Vol.73 HAREM SCAREM / May 2017

HAREM SCAREM

その珠玉のメロディック・ハードロックでファンを虜にしているHarem Scaremが14作目となるスタジオ・アルバム「UNITED」をリリースした。今作でも曲に豊かな表情、色彩を与えるピート・レスペランスの冴え渡るギターワーク、そしてハリー・ヘスの歌声によるキャッチーでありつつも哀愁を帯びたメロディックなハーレム節が全開!まさにファンがハーレムスキャーレムに対して望んでいるHarem Scaremらしさ・・が凝縮された傑作に仕上がっている。
見事な傑作「UNITED」を創り上げたピート、ハリー、そしてアルバムの中ではドラムこそ叩いてはいないが、そのコーラス・ワークで相変わらずの存在感を放っているダレン・スミスに話を訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)
 

Muse On Muse (以下MM) : 新作「United」はファンがHarem Scaremに求めているメロディックでキャッチー、そしてドラマティックな楽曲が揃ったとても素晴らしい作品となっています。アルバムのコンセプトについてお聞かせ下さい。
ハリー・ヘス (以下HH) : 今回のアルバムは確かにメロディックな仕上がりになっているね。リスナーが一緒に歌えるような覚えやすいサビを作るように心掛けたし、テンポもなるべくアップテンポにした。

MM : アルバムの曲作り、レコーディングのプロセスについて詳しくお聞かせ下さい。
ピート・レスペランス (以下PL) : 過去14枚のアルバムを通して様々な曲作りやレコーディングのプロセスを経験してきたけど、今回のアルバムでの制作プロセスがこのバンドにとってベストだと言える。基本的には自分の音楽的なアイディアを録音してそれをHarryに送り、どのようなインスピレーションを生むかを試すのさ。Harryは僕が録音した素材に自分のアイディアを足していく。メロディだったり、サビを書いてくれたり。そこからは曲が出来上がるまでお互いのアディアを出し合う感じだ。

MM : アルバムではピートとの共同プロデュースの他にミキシング・エンジニアも手掛けていますが、サウンドの面ではどういったことを目指しましたか?
HH : プロデュースやエンジニアリングに関しては常に腕を磨いているつもりだ。アルバムを作る毎にステップアップして新たな領域に達しているような気がする。(プロデュースに関しては)個人的には前作を(プロデュース面で)越える作品を作ることを目標にしている。そういった目標に挑戦していくことを楽しみながらやっている。

MM : 今回も楽曲の魅力を惹きたてるギターリフ、メロディックで起承転結のある素晴らしいギターソロが健在ですが、ギターに関してはこのアルバムでどういったことを目指しましたか?
PL : ギター・プレイに関して言えば、それはどのアルバムだろうと目標は同じだ。それは曲のために演奏するということだ。Harem Scaremの場合は歌とギターを中心に楽曲が作られていることもあるので、他のプロジェクトよりも幅の広いギター・プレイを取り入れることができるし、あえて幅広いギター・プレイを心掛けている。

MM : Harem Scaremでは今作を含めるとこれまでに14枚ものスタジオ・アルバムを制作し、あなたはこの間、常に素晴らしい曲、ギターリフやソロを生み出してきました。これまでに曲の骨格となるギターリフのアイディアの枯渇やマンネリ化といったスランプなどはありましたか?
PL : 勿論あるさ!だから「Hope」を作った後にバンドは5年間もアルバムを作らず活動を休止した訳なんだ。新しいアイディアが出なくて気が狂いそうになっていたし、あの時点では「ロック・ギター」という分野においてやりたいことは全てやり尽くした感があった。

MM : 作曲、ギターのリフ作りやギターソロへのアプローチといった部分において常にクリエイティヴであるためのあなたの取り組みについて教えて下さい。
PL : 音楽というのは自分にとって常にあるものだ。何かのプロジェクトで仕事をしていない時は常に練習をしたり、新しい楽器を学んだりしているよ。そういったことが自分に最もインスピレーションを与えてくれているものだと思っている。

MM : “INDESTRUCTIBLE”をはじめとして”NO REGRETS”、”THINGS I KNOW”といった曲ではこれまでになくカントリー音楽の要素も感じられました。
PL : ここ4〜5年ぐらいカントリー・ミュージック系のギターにハマっているのは事実だ。それがやっと自分のロック系のプレイと上手く融合できるようになった訳だ。実は”NO REGRETS”のイントロでは5弦バンジョーも弾いているよ。

MM : 今回の作品で聴くことが出来るあなたのスライドバー奏法による表現豊かなギターについて説明頂けますか?
PL : 実はHarem Scaremの作品では初めてスライドバーを使ったんだ。今回のアルバムでは3曲スライドバーを使っている。”THINGS I KNOW”と”NO REGRETS”、それに”INDESTRUCTIBLE”のイントロではGrestchのドブロ・ギターを使っている。スライドバーとドブロ・ギターの組み合わせは、最近自分が多くの時間を費やして練習している分野でもある。

MM : アルバムで使用したギター、アンプ、ペダル類について教えて下さい。
PL : 僕は2012年からFractal Audio(Axe-FX)を使っていたけど、今年に入ってからAX-8に切り替えた。言葉では言い尽くせないほど素晴らしいよ。今回のアルバムの全てのギター・トラックはAX-8からDrawmer 1960のプリアンプ/コンプレッサーを通してそのままProToolsに繋いで録音した。アンプやキャビは全く使っていない。ギターに関しては信頼を置いている自分の白のレスポールと1962年リイシューのGibson SGを使ってリズム・トラックをダブルで録った。ソロは全てSGを使った。

MM : ダレンはジェイク・E・リーのRed Dragon Cartelではボーカリストとしてアルバム、ツアーに参加していますが、元々Harem Scaremを辞めた理由を教えて下さい。また、現在Red Dragon Cartelがどうなっているのか教えて下さい。
ダレン・スミス (以下DS) : Harem Scaremを辞めたのは他のプロジェクトに参加するためだった。脱退当初はJuiceというバンドで作曲とヴォーカルを担当した。その後はいくつかのプロジェクトにも参加した。Helixで何年かギターも弾いた。今Red Dragon Cartelはセカンド・アルバムをレコーディング中だ。夏頃にはレコーディングも終わるはずだ。

MM :  Harem Scaremでは新作でもバックコーラスとして参加しバンドに欠かせない存在感を放っていますが、Harrem Scaremのアルバムではもうドラムは叩かないのでしょうか?
DS : 自分がHarem Scaremを辞めてからはCreightonが後任としてドラムを担当しているからね。でも、今のHarem Scaremはメンバーを増やした状態になったと考えてもらっていい。俺たち5人でHarem Scaremということだ。

MM : Harem Scaremのツアーではドラマーとしてのパフォーマンスを期待しています!
DS : 俺もそれを楽しみにしているよ!ありがとうな!

MM : Harem Scaremの今後の予定について教えて下さい。
HH : 個人としては最近、世界中のバンドのマスタリング作業を手掛けていて、毎日忙しくしているよ。Harem Scaremに関してはこれから半年〜8ヶ月ぐらいはインタビュー等の取材とライヴでスケジュールが埋っている感じだ。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
HH : ファンのみんなに感謝しているよ!君たちが一番だ!
PL : いつも応援してくれて本当にありがとう!またツアーで会おう!

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HAREM SCAREM / UNITED
デラックス盤(CD+DVD) : KIZC-382/3  (¥3,600 + tax)キングレコード
通常盤(CD) : KICP-1844 (¥2,600+ tax)キングレコード

01. UNITED
02. HERE TODAY GONE TOMORROW
03. GRAVITY
04. SINKING SHIP
05. ONE OF LIFE’S MYSTERIES
06. NO REGRETS
07. BITE THE BULLET
08. THINGS I KNOW
09. THE SKY IS FALLING
10. HEAVEN AND EARTH
11. INDESTRUCTIBLE
12. HERE TODAY GONE TOMORROW  (Acoustic Version)  ※日本盤ボーナス・トラック
<DVD デラックス盤>
Making Of UNITED
HERE TODAY GONE TOMORROW (MUSIC VIDEO)
SINKING SHIP (MUSIC VIDEO)