケなサウンドを生み出しているのではないかと思っている。音楽スタイル的には中東系の音楽からの影響が感じられるけど、それがどこから来ているのかは分からないね。別に宗教に走った訳じゃないよ。

MM : “Time And The Inevitable”は美しいアコースティックなアルペジオと幻想的なギターのフレーズがとても美しい曲ですね。
JK : この曲はApple社のSteve Jobs氏が亡くなったことがきっかけで書いた曲なんだ。ある朝、レコーディングをするためにノートパソコンを開いたら、亡くなったJobs氏を追悼するスクリーンセーバーが画面に映し出されてね。彼とMacがいかに我々の生活を変えたかを思い始めたんだ・・・レコーディング環境もそうだし、iPhoneやiTunes、等。そこからJobs氏のことをずっと考えていたんだ。真のサクセス・ストーリーだよね。彼は革新的な天才だったし、最新の技術とお金を全て自分のものにしていた。でも、彼は時間と免れられない運命に勝つことはできなかった。「時間と免れられない運命」がそのままタイトル”Time And The Inevitable”となった訳だ。我々がこの世で与えられた時間は限られている。その限られた時間の中で自分たちがインスピレーションを受け、それを更に他の人たちへと受け継がせることが大切だと思っている。これから新しいコンピューターを発明したり、ナノテクノロジーを進化させていく予定はないけれども、もしかしたら若いギタリストにインスピレーションを与えたり、何かを教えてあげられるかもしれない。自分の書いた曲で人の心を動かすかもしれない。それで十分だと思っているよ。

MM : 多くの場合はギターを始めた頃は憧れのギタリストのプレイを学び、そしてテクニックを向上させ、その後に自分のオリジナルなプレイスタイルや曲、フレーズ作りを経るかと思いますが、あなたの場合はどうだったのでしょうか?あなたの表現力豊かな現在のオリジナルなプレイスタイルを創り上げた過程について詳細をお聞かせ下さい。
JK : 誰だって好きなギタリストやミュージシャンを真似することからスタートする。ともかく最初が肝心だね。ゴミみたいな音楽を聴いていたらゴミみたいな音楽を演奏するミュージシャンに育つだろうからね。演奏に何の感情もない有名ギタリストを聴いている若いギタリストは同じように何の感情もないプレイをする。まあ、ギターの演奏における「感情」という要素を教えるのは無理に近いけどね。複雑な環境で育った中、俺は12才でギターを始めた。それまでの辛い経験を音楽に役立てることができたと思っている。インスピレーションは自ら探し求めないといけない。それに、常に様々なスタイルの音楽に耳を向けることを心がけたよ。ビーバップだろうと、クラシックだろうとね。自分のハードロック・スタイルのギターが常に新鮮に聴こえるように俺は様々な音楽スタイルを取り入れた。13才の時から常に自分の音楽を書き続けている。毎日のように創作作業を行い、そして自分が作ったものを聴き返すことによって自分のスタイルや音を見つけることができたのさ。ともかく自分の音を録音して分析する必要があるんだ。自分のトーンはどうなのか?タイム感は?ダイナミクスは?曲の構成はどうなのか?マイクの位置はどうなのか?曲のアプローチは正しいのか?等。

MM : あなたが注目している新しい世代のギタリストはいますか? もしいるのであれば注目している理由も含めて教えて下さい。
JK : んん・・・新しい世代?古い世代なら沢山いるけど! 勿論、素晴らしいギタープレイもいいけど、俺はそれより素晴らしい楽曲を聴くのが好きなんだ。David GilmourやJimmy Page、Queen、Allman Brothers等。ここ15年の間で凄いと思ったのはTommy Emmanuel、Jimmy Herring、Jimmy Rosenberg、Michael Landau。もっと最近だったらKirk FletcherとAllen Hindsだね。LAのJamie Kimeも素晴らしいギタリストだ。Mike Sorenson、Greg Koh、友人のJeff ‘Big Red’ Marshallもいいプレイヤーだ。日本のYuya Komoguchiも素晴らしい。Josh Goochは有望で味のあるブルース・ギタリストだ。ともかくトーンやフィーリング、優れたメロディを持っていることが重要だ。その点、Jeff Beckは本当に利口だと思うよ。BEATLESの”Something”やStevie Wonderの”Cause We’ve Ended As Lovers”を使ったりするからね。彼は優れたメロディというものを理解しているし、彼は他のギタリストができないギターを歌わせることができる。

