Vol.96 Keith Scott / April 2019

Keith Scott


Photo by Mike Blake

ブライアン・アダムスがニューアルバム「SHINE A LIGHT」をリリース。「SHINE A LIGHT」では、エド・シーランやジェニファー・ロペスが共作やデュエットにて参加している新たな取り組みと共に、真にブライアンといった誰もがすぐに馴染めるキャッチーでインパクトのあるメロディを持つ曲が揃った良質なロックアルバムとなっている。この新作においてブライアンの盟友であるギタリスト、キース・スコットは、ボブ・ロックとブライアンがプロデュースしている8曲でギターをプレイ。キースはそのロック・スピリット溢れるギターでレコーディングやツアーでブライアンを支え続けており、誰もが耳にしたことがあるであろうブライアンの数多くのヒット曲では必ずキースの歌心溢れるメロディックなギターを聴くことが出来る。しかし、新作を含めこのところのブライアンの作品では楽曲の尺がコンパクトになっていることもあり、以前のようなブライアンの歌とキースのメロディックなギターによるドラマチックな展開を持つ曲は姿を見せなくなった。そのあたりも含めてブライアンの新作「SHINE A LIGHT」でのギタープレイや自身のプロジェクトであるThe Fontanasの近況などについてキース・スコットに訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Hiroshi Takakura


Photo by Mike Blake

Muse On Muse (以下MM) : ブライアンの新作「SHINE A LIGHT」は、誰もがすぐに馴染めるキャッチーでインパクトのあるメロディを持つ曲が揃った良質なロックアルバムとなっています。ライブにおいて新たに素晴らしいプレイリストが増えた今のお気持ちをお聞かせ下さい。
Keith Scott (以下KS) : 長年レコーディングやライブをやってきたけど、いつも新しい作品を出すのは良い気分さ。その作品が俺たちのツアーをフレッシュに、そして意味のあるものにしてくれるんだ。

MM : アルバムに収録されている13曲(日本盤ボーナストラック含む)のうちBob Rock(ボブ・ロック)とブライアンがプロデュースしている8曲であなたはギターでクレジットされています。その他には、Ed Sheeran(エド・シーラン)やJennifer Lopez(ジェニファー・ロペス)が共作やデュエットにて参加しているプロジェクト的な楽曲もアルバムに収録されていますが、ボブ・ロックとブライアンがプロデュースしている8曲についてはどのようなことが目指されたのでしょうか?
KS : 2012年だったかな。カバー曲だけを収録したアルバムをレーベルの為に作る仕事があって、俺たちはスタジオに入った。そしてセッションの一部はブライアンのオリジナル曲を作る為のものでもあったんだ。だからそれらの曲はそこでのセッションでレコーディングされたものだ。

MM : アルバムであなたがギターを弾いている曲において、曲によってはあなた以外にもLyle Workman、Rusty Anderson、そしてPhil Thornalleyの名前もギター・パートにクレジットされていますが、それぞれどのように役割が分担されているのでしょうか?
KS : ブライアンのウェアハウス・スタジオで行われたその週のレコーディングセッションは、自分も含め、ボブ・ロックが提案した別々のリズムセクションのグループが数日毎にスタジオに入って録音していくってものだった。だからクレジットされているギタリストはそれぞれのグループのギタリストだった。フィル・ソーナリーのパートだけは別で、後ほど別のセッションでレコーディングされたものだ。

MM : レコーディング時、ギタープレイやサウンドについてはボブ・ロックやブライアンからはどのような事を求められましたか?
KS : 俺が覚えている限りだと、ボブ・ロックからは自分らしくやってくれ、そしてブライアンと俺がやった初期の作品の質感を再現してくれって言われていたと思う。ほとんどのギターパートを最初の数テイクで録り終えて、その後ちょっと変わった感じのギターをオーバーダブした感じだ。

MM : あなたがギターをプレイしている曲について、プレイ面やアレンジ等について教えて頂けませんか?
KS : レコーディングする時間が非常に限られていて、その中でオリジナル曲を最高なものにすべく取り組むと同時に、(カバープロジェクトについては)カバーだからできる面白さっていうのを表現する為のプレッシャーがあった。3、4種類のギターと、2つのアンプ数個のペダル、そして限られた時間の中で、できる限りのエネルギーと喜びを表現しなければいけなかったんだ。正直ギターのアレンジはどうしてこうなったかっていうのは覚えてないんだけど、ボブ・ロックってプロデューサーは、スタジオ内のミュージシャンにそれぞれの役割を与える事に非常に優れていて、それぞれのギタリストに彼の頭に浮かんだアイデアを提案していき、そしてその役割は自分達にとってベストだったと思う。過去5-10年間ボブと働く中でこういう体験を何回もしてきた。

MM : ブライアン・アダムスの曲の魅力の一つとして、曲の間奏におけるあなたのメロディックで口ずさめるようなギター・ソロを挙げる人も多く見受けられます。このところのブライアンのアルバムではそのような曲を聴くことが叶いませんが、曲の構成やギター・ソロのありかたに対するブライアンの考え方が変化しているのでしょうか?
KS:この10-20年間、俺とブライアンの中でこういう音楽をやる時、そういうタイプのソロは昔ほどは求められていないって結論を出したんだ。だからそういったソロが中心になるような曲は少なくなった。それと曲が書かれた後にギターを足すような場合もあって、そのような状況ではまずソロが入る余地がない。ソロの名手がギターで歌い上げるようなギターソロのニーズは減ったと思う。

MM : アルバムで使用しているギター、アンプ、ペダル類について教えて下さい。
KS : 7年前のセッションだから、覚えている限りでしか言えないけど、この一つ前のボブ・ロックとの仕事で使用したギターセットを使用した。1962年型の赤いES335、1964年式のsunburst Fender Stratocaster、1956年モデルのオレンジのGretsch 6120と1954年式の白いFender Telecasterを使用したと思う。アコースティックは1962年のMartin D-28を使った。メインで使用したアンプはDivided by 13 FTR 37のアンプとそれに合2×12’ キャビネット、1962年式のVox AC30に1967年式のMarshall 100 Wattのヘッドと 4×12’キャビネットを付けたものと 1964年式のFender Deluxe Reverb combo ampを使った。プロデューサーのボブ・ロックが所有しているアンプもいくつか使ったと思う。アンプに関してのプロであり、モンスターでもあるアレクサンダー・ダンブルによって改良された1958年式のFender Tweed Bandmaster comboとFender Tweed Deluxeも使わせてもらった。ペダルに関しては Ibanez TS9 Tubescreamerと Klon Centaurのboost pedal、 Line 6 green delayやボブが用意した多種多様のペダルも使ったよ。

MM : ところでサーフミュージックなどインストゥルメンタル曲を手掛けるThe Fontanasは現在はどのような状況でしょうか? その他にも何か考えているプロジェクトなどはありますか?
KS : ありがとう。Fontanasのセカンドはレコーディングが終わった段階で、大部分を先ほどの話にも出したフィル・ソーナリーによってミックスしてもらおうと考えている。彼は本当に素晴らしい才能を持ったミュージシャンであり、作曲家であり、エンジニアなんだ。すでに何曲かのラフミックスをやってくれて、4月半ばくらいまでにはミックスを仕上げて欲しいって願ってるよ。

MM : 今後の予定を教えて下さい。
KS : 長年やってきている事だけど、俺がプロとしてのキャリアの中で、まず最優先している仕事はブライアン・アダムスの新しい作品が出た時に世界中で彼とプレイする事だ。ファミリーと呼べるようなミュージシャンと共にエンジョイする事ができる重要な仕事で、彼らと一緒に35-40年間も仕事してきた事は光栄だよ。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
KS : 最高のリスペクトと感謝の気持ちを伝えたい。自分の音楽、自分のチャレンジをずっと暖かくサポートしてくれてる日本のファンそして世界中のファンに心の底からありがとうって気持ちを伝えたいよ!

Keith Scott official fan club website : http://www.keithscottfanclub.com/
Keith Scott official fan club facebook : https://www.facebook.com/theauthorisedkeithscottfanclub/


Bryan Adams / Shine A Light

01. Shine A Light
02. That’s How Strong Our Love Is ft. Jennifer Lopez
03. Part Friday Night, Part Sunday Morning *
04. Driving Under The Influence Of Love *
05. All Or Nothing *
06. No Time For Love *
07. I Could Get Used To This
08. Talk to Me *
09. I Hear You Knockin’
10. Nobody’s Girl *
11. Don’t Look Back *
12. Whiskey In The Jar
13. I Hear You Knockin’ [JAPANESE BONUS TRACK] *
* Keith Scott – Guitar