MM : 今回のアルバムの中で使用したギター、アンプ、エフェクター、ペダル類の詳細について教えて下さい。 
JK : 自分の周りにあるもの全て!!フェンダーのストラトやテレキャス、レスポール、Hamer Newport、それに日本のFujigenも使っているよ。ピックアップは基本的にアウトプットが低いものを使っている。ペダル類は、Real McCoyのワウペダル、D3 Audio Designs、Xotic、T Rexのディレイ。それと、フェンダーのWildwood 10 6100 Fretもお気に入りだ。アンプはフェンダー・ツインをペダル付きで使っている。フェンダーのMacheteやBlues Deville、67年式フェンダーBassman、Bognerのモディファイを施したMarshallを2台, Budda 45 watt Superdrive、Ceriatone OD Special、それにHughes and Kettner ats120 ampも使っている。

MM : 使用しているギター・ピックの種類を教えて下さい。
JK : フェンダーのBlue Tortex 1mmを使っている。

MM : 使用している弦の種類を教えて下さい。
JK : 弦はフェンダーの9〜46か10〜46を使っている。

MM : あなたはEDWIN DAREでジャズやフュージョンのエッセンスを取り入れたクールなハードロックを生み出していました。EDWIN DAREのようなスタイルの音楽に再び取組むプランはありますか?
JK : EDWIN DAREの新作は是非とも作ってみたいね。話だけはあるんだけどね。実現することを祈っているよ。あのバンドも、メンバーもみんな大好きだよ。

MM : 今後の予定をお聞かせ下さい。
JK : 次はJohn PayneをフィーチアーしたASIAのアルバムだね。今、ちょうどレコーディングをしているところだよ。今後はできるだけライヴをやりたいね。最近はずっとスタジオの中での作業が多くてね。自分のアルバムや曲が山ほどあるから、ともかくライヴでその楽曲を演奏したいよ。THE BOMBASTIC MEATBATSも春には再び新作リリースに向けて動き出す予定だ。

MM : 日本のファンへメッセージをお願いします。
JK : 皆さんの愛情と応援に感謝しています。常に音楽から刺激を受けてほしいね。練習ばかりしていないで、曲を書いたりするのも大事だからね!メトロノームにばかり合わせていちゃ駄目だよ!そんなもの捨ててしまいな!

 
Jeff Kollman Official Site : http://www.jeffkollman.com/ 


LIVE MEAT AND POTATOES / BOMBASTIC MEATBATS

Disc 1:
1.Opps! I Spilled My Beer
2.Passing The Ace
3.Mountain Of Meat
4.The Gunboat Is On!
5.Nightsweats
6.Topps Off
7.Pigsfeet
8.Need Strange

Disc 2:
1.Deathmatch
2.Battle For Ventura Blvd.
3.Moby Dick
4.Shilo’s Forbidden City Blues
5.Breadballs
6.Lobster Legs
7.Into The Floyd

 

SILENCE IN THE CORRIDOR / JEFF KOLLMAN

1.Cosmo Ray Vaughn
2.West Coast Swagger
3.One Last remark
4.Silence In The Corridor (tribute to Gary Moore)
5.Steer Clear Of THe Border Town
6.Song For James
7.The New Nightmare
8.Afghan Headtrip
9.Time And The Inevitable
10.A Day Of Mourning
11.Unforgettable (dedicated to Helen Kollman